2023/03/19

太田明日香さんとの作業の進めかた

ウィッチンケア第13号の装幀(というか、Art Direction/Design)は前号に引き続き太田明日香さんにお願いしました。太田さんは1995年生まれ...その年の私はすでにフリーランスで、仕事環境はといえば、メイン機器が東芝RUPO(ワープロです)とSONYの留守電機能付きコードレスフォン、だった記憶が。

でっ、翌年の秋に漢字Talk 7.5(OSです)搭載のApple Macintosh Performa 6260を買って、それまではフロッピーを出版社に届けていたのに、初めてニフティサーブ(パソコン通信です/インターネットじゃありません)で原稿が相手に届いたことに驚愕して...って、このテの昔話はどうでも良いんですが、いやしかし、今号での私と太田さんとの仕事の進めかたと当時の環境を比較すると、そりゃもう隔世の感。。。

太田さんとはなるべく「システマティックな本の作り方」をしたいな、と思って実行しています。私のうっかりミスが多いので何度もやり直しをお願いしたりして恐縮なんですが、それでも、おおよその作業はGoogle ドライブ内で。補助的にメールと、あとLINE通話が2回あったかな。

あくまでも経験による感覚ですが、もし1995年に200ページ程の写真をそれなりに使う本を共同制作していたら、たぶん実質の制作期間(約2か月)で20回くらい会って100回くらい電話して、ケースによっては3回くらい“揉め事”になって、やっと「お疲れ様〜」だったような感じがする。ほんと、時代は変わりました(良くなったと思う)。

あれ? 太田明日香さんの仕事について紹介するはずが、いにしえの諸々についてのボヤキばっかりに。いや、私がここで言いたいのは、とくにこの時代に「紙の本を作りたい」なんて思っているかたがいらっしゃいましたら、ぜひ太田さんと連絡をとってみてください、と、それに尽きます。こんなにも編集者マインドを理解してくれたうえで的確な作業をできる若いエディトリアル・デザイナーさんなんて、いまどきねえ。とにもかくにも太田さん、今号での作業、本当にご苦労様でした!




ということで、太田さんのデザイナーとしての特長etc.については、前号での紹介文をもう一度ご参照ください。


※「ウィッチンケア」第12号:デザイナー・太田明日香さんについて

https://note.com/yoichijerry/n/ncbd5a385dbaf


4月1日正式発行の「ウィッチンケア」第13号、アマゾンでの予約も始まりました。みなさま、ぜひぜひ!

https://amzn.to/3ZJ7dY3



2023/03/15

写真家・千賀健史さんについて

ウィッチンケア第13号に掲載されたすべての写真は、千賀健史(ちが・けんじ)さんの作品です。


     ●  ●  ●


小誌は第9号以降、寄稿作(テキスト)以外のほぼすべてが写真家の作品発表スペース(紙のギャラリー)となるようなレイアウトに変更しました。vol.9の菅野恒平さん、vol.10の長田果純さん、vol.11の岩田量自さん、VOL.12の白山静さんに続き、今回はどなたにお願いしようかと...。


今号は第「13」号なんだよなぁ、べつに私はキリスト教徒でもなんでもないんですが、なんとなく不吉な数字だなぁ、という気持ちはありまして、ならば、その不吉さを創作の意欲に〝書き換え〟して、いままでトライしたことのないビジュアルの1冊にしちゃおうか、そんなことを昨年の秋ごろ考えていましたら、あるご縁があって千賀さんと知り合いました。

千賀健史さんは1982年滋賀県生まれ。大阪大学基礎工学部を卒業後、写真作家としての活動を開始。2010年代半ばからハンドメイドによる写真集作りを始め、2017年に第16回「 1_WALL」写真部門グランプリ受賞。その後も国内外の賞をいくつか受賞しています。リサーチをベースとしたドキュメンタリー作品の制作がメインで、たとえば「貧困格差」「自殺」「オレオレ詐欺」といった、撮影することが困難な題材をコンセプトに沿った手法で視覚化。手製の写真集は海外でも高く評価されています。より詳しくは、下記URLでの千賀さんと審査員とのやりとりを読んでみると、その世界観が伝わってくるはず。

写真新世紀:2021年度[第44回公募]グランプリ選出公開審査会報告

https://global.canon/ja/newcosmos/closeup/exhibition-report-2021/kenji-chiga/index.html


写真を生業とする方の肩書きにはさまざまあって、たとえばフォトグラファーとか写真家とか、日本ではむかしからカメラマン(これは最近はCamera OperatorとかCamera Personなのかも?)、とか。千賀さんの場合は、飯沢耕太郎さんから「ニューフォトジャーナリズムの旗手」と評されたように、フォトジャーナリスト/写真作家というのがふさわしいと思います。

でっ、そんな千賀さんの作品と小誌の「13」がなんで、結びついたのか!?

