2018年6月14日(木曜日)は梅雨時らしい薄曇りの1日でした。<ウィッチンケアのM&Lな夕べ 〜第9号発行記念イベント〜>は多くの参加者に恵まれ、無事に開催することができました。同じ場に居合わせることができたすべてのかたに感謝致します。当日のタイムテーブルをもとに、どんなイベントだったのか、ご報告。たぶん長〜くなりますが、ぜひぜひ、ご一読のほどよろしくお願い申し上げます!
アイスココア
【〜17:00】
会場オープンは午後6時で、準備は1時間前の5時から。私(多田洋一/文芸創作誌「ウィッチンケア」発行人)はさらに20分ほど早く会場である
LOFT9 Shibuyaに到着し、同店のオープンカフェのテーブルで一人、アイスココアを飲んでいました。この一帯、私が学生だったころは「ワケありの坂道」って印象が強かったけれども、いまは猥雑さとカルチャー的なものがせめぎ合い、2018年の感覚だと、再開発が進む駅周辺や公園通り方面と比べても、いわゆる渋谷系(いや、そのもっと前の「道玄坂のヤマハ」とか「B.Y.G」とかを源流にする...)な雰囲気を残していて、ある種の懐かしさもな〜...みたいなぼんやりした感慨に耽っていると、あっ、もうすぐ17:00だ。
トロワ・シャンブル〜桜〜LOFT9 Shibuya
【〜19:00】
今回の企画を快くGOしてくださった店長さんにご挨拶して、店内へ。持参した荷物を整理していると、ほどなく木村重樹さん、そして仲俣暁生さんの姿が。じつは本イベント、昨年12月からお二人とともに計画を練っていたのです。ウィッチンケアは第9号も出す、寄稿予定者など概要も決まった、2018年4月1日の発行と連動させた誌面以外の展開もなにかしたい。それは、たとえば、取り扱い書店さんとのタイアップによるトークショーや読書会のようなもの? 下北沢の喫茶店「トロワ・シャンブル」での、短くはないお茶会。「ウィッチンケアなら音楽イベントでしょう。会場は、渋谷のLOFT9とか。貸してもらえるかどうか、伝手があるので私が訊いてみましょう」との、仲俣さんからの心強いご提案があって、動き出したのでした。
年が明け、雪の多い2018年。第9号の制作は佳境に入り、無事校了を迎え、予定どおりエイプリル・フールに発行。企画GOをいただいたLOFT9さんとの最初の打ち合わせが3月29日。今年は桜が早くて、百軒店にある太田道灌由来の千代田稲荷神社では、もう散り始めていた記憶が。
その後、内容を考えて、登壇者としてご参加いただけないかと思ったかたと個別に相談して、フェイスブックでの<イベントページ>作成後は本企画について「私、仲俣さん、木村さんの共同主宰」とし、ネットやチラシで告知を始めて、そしてあっというまに、当日(...SNSなどでは直前まで、いろいろ賑やかにしてすいませんでした)。
6時をまわると、店内BGMは本イベント仕様のものにチェンジ。5月下旬、私が手持ち音源から80曲(
※文末にリストあり)を選んで〝あとはおまかせ〟で渡したものをメインに、総合音楽プロデューサーの木村さんが応変に流してくれました。選曲については「オレの大好きな曲をみんな聴け!」的な気持ちをかなり自制して、中庸さというか、これから終了までのどこかで鳴っていても全体のムードが保てそうな機能のもの(エレベーター・ミュージックのように!?)をピックアップした、つもり(それでもゴリ押しなんですが)。アナログ盤とカセットテープの時代から「My Best Selection」みたいなのをつくり続けてきましたが、それって煎じ詰めるとけっきょく「自分は自分の好きな曲(ほぼ同じもの!?)しか好きになれない←自分の幅/限界がわかる」というジレンマに陥るので、本イベントの主役はなによりも4名のDJの音楽、と思っていたのでした。しかし、それでも。サウンドチェックも兼ねた1曲目のマックス・ミドルトンが大音量でかかると妙に高揚している自分に気づき、そうこうしているうちに参加者のみなさま、そしてご登壇をお願いしているかたの姿が続々と。あっ、もうすぐ19:00だ。
仲俣暁生さんの「ウィッチンケア」掲載作品
「父という謎」(第3号)/「国破れて」(第4号)/「ダイアリーとライブラリーのあいだに」(第5号)/「1985年のセンチメンタルジャーニー」(第6号)/<夏は「北しなの線」に乗って 〜旧牟礼村・初訪問記>(第7号)/「忘れてしまっていたこと」(第8号)/「大切な本はいつも、家の外にあった」(第9号)
木村重樹さんの「ウィッチンケア」掲載作品
「私が通り過ぎていった〝お店〟たち」(第2号&《note版ウィッチンケア文庫》)/「更新期の〝オルタナ〟」(第3号)/『マジカル・プリンテッド・マター 、あるいは、70年代から覗く 「未来のミュージアム」』(第4号)/『ピーター・ガブリエルの「雑誌みたいなアルバム」4枚:雑感』(第5号)/「40年後の〝家出娘たち〟」(第6号)/「映画の中の〝ここではないどこか〟[悪場所篇]」(第7号)/<瀕死のサブカルチャー、あるいは「モテとおじさんとサブカル」>(第8号)/<古本と文庫本と、そして「精神世界の本」をめぐるノスタルジー>(第9号)
《floor BGM set list》
