2026/05/06

vol.16寄稿者&作品紹介16 早乙女ぐりこさん

 前号には〈蜘蛛と鬼ババ〉という掌編小説をご寄稿くださった早乙女ぐりこさん。ウィッチンケア第16号への寄稿作は、今年2月に上梓した小説「珍獣に合鍵」(KADOKAWA)に関連した、スピンオフ・エッセイとでも呼べそうな一篇です。今は亡き父方の祖父とご自身の関係を正直に語っておられるのですが、でもそれは同時に「作家・早乙女ぐりこ誕生秘話」でもあるような。...なんと言いますか、血は争えない、とか、メンタルな隔世遺伝、とか、蛙の孫は蛙(!?)、とか、いろいろな言い回しが頭に浮かんでくるような逸話が披露されています。もちろん早乙女さんも、その因果めいた関係性を認識しているので、文体は苦くすぐったいテイストを帯びていて、でも私(←発行人)が思うに、本作はあるできごとをきっかけに〝完全に心を閉ざした〟ままお別れになってしまった祖父に対する、少し遅れてしまった餞なのではないか、と。


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子どもの頃の筆者は国語が得意で、祖父になついていたようです。なぜなら〝堅実で、文学に縁遠い、自己表現の切実さなんてまったく理解し得ないうちの家族〟の中で、筆者と祖父だけが「もの書き」の素養を身に付けていたから。作中では、祖父の自伝にまつわる家族/親族間でのあれやこれや、また自伝の内容についての筆者の思いなどが語られていまして、これらのこと、第三者的に拝読すると微笑ましいと言いますか、クスリとしながら楽しんじゃうのですが...でも、当事者はけっこうたいへんだったかもしれない。とくに早乙女さんの自伝に対する評は、的を射ているだけに辛口でありまして、そこがまたおもしろい。
作品後半、筆者が「祖父よ」と率直に語りかけるくだりが3連続で登場します。〝祖父よ。私はあなたの助言を聞かずに〜〟〝祖父よ。あのときあなたの助言を聞いていたら〜〟〝祖父よ。あなたが「○○なんか」と侮った〜〟…。なかなかのパンチラインですが、もし祖父がご存命だったりしたら、果たして早乙女さんは同じことを? などとも考えてしまうのでした。みなさま、ぜひ小誌を手にとって、早乙女さんの祖父に対する、愛憎相半ばする心情をお確かめください。

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ウィッチンケア第16号(Witchenkare VOL.16) 発行日:2026年4月1日
出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりーは発行人の屋号)
A5 判:272ページ/定価(本体2,000円+税) 
ISBN:978-4-8-6538-180-1 C0095 ¥2000E

 このZINEの裏表紙には、祖父直筆の文字が踊っている。

 成せば成る成さねば成らぬ何事も成さぬは人の成さぬなりけり

 成せば成る、と言われてもなあ。同意反復しているだけで、そりゃそうだとしか言いようがない。正しくは「為せば成る」だ。そしてこれは勝手な推測だが、「為せば成る」と「面白きこともなき世を面白く」は、世の老人たちの自伝に頻出する言葉ランキングの上位に入るのではないだろうか。
 完成した祖父のZINEを、私は母から受け取って読んだ。読んでいて一番興味深かったのは、祖父が興した会社の経営が立ちゆかなくなった後のくだりだ。祖父に会社の倒産を告げられた祖母と父は、夜逃げ同然に家を出ることになる。祖父はひとり死を考えながら愛車のクラウンで当てもなく旅をする。このあたりのエピソードだけで丸一冊書けそうなのに、祖父はさらっと二ページくらいで書き流している。なんでだよもったいない。そこを掘り下げなくてどうするんだ。しかし、祖父にとっては向き合いたくない苦い思い出だったのだろう。
 代わりにこのZINEに詳しく書かれていたのは、会社がうまくいっていた頃のバブリーな自慢話や、旅行や同窓会の思い出、そして自分の親族や友人たちの生い立ちや人柄などだ。ありとあらゆる人物が実名で登場する上、かなりセンシティブな内容も書き込まれており、プライバシーもへったくれもない。母によれば、祖父の記憶違いによる、事実と異なる記述などもあれこれあったのだという。

~ウィッチンケア第16号掲載〈祖父の陣〉より引用~


早乙女ぐりこさん小誌バックナンバー掲載作品:蜘蛛と鬼ババ〉(第15号)

