2025/05/21

VOL.15寄稿者&作品紹介36 吉田亮人さん

 最近気付いたのですが、吉田亮人さんのSNS、いつの頃からかプロフィールが「デジタルクリエイター」で勤務先が「 写真家」になっているのです。写真家としての10年間の活動を綴った「しゃにむに写真家」(亜紀書房)を上梓されたのが2021年なので、あれから5年。現在は写真集出版レーベル「Three Books」の共同代表も務めていますし、公式サイトはもちろんFacebookへの書き込みも、ときに英語併記で...ヴィジュアルの世界は国境とか、関係ないですもんね。小誌第11号での写真家・岩田量自さんに出会った頃から実感していましたが、ほんとうに「○○○(雑誌名)のグラビアに●●●(被写体)の写真が◎ページ掲載」みたいな価値観は過去のものになったんだと、紙の雑誌をつくりながら思っています(...詠嘆)。そんな吉田さんはつい先日まで(4/12 〜5/11)京都市中京区の《Su》にて個展「The Dialogue of Two」を開催。会期中には作家・大竹昭子さんやライター/編集者・堀香織さんとの対談もおこなわれ、盛会だったとのこと。国内外での、ますますのご活躍が期待されています。





吉田さんの小誌第15号への寄稿作「小さくて、美しい」は、昨年の夏に吉田さんが体験した地元・京都(丹後地方)での仕事にまつわる一篇。京都府文化芸術課からの依頼で写真ワークショップを開くことになり、吉田さんは「カメラの扱い方や、写真構図の作り方、被写体へのアプローチの仕方などを参加者に教える講師」の役を引き受けます。その際、京都府の担当者から「丹後の『織物』をテーマに作品を作ってみませんか?」とも声をかけられて...。テーマ設定について担当者と若干のやりとりをして方向性が決定、吉田さんは丹後在住の織物職人たちと出会います。


カメラを構えるよりも前に、まず被写体をよく知ること。作中の筆者の言葉を引用すると、〈僕自身の身体の中に、彼らが辿ってきた「人生」という物語をインストールして臨む撮影と、そうでない場合とでは、撮影する時の手応えと写真の出来が全く違ったものになる、と思ったからだ〉。吉田さんの仕事に対する姿勢を端的に表した一節...さて、筆者は丹後でどのような方々の「人生」を写真に納めたのでしょうか。ぜひ小誌を手に取ってお確かめください。


ウィッチンケア第15号(Witchenkare VOL.15)
発行日:2025年4月1日
出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりーは発行人の屋号)
A5 判:276ページ/定価(本体2,000円+税)
ISBN:978-4-86538-173-3  C0095 ¥2000E


 僕の生きてきた年数よりも長く織機の前に立ち続け、手を動かし、足を動かし、未だ現役で織り続けていること自体に凄味と驚きと感動を覚えるのは言うまでもない。
 しかし、それよりも僕の胸を打ったのは「織物」を中心にこの丹後という地域で、彼らの個人史が70年も80年もずっと紡がれ続けてきたということだった。
 丹後の織物産業の勃興と繁栄の凄まじさ、そして急激な衰退の過程を目の当たりにしながら、自分の仕事を守り、家族を養いながら、生活していくのは本当に大変だっただろうことは彼らが発する言葉の随所から分かった。
「みんなこれじゃあ生活なんてできんて、辞めていきんなさったわ。あの頃はその日暮らしみたいなもんやったなあ」
 遠い目をしながら、小森勝吉さん・明美さんが言う。


ウィッチンケア第15号掲載〈小さくて、美しい〉より引用~


吉田亮人さん小誌バックナンバー掲載作品:〈始まりの旅〉(第5号&《note版ウィッチンケア文庫》)/〈写真で食っていくということ〉(第6号)/〈写真家の存在〉(第7号)/〈写真集を作ること〉(第8号)/〈荒木さんのこと〉(第9号)/〈カメラと眼〉(第10号)/〈対象〉(第11号)/〈撮ることも書くことも〉(第12号)/〈写真集をつくる〉(第13号)そこに立つ〉(第14号)


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【最新の媒体概要が下記で確認できます】

https://yoichijerry.tumblr.com/post/781043894583492608/


Vol.15 Coming! 20250401

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