いわゆる〝ホラーっぽい〟、みたいなわかりやすい「13」の読み解きヴィジュアルではなく、いまの世の中に漂う「13」的な不穏さを、千賀さんの作品世界と摺り合わせることで、2023年4月1日(Aplril Fool)に発行する1冊の装いとしてみたかったのです。さて、その目論見がうまくいったかどうかは、小誌を手にしてのお楽しみ、ということで。



表紙画像の他に、千賀さんの最近の作品をもう1枚、掲載します。興味を持たれたかたは、ぜひ千賀さんの公式サイトSNSにアクセスしてみてください。


そして、千賀さんの最新写真集「HIJACK GENI」も、現在発売中(残部少)。こちらも、ぜひぜひ。

https://reminders-project.org/rps/hijackgenisalejp/


2023/03/13

ウィッチンケア第13号校了!

東京では今日にでも桜の開花宣言が、とも言われていたのに、午前中の天気は暴風豪雨。...なんとも第「13」号の門出にふさわしい13日の月曜日です。

本日午後、ウィッチンケア第13号無事校了。寄稿者、制作関係者のみなさま、ありがとうございました。そして、ここからは(ネットを含む)書店のみなさまのお世話になることに。みなさまあっての小誌、と今回もあらためて肝に銘じます! ひとりでも多くの読者に届くことを、切に願いつつ。



今号は使用する紙が変わりました。第7号からの《ホワイトコハクライト》が生産終了のため、《オペラホワイトマックス》へと。印刷/製本をお願いしている株式会社シナノパブリッシングプレスの担当者に聞いたところ「少し厚くて、でも軽くなります」とのこと。また前号は表紙にマットPP加工を施しましたが、今号は写真家・千賀健史さんの作風に合わせたグロスPPで。

軽くてツルツルしてて、パッと見は美しいんだけれどもどこか不穏な「13」号。取次会社の(株)JRCと直取引のある大型書店さま、また弊者(yoichijerry/not「社」)と直取引のある独立系書店さまでは、早ければ3月25日(土曜日)頃から並び始めるはずです。

そして、アマゾンでの予約も開始しました!

みなさま、どうぞよろしくお願い申し上げます!

★書店関係の皆様、小誌第12号(BNも)のご注文は(株)JRCの下記URL、

またはBOOKCELLAR、

にて、よろしくお願い致します。

























ウィッチンケア第13号(Witchenkare VOL.13)
発行日:2023年4月1日
出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりー/発行人の屋号)
A5 判:224ページ/定価(本体1,600円+税)
ISBN::978-4-86538-146-7 C0095 ¥1600E



【寄稿者/掲載作品】 ~「もくじ」より〜

006 荻原魚雷/社会恐怖症
010 中野 純/臥学と歩学で天の川流域に暮らす
016 野村佑香/おしごと 〜Love Myself〜
022 加藤一陽/リトルトリップ
028 蜂本みさ/せんべいを割る仕事
034 コメカ/さようなら、「2010年代」
040 木俣 冬/まぼろしの、
044 久禮亮太/フラヌール書店ができるまで
050 すずめ 園/惑星野屋敷
058 荒木優太/不届きものの後始末
062 美馬亜貴子/スウィート・ビター・キャンディ
066 武田 徹/鶴見俊輔の詩 〜リカルシトランスに抗うもの〜
072 久山めぐみ/坂元裕二と普通であることとメロドラマについてのノート
078 柳瀬博一/カワセミ都市トーキョー 序論
086 朝井麻由美/削って削って削って
090 武田砂鉄/クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー
096 宇野津暢子/好きにすればよい
102 多田洋一/パイドパイパーハウスとトニーバンクス
116 トミヤマユキコ/変名で生きてみるのもええじゃないか
120 長谷川町蔵/ルーフトップ バー
126 小川たまか/別の理由
132 吉田亮人/写真集をつくる
136 谷亜ヒロコ/ホス狂いと育児がほぼ同じだった件
140 武藤 充/氷武藤家の足跡
144 久保憲司/余命13年
150 仲俣暁生/ホワイト・アルバム
156 柴 那典/ベーグルとロースとんかつ
162 清水伸宏/アンインストール
170 ふくだりょうこ/この後はお好きにどうぞ
174 矢野利裕/3年ぶりの合唱──『学校するからだ』のアナザーストーリーとして
180 藤森陽子/梅は聞いたか
184 木村重樹/アグリーセーター と「本当は優しい鬼畜系」の話
190 宮崎智之/書くことについての断章
196 東間 嶺/口にしちゃいけないって言われてることはだいたい口にしちゃいけない
202 かとうちあき/おネズミ様や
206 山本莉会/かわいいみんなのおだやかでない話
210 我妻俊樹/北極星
218 参加者のVOICE
223 バックナンバー紹介

編集/発行:多田洋一
写真:千賀健史
Art Direction/Design:太田明日香
取次:株式会社JRC(人文・社会科学書流通センター)
印刷/製本:株式会社シナノパブリッシングプレス