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2026/05/05

vol.16寄稿者&作品紹介15 鶴見済さん

 ウィッチンケア第14号からの寄稿者・鶴見済さんは、今年1月に「死ぬまで落ち着かない 六十年生きてみてわかった人生のこと」(太田出版)を上梓。好評で増刷もかかるなか、同書に関連した「死ぬまで落ち着かなくてもいい生き方(文筆家・鶴見済)【雨宮処凛のせんべろ酒場】」、「しぬのは怖い?『完全自○マニュアル』から30年、しを恐れる漫画家と語る人生後半の生き方【鶴見済×しりあがり寿】」といった対談動画がYouTubeにアップされています。そんな鶴見さんが小誌第16号にご寄稿くださったのは〈アメリカのフィメールラップにはまる〉。ラップ・ミュージックを題材としているが、いわゆる音楽エッセイではなく、ミュージシャンの生き様、というか“アティテュード”に筆者が共鳴して綴られた一篇なのです。


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作中で取り上げているのは一時期アメリカで隆盛だった「バッドビッチ系フィメールラップ」。おもしろい(...と言ったら失礼でしょうか、スイマセン)のは、話のマクラ的に〝好きなのに好きだとはなかなか言えない音楽〟としてニューミュージック、とくに、という日本のデュオを具体例として出して言及していること...じつは私(←発行人)も「風が好きだった」とは〝なかなか言えない〟...「海岸通り」をコピーして歌ってたくせに。ともあれ、カーディ・B、ミーガン・ザ・スタリオンと風を同じ距離で括って話を進めていく鶴見さんの音楽観に、シャープな独自性を感じたのです。
本作内では筆者の近著「死ぬまで落ち着かない〜」とフィメールラップの関係についても語られています。また鶴見さんのnoteでは、なぜ今回の小誌第16号への寄稿作を書いたのか、その真意も語られていて...双方の文面から私が感じ取ったのは、筆者のフィメールラップに対するセンシティヴでデリケートな対峙の作法でした。たしかに、このジャンルを興味本位とか面白半分とかだと思われないように語ることって、昨今の世の中では難しいかも。それでもなぜ、鶴見さんは敢えて書いたのか? ぜひ小誌を手に取って、お確かめいただければ嬉しく存じます。


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ウィッチンケア第16号(Witchenkare VOL.16) 発行日:2026年4月1日
出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりーは発行人の屋号)
A5 判:272ページ/定価(本体2,000円+税) 
ISBN:978-4-8-6538-180-1 C0095 ¥2000E


 このジャンルの代表曲とも言える『WAP』という曲がある。歌っているのは、カーディ・Bとミーガン・ザ・スタリオンという、このジャンルの最大級の人気ラッパーだ。WAPとはウェット・アス・プッシーの略。どういう意味のスラングかは調べてほしい。
 歌詞は女性性器、男性性器、男女の性交を直接的間接的に示す言葉のオンパレードで、性行為の主導権は私にあると強調されている。この曲は2020年に初登場で全米1位の大ヒット曲になった。とてつもなくメジャーであることも、このジャンルに注目する大きな要因だ。
 この曲を男の自分がいいと言うのは、ますます危ういだろう。もちろん性欲からの興味で見ていることも決してないと言っておきたい。ムーブメントとして、疑いようもなく注目に値するだろうと思うのだ。

~ウィッチンケア第16号掲載〈アメリカのフィメールラップにはまる〉より引用~


鶴見済さん小誌バックナンバー掲載作品:植物実験をしていた頃〉(第14号)〈推す気持ちがわかっていない〉(第15号)


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2026/05/04

vol.16寄稿者&作品紹介14 うのつのぶこさん

 ウィッチンケア第10号からの寄稿者・うのつのぶこさんは、今年2月15日におこなわれた町田市議会議員選挙に立候補。無所属の新人としてはトップの投票数を集め、めでたく当選しました。小誌は創刊以来さまざまな分野の人に寄稿依頼してきましたが、政治家の方は、第5号にご寄稿いただいた枝野幸男さんに続いて2人目。私(←発行人)はそれこそ“歩く無党派層”みたいな人間ですが、誌面に多彩な寄稿作が掲載されている本をつくることがなによりも楽しく...今号にうのつさんの選挙体験レポートを無事収めることができたこと、編集者として本望です(選挙日程との関係で、締切の辻褄合わせにちょっと冷や汗でしたがw)。


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ライターとしてキャリアを重ねてきたうのつさんが、なぜ政治家をめざしたのか。かなり率直に語られています。ちょっと、私がウィッチンケアを発行しようと決心した経緯に共通するものがあるので、わかるなぁ。また〝台本の読み合わせみたいな市の職員と議員のやりとりを聞いて「なにこれ?」と思うことが増えた。私自身、納得がいかない案件に関しては請願陳述といういわゆる異議申し立てを4回もした〟という記述...具体的にはどんな事柄に対して「納得がいかない案件」と感じていたのかは、本作中では敢えて伏せてありますが、これはこの先、市政の中で筆者が実現させていくことなのでしょう。なにしろリアル政治家なのですから、動けば変えられるはず。

