ふと気づけば、私は今月もディスクユニオンで至福の散財をしてしまっているわけですが(吉祥寺店でJon Brionの「Meaningless」のアナログ盤を適価で発見!)、そのユニオンさんの出版部門であるDU BOOKSの編集長・稲葉将樹さんのウィッチンケア第16号への寄稿作は、ご自身の身体にまつわる不具合を題材に、視覚についての考察を巡らせたエッセイ。初夏に斜視の手術が控えていることもあって冒頭から「気が重い」と...序盤はかなり痛そうなトピックが続きまして、心中、お察し致します。しかしながら、本作がいわゆる「闘病記」的な苦労話ではないのは、筆者の卓越した教養と洞察力の賜物ではないでしょうか。
2026/04/25
2026/04/24
vol.16寄稿者&作品紹介04 絶対に終電を逃さない女さん
昨年11月に発売されたご自身にとって2冊目の著書「虚弱に生きる」が増刷を繰り返している、絶対に終電を逃さない女さん(以後「終女」さん)。私はこれまで「ヒットした本」にスタッフとして関わったことはある(ふりかけの裏面に表示されている〈原材料:海苔〉みたいなクレジットで...)ものの、自ら「ヒットした本」を書いたことなどないので、ただただ「素晴らしい! おめでとうございます」と感服してしまいます。そんな終女さんがウィッチンケア第16号にご寄稿くださったのは、〈今「売れている」私の現状〉と題された、まさに今だからこそ書いておきたかったのであろう、おカネと人間関係、そして信念にまつわるエッセイ。(こういうこと、小誌は大歓迎です!)


出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりーは発行人の屋号)
A5 判:272ページ/定価(本体2,000円+税)
~ウィッチンケア第16号掲載〈今「売れている」私の現状〉より引用~
※ウィッチンケア第16号は下記のリアル&ネット書店でお求めください!
【最新の媒体概要が下記で確認できます】https://yoichijerry.tumblr.com/post/810515107182460928/
2026/04/23
vol.16寄稿者&作品紹介03 佐々木敦さん
前号にはとって〜も長いタイトルの一篇をご寄稿くださった佐々木敦さん。同じ路線を継承するのかな、と思っていましたら、ウィッチンケア第16号ではまったく違う作風のエッセイ...ごくごく個人的な、ある友人との思い出を綴った作品を(こういうこと、小誌は大歓迎です!)。...ちょっと変な言い方になるかもしれませんが、私にとって佐々木さんの本やネット上のテキストは、つねになにかを「学ぶ」ための原典だったように思われ(それは前号掲載作でも)、それが今回〝素のままの佐々木敦さん〟と言いますか、お人柄が伝わってくるテキストと接して、とても新鮮な気持ちになりました──心優しい兄貴、みたいな佐々木さん像。
「A君のこと」と題されたエッセイ。A君とは筆者が小学五年生のときの同級生で、ある事情があり、年齢は1歳上だった、とのこと。当時の担任の先生から頼まれて、クラス委員か何かだった筆者はA君の面倒を見る役割を担うことに。そのA君との交流の様子やクラスメイトのこと、A君の弟から聞いた過去のあるできごとについてなどが、淡々とした筆致で語られています。そして、ある日、A君と筆者、そしてクラスメイトとの関係性が大きく変わるできごとがあって、それはA君が「ササキの誕生日、何年何月何日?」と唐突に訊ねたのが発端。作中では「サヴァン」という言葉が使われていますが、A君はサヴァン症候群(Savant Syndrome)に見られる特殊な才能を、まずは筆者、その後は他のクラスメイトなどにも開陳し始めるのです。
本作を拝読して、私も中学1年生だったときの、ある同級生のことを思い出しました。私はクラス委員ではなかったし、担任から何かを頼まれたわけでもなかったので、同級生としてごく普通に接していた...いや、正直に言うと、どう接していいのかよくわからず、ちょっと敬遠気味に1年間をやり過ごしたかもしれないな。佐々木さんは終盤で〝だが、どうしてか私はA君のことを何度も思い出す。それは彼の声だ。「ササキの誕生日、昭和39年7月8日水曜日!」〟と記していますが、こういう「繰り返される記憶の断片」って、とてもリアルに感じられました。...A君がどんな人だったのかは、ぜひ小誌を手にしてお確かめください。
出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりーは発行人の屋号)
A5 判:272ページ/定価(本体2,000円+税)
翌日の学校はこのことで持ちきりだった。クラスメイトは次々とA君に自分が生まれた日の曜日を問い、彼は即座に正答した。考えているらしき時間は全くなかった。答える時のA君はどこか誇らしげで、なんだか大人っぽくさえ見えた。誰かがカレンダー(?)を持ってきて、何年何月何日は何曜日? をデタラメに質問していったが、A君は難なく答えを口にした。彼は一躍クラスの、いや学校の話題を独占することとなった。
~ウィッチンケア第16号掲載〈A君のこと〉より引用~
佐々木敦さん小誌バックナンバー掲載作品:〈おそらく実現されることはないであろうわたくしの夢のひとり出版社の、もしも実現したとしてもおそらく実現できることはないであろう、夢の刊行予定リスト〉(第15号)
※ウィッチンケア第16号は下記のリアル&ネット書店でお求めください!