《2010年4月創刊の文芸創作誌「Witchenkare(ウィッチンケア)」は今号で第13号となります。発行人・多田洋一が「ぜひこの人に!」と寄稿依頼した、37名の書き下ろし作品が掲載されています。書き手にとって、小誌はつねに新しい創作のきっかけとなる「試し」の場。多彩な分野で活躍する人の「いま書いてみたいこと」を1冊の本に纏めました!》

[公式SNS]

2023/02/09

次の「ウィッチンケア」、暖まってきました。

 2023年4月1日の正式発行に向けて、鋭意編集作業中のウィッチンケア第13号。東京は明日積雪、なんて情報も流れてくるけれども、今日の拙宅の庭では梅も木蓮も「もう春ってことでOK?」という感じに暖まってきています。まだ風は冷たいですが。




現在、表紙まわりのレイアウトは概ね決定。アート・ディレクションは前号に引き続き太田明日香さんが担ってくださっています。写真家は、第12号の白山静さんから千賀健史さんへとバトンタッチ。千賀さんについては後日あらためてご紹介しますね。

日々、寄稿者と原稿のやりとりを重ねています。来週には締め切り日があるので、この作業はさらに加速し、月末には概要を発表できるよう頑張ります(頑張ってます)。そして、書店様向けの販売(委託含む)予約をBOOK CELLARで、世界の皆様向けの予約をアマゾンで開始しました。

【amazon.co.jp】
00m.in/WK7Os

なお第3号〜第12号については(とくに古い号については)、小誌お取り扱い書店以外ですと《Witchenkare STORE》でも購入可能。どうぞよろしくお願い致します。

【ウィッチンケアを手に取れる書店】
https://note.com/yoichijerry/n/n70c9bda7b608

【Witchenkare STORE】
https://yoichi041.stores.jp

ということで、次号の「ウィッチンケア」発行に向けて諸々、暖まってきています。Web上でこれまでの掲載作が無料で読めるnote版《ウィッチンケア文庫》にも、あらたに荻原魚雷さん、トミヤマユキコさん、清水伸宏さんの作品を追加し、全27作にアップデート。皆様、ぜひアクセスしてみてください!

...なんか、お知らせばかりでスイマセン。次回の更新では、より具体的なことをお伝えできるよう頑張る所存です!


2022/12/31

ウィッチンケア第13号、2023年4月1日に発行します!

 2022年は「えっ!?」とか「うっ...」とか、言葉に詰まるようなできごとが公私ともに多かった印象があります。

「えっ!?」は...たとえば2月、ウィッチンケア第12号の編集作業が大詰めに近づいたころにロシアがウクライナへの軍事行動を開始。そして、たとえば7月、参議院選挙の終盤に安倍晋三元首相の銃撃事件。この日、私は午前中に銀行へ行く用事があって、その帰りにパンを買おうと思ってクルマを走らせていました。ラジオはTBS「ジェーン・スー 生活は踊る」。たしか、臨時ニュースが挟み込まれて、柴田秀一アナウンサーが「奈良県の立ち会い演説会で政治家が襲われた」みたいなことを伝えていて、その最後に「撃たれたのは安倍晋三元首相、心肺停止との情報が」と。まだ12時をまわっていなかったと記憶していますが、さすがに耳を疑いました。

「うっ...」のほうは、おもに私的な面であまりよくないことが秋から冬にかけて頻発。周囲の人のありがたさをしみじみ感じた1年でした。具体的なことは...愚痴なので控えるべきですが、でも、ちょっと。11月某日、30日間の免停処分となった私は、朝から府中運転免許試験場で免停講習を受けていました。長らくゴールド免許保持者だったのに、なんで今年(それもほぼ夏〜秋)は警察に好かれてしまったんだろう...まあ、とにかく切り替えて、今年分の厄災を倍返ししてやる2023年になるよう頑張ります!

と、漫然とボヤいてますが、でもよいことも少なからずあったんですよ。一番嬉しかったのは、4月に発行したウィッチンケア第12号を、これまでで最多の読者に届けられたこと。お取り扱いくださった書店の皆様に大感謝です! そしてこの機運を大事にしてさらなるチューンナップを施した第13号を、2023年4月1日に世に送り出そうと思います。どうぞご期待ください!!

そろそろ紅白歌合戦が始まりますが、なんだかんだ言いながら今年も見るんだと思います。知らない人がたくさん。でも、とにかく見てみる。2022年は国内外ともに「おっ!!」と感じる音楽と出会うことが少なくて、「どうせもうオレはアウト・オブ・デイトなんだし」と心寂しく古い曲ばかり聴いていたんですよね。しかし、年末になってちょっと素敵なのを(数ヶ月遅れで)発見。それを貼り付けて今年を締めようと思います。Alvvaysの「Belinda Says」。それではみなさま、よい新年をお迎えください。



Vol.13 Coming! 20230401

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