立候補してみなければわからない候補者の大変さが、克明に書き残されています。告示から開票までの一週間というのが、どれほどの激務なのか。また、その間の人間関係というか人間模様というか...とくに無所属という立場で手作り選挙を成立させるのに必要な労力。〝選挙戦の苦労とは、チーム内の感受性の違いを受け止め、ときに板挟みになりつつもみんなが揉めず、和気藹々と最後までやっていけるように配慮すること〟という一文に、御輿を担いでもらった側ならではの矜持が凝縮されているように感じられました。みなさま、ぜひ小誌を手にとって、うのつさんの選挙戦を追体験してみてください。


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ウィッチンケア第16号(Witchenkare VOL.16) 発行日:2026年4月1日
出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりーは発行人の屋号)
A5 判:272ページ/定価(本体2,000円+税) 
ISBN:978-4-8-6538-180-1 C0095 ¥2000E



再びスマホを見るとまたしてもクレームっぽい。今度は「あなたの選挙カー、うるさいです。今オンライン会議中です。うちのエリアには入ってこないでください」というもの。おっしゃることわかります。私も「選挙カーうるさい」と思った経験がある。選挙カーの候補者名を見て「絶対この人には投票しない」と思ったこともある。「自分が嫌なことは人にもしないように」と親から言われて育ったのに、私は今、自分がされて嫌なことを人にしている。選挙カーはうるさくて迷惑だから借りないという選択もあったが、相談した10人中10人が「絶対選挙カーは必要」というので借りた。借りて正解だったのかどうかはわからない。クレーム以降、そのエリアには行かないことにしたが、ライバルの陣営が「うるさいからうちのエリアには来ないで」と連絡してくることもあると聞いて、なるほどと思った。クレームにもいろんな意味合いがあるのだ。

~ウィッチンケア第16号掲載〈見てる人は見てる〉より引用~

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2026/05/03

vol.16寄稿者&作品紹介13 武田砂鉄さん

 昨年9月からは文化放送で「武田砂鉄 ラジオマガジン」のパーソナリティも務めている武田砂鉄さん。月〜木の午前中が同番組で、金曜日の夜は引き続きTBSラジオで「武田砂鉄のプレ金ナイト」...このスケジュールを踏まえてライターとしての仕事もこなし、さらにロック系のコンサートにも足繁く通われているようで、ほんと、時間と体力のペース配分が抜群にうまくなければ成せない日々なのではないかと...くれぐれも、ご自愛ください。そんな武田さんとは先月、新刊「そんな気がする」関連のイベントでお目にかかりました。以前、ラジオで「Tシャツの日本史」の著者・高畑鍬名さんとの対談を拝聴していたので、この日の武田さんのTシャツの裾がタックインなのかアウトなのか気になり、アウトだったので「タックインはないですか?」と尋ねてみたら、「まだですね〜」と。正直、内心ホッとしました。もし武田さんがインだったら、自分も今後インにしてみようかなどと思っていたので...って、なんの話だ!?


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そんな武田さんのウィッチンケア第16号への寄稿作は〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉。あれ、前号でも? いやいや、今号で10回連続の〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉です。今回は冒頭からインタビュアーの武田さんに、主体性についての議論をふっかけていて、漆原氏、相変わらずお元気。〝主体性って「有無」で論じられがちですが、実は「濃淡」なんです〟という氏の持論を読み解こうとする武田さんは〝先日、大きな選挙がありましたけど〟と、おそらく自民党が316議席を獲得した第51回衆議院議員総選挙に絡めて話を進めようとするのですが、〝いや、そういうことではないんです。うまいことまとめようとしたのかもしれないけれど、そんなに単純な話ではない〟とバッサリ。
インタビュー後半になると、漆原氏の物言いはさらに苛烈になります。インタビュアーの武田さん、今回はきっちり言い返すことを敢えて避け、ドローに持ち込む作戦だったのかも。いつもはうまくまとめる対談後の地の文に、〝彼の中での思索が揺れ動いているのだろう〟という、判断保留ともとれる観察譚の一節もあり...。みなさま、ぜひ小誌を手にとって、漆原氏の語りたかった「主体」と「客体」についての真意を、慮ってみてください!