【最新の媒体概要が下記で確認できます】https://yoichijerry.tumblr.com/post/810515107182460928/
2026/04/22
vol.16寄稿者&作品紹介02 山本アマネさん
前号からの寄稿者・山本アマネさんはイラストレーター/グラフィックデザイナーとして活躍中。昨年秋、そして先月はエミリ・ディキンスンの詩集「Envelope Poems」から着想を得た作品展「Unknown Letters」を、東京・高円寺のAmleteronと神戸の書店1003で開催。この展示会での作品は1003のオンラインストアで、今月いっぱい販売されています。


出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりーは発行人の屋号)
A5 判:272ページ/定価(本体2,000円+税)
~ウィッチンケア第16号掲載〈時間と自由〉より引用~
山本アマネさん小誌バックナンバー掲載作品:〈いつも読書の途中〉(第15号)
※ウィッチンケア第16号は下記のリアル&ネット書店でお求めください!
【最新の媒体概要が下記で確認できます】https://yoichijerry.tumblr.com/post/810515107182460928/
2026/04/21
vol.16寄稿者&作品紹介01 柳瀬博一さん
ウィッチンケア第5号からの寄稿者・柳瀬博一さんは今号の巻末にある《参加者のVOICE》欄で「これからは土木っす!」と記していますが、これは勤務先の大学(柳瀬さんは東京科学大学リベラルアーツ研究教育院教授〈メディア論〉なのです)で2024年から推進している、横浜キャンパスに「ホタルが暮らせる谷」を再生・創造するプロジェクトについてのコメント。柳瀬さんのnoteには進行具合が克明に記録されていて、小誌への原稿執筆頃の写真には、土木作業に勤しむ柳瀬教授の勇姿も。今年の夏には、すずかけ池の棚田にホタルが戻ってくることを祈ります。みなさま、ぜひアクセスしてみてください!
そんな柳瀬さんの今号への寄稿作が扱っているテーマは、ほんと、誰にとっても他人事ではない問題です。ダブルケア、とは二つの世代(親と子)をケアする、の意、平たく言い換えれば、子育てと親の介護が同時進行の人。柳瀬さんは、該当するのは「現在40台半ばから60代前半」の過半数、という見立てで持論を展開しています。政府が2016年に見積もったダブルケア当事者人口は25万人。しかし、この調査におけるダブルケアの定義は①要介護の親を持ち ②未就学児の子供を持っている当事者、だと。「ダブルケアの当事者として言わせてもらうが、この政府の試算ではダブルケアの実態から大きく乖離する」との柳瀬さんの意見に、私も肌感で同意です。だって、小誌寄稿者のなかにも、この問題と向き合いつつ生活を成り立たせている方が、少なくもなくいらっしゃるし。
「①まだ社会に出ていない高校もしくは大学までの子供 ②65歳以上の老人、の親であり子である世代」という条件で、柳瀬さんがAIに算出させたダブルケアの当事者および予備軍の数! ぜひ小誌を手にしてお確かめください、びっくりですよ。ただでさえ少子高齢化が進む我が国の、「なぜか政府もメディアもはっきり可視化させない問題。あまりに巨大であるがゆえに。日本の未来の行く末を左右する問題」。さらに寄稿作後半では「ダブルケア・クライシス」とともに「介護帰省クライシス」にも触れられていて...自分の場合(東京と千葉の夫婦/子供なし)、いかに軽負担なのかと思い知らされました。それでも、実父母義父母をおくるまでは諸々たいへんだったのですけれども。
出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりーは発行人の屋号)
A5 判:272ページ/定価(本体2,000円+税)
※ウィッチンケア第16号は下記のリアル&ネット書店でお求めください!
【最新の媒体概要が下記で確認できます】https://yoichijerry.tumblr.com/post/810515107182460928/
Vol.16 Coming! 20260401
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- yoichijerryは当ブログ主宰者(個人)がなにかおもしろそうなことをやってみるときの屋号みたいなものです。 http://www.facebook.com/Witchenkare