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ウィッチンケア第16号(Witchenkare VOL.16) 発行日:2026年4月1日
出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりーは発行人の屋号)
A5 判:272ページ/定価(本体2,000円+税) 
ISBN:978-4-8-6538-180-1 C0095 ¥2000E

──私も漆原さんの意見に賛同しますが、しかし、読者はそう思うとは限りません。自分の意見を押し付ける人が嫌われ、自分の意見を持ちつつもバランスをとりながら物事を前に進めていく姿勢が好まれる時代です。

 そこです。押し付ける、これ、よく聞く表現ですよね。でも、意見というのは、そもそも押し付けるものです。相手がそれを跳ね除けたり、受け止めたりするなかで議論が発生する。意見は届けるから意見です。郵便と同じです。ポストに入れて届けるからこそ郵便物なのであって、家にそのまま置いておいたら、それはいつまでも届かないでしょう。押し付けるな、ってなんですか。当たり前ですが、届けなければ届かないわけですね。この、届ける行為を諦めさせる手口が、主体にとっても客体にとっても、もっとも悪しきものなんです。


~ウィッチンケア第16号掲載〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉より引用~



武田砂鉄さん小誌バックナンバー掲載作品:キレなかったけど、キレたかもしれなかった〉(第6号)/〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉(第7号)/〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉(第8号)/〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉(第9号)/〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉(第10号)/〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉(第11号)/〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉(第12号)/〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉(第13号)〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉(第14号)〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉(第15号)

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2026/05/02

vol.16寄稿者&作品紹介12 モノ・ホーミーさん

イラストレーター/図案家のモノ・ホーミーさんのことを、私(←発行人)は以前からお名前(と作風)だけ存じ上げておりました。仙台の曲線さん、東京のAmleteronさん、名古屋のTOUTEN BOOKSTOREさん、神戸の1003さんなど、個性的な女性店主の独立系書店(いずれもウィッチンケアお取り扱い書店)と関わりの深いアーティスト...ただ、お目にかかったことはなく。それでっ、昨年の秋。私は町田市でのとあるイベントに出店しまして、そのとき小誌第15号をご購入くださった素敵な方がいまして、話を聞くとその方も同じイベントに出店している、と。たしか、名刺交換したのだと思います。それで「あっ、あなたさまが!」ということになり、私もモノ・ホーミーさんの詩画集「頭蓋骨を散歩する」を入手。...というようなご縁で今回、初めてご寄稿いただけることになったのです。


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ウィッチンケア第16号への寄稿作は〈ペトラルカと二人の弟〉。ダンテ、ボッカッチョと並ぶイタリア・ルネサンス期の三大詩人のひとり、フランチェスコ・ペトラルカについて、モノ・ホーミーさんはタロットカードの歴史を調べた際に関心を持った、とのこと。本作はペトラルカの著作や伝記、資料を読むうちに思い浮かんだある疑問について筆者が独自に推論を重ねていく、ミステリー・エッセイとでも名付けたい一篇です。ペトラルカにはゲラルドという弟がひとりいたが、作品タイトルには「二人の弟」と。何故? ...ここでのネタバレはもったいないので、ぜひ小誌を手にして“コトの真相”をお確かめください!
モノ・ホーミーさんは今年3月、西荻窪のFALLにてペトラルカの作品世界を鉛筆画で表現した個展「心臓たちへ」を開催。また同展覧会に合わせて、ペトラルカの詩集『凱旋』の読書記録/内容紹介、そしてなぜこの作品を題材に選んだのかについて書いたZINE『巡る太陽と「凱旋」』も制作しています。小誌に掲載した〈ペトラルカと二人の弟〉も、筆者の作品群の一端として記されたものであること、発行人として嬉しい限りです。
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ウィッチンケア第16号(Witchenkare VOL.16) 発行日:2026年4月1日
出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりーは発行人の屋号)
A5 判:272ページ/定価(本体2,000円+税) 
ISBN:978-4-8-6538-180-1 C0095 ¥2000E

 古代ローマというモチーフが世間でもてはやされた理由は、なんとなくわかるような気がする。ラテン語やローマの神々の名が現在に至るまで知的な権威を保っているのは、ローマ帝国がかつて地中海全域からメソポタミアにかけて君臨した時代があったからにほかならない。だからこそ、十四世紀イタリアに乱立していた都市国家はそれぞれの正当性を担保するために、その威信を利用しようと考えた。文芸なり美術なりの作家たちはその輝かしい栄華にあずかって技を競い、自らの名声を後の世まで轟かせようとした。いずれも不思議な点はないように思える。しかし本気で、本物の古代ローマの文化を現実に復興しようというのは、正直言って狂気じみているという感じがしないでもない。なぜペトラルカはこんなにも思い詰めた思想にとらわれてしまったのだろうか。

~ウィッチンケア第16号掲載〈ペトラルカと二人の弟〉より引用~


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Vol.16 Coming! 20260401

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yoichijerryは当ブログ主宰者(個人)がなにかおもしろそうなことをやってみるときの屋号みたいなものです。 http://www.facebook.com/Witchenkare