Mr.Godsky〈Max Middleton〉/Voluntary Arrangement〈Durutti Column〉/Talk To Me〈Joni Mitchell〉/Looking For Atlantis(extended)〈Prefab Sprout〉/The Goodbye Look〈Donald Fagen〉/World In My Eyes〈Depeche Mode〉/Some Things Never Change〈Fra Lippo Lippi〉/Fool's Complaint〈Suzanne Vega〉/Lovelines〈Karen Carpenter〉/The Crunge〈Joshua Redman Elastic Band〉/Don't Walk Away〈Cabaret Voltaire〉/The Trans-Love Express〈Jean-Luc Ponty〉/Hello Jeff〈Stanley Clarke〉
開宴
【19:00〜】
定刻スタート。最初の挨拶で私は「第9号が出てよかった。今日は、誰もいないんじゃないかと...」と、すでに言葉に詰まり気味(恥)。仲俣さんがすかさずフォローしてくださり、このイベントが日頃「誌面だけのおつきあい」になりがちな寄稿者、制作陣、読者etc.がリアルの場で会うための場であること、なかなか売れないウィッチンケアの売り上げにもつながれば、と。この「仲俣さんのフォロー」には終宴まで助けられっぱなしでして、私は自身の対人コミュ力のなさを痛感するとともに、あらためて仲俣さんの〝言葉と行動が合致した、人としてのパワー〟に感服した次第。そしてもう一人の共同主宰者である木村さんはというと、笑顔の挨拶ひとことだけで、以後は終始音楽ブースにてタイムスケジュールとサウンドを管轄してくださり...このお二人がいなければ、ほんとに「誰もいない」になっていた、いや、そもそもイベントが成立してない、と、頭の下がる思いです(大感謝!)。乾杯、フロアにはマイ・ブラディ・ヴァレンタインの「New You」が流れ、壇上には一番手となるDJの姿が。
長谷川町蔵さん
【19:10〜】
「New You」は長谷川町蔵さんがウィッチンケア第7号に寄稿してくださった掌編のタイトルでもあります。同作を含む長谷川さんの小説「
あたしたちの未来はきっと」が発行されたのは昨年1月。どんな音楽がかかるのか、たぶんヒップホップ系? 思い起こせば長谷川さんに寄稿依頼したのは第4号が最初で、それは震災の年の秋に刊行された「
文化系のためのヒップホップ入門」に感銘を受けたからで、初めてお目にかかるさいには勝手な妄想で「どんなヒップホッピーな風貌のガイが現れても驚かないぞ」(イメージとしては
Notorious B.I.G.とか)と覚悟していたことなど思い返していたのですが、なんとターンテーブルにはドーナツ盤!? そして流れてきたのが日本語...知らない歌謡曲というかシティ・ポップスというか、でも、すごくグルーヴィーなのでした。
《DJ hasegawa machizo set list》
稲垣潤一「オーシャン・ブルー」※松任谷由実作曲、正隆編曲/近藤真彦「永遠に秘密さ」※山下達郎作編曲/チャー「気絶するほど悩ましい」/岩崎良美「ごめんねダーリン」※尾崎亜美作曲、鈴木茂編曲/岩崎宏美「夏に抱かれて」/野口五郎「女になって出直せよ」※演奏はサンボーンやTOTOのメンバー
DJ終了後、ステージで少し話を。「こんな音の良い会場とは思わず、おちゃらけを...」と謙遜していましたが、いやあ、心地好い予想外しでした。長谷川さん曰く「ある時期以降の邦楽は聞いてないけど、今日かけた曲のころは聞いていました」と。そして選曲のテーマは〝ヒップホップ以降の耳で聞き直した歌謡曲〟、とのこと。稲垣は杉山清貴かな、とかも思いつつ謎のまま...マッチは後日正解を伺うまでまで誰だかわからず...チャーは、じつは私、語れと言われれば山ほど語りたいことあるんですが、この曲に関しては「While My Guitar Gently Weeps」由来ですよね、くらいで完全に死角...そして、まさか2018年の渋谷で岩崎姉妹の歌に踊り出したくなるなんて! 野口五郎(「オレンジの雨」が好き!)も、ギタリストとしての活動は知っていたけどU.S.A.の腕利きとコラボした楽曲は初めて聞いたし、少しまえに西城秀樹の訃報でむかしのことを思い出していたので、感慨深かったです。...私、こういう歌謡曲を聴くと「港のヨーコ」ってどんな人だったんだろう、とか思いを馳せてしまう(ちょっと時代ずれてるw)。長谷川さん、素敵な音楽をありがとうございました!
長谷川町蔵さんの「ウィッチンケア」掲載作品
「ビッグマックの形をした、とびきり素敵なマクドナルド」(第4号&《note版ウィッチンケア文庫》)/「プリンス・アンド・ノイズ」(第5号)/「サードウェイブ」(第6号)/「New You」(第7号)/「三月の水」(第8号)/「30年」(第9号)※第5〜7号掲載作は「あたしたちの未来はきっと」(タバブックス刊)として書籍化!
武田徹さん
【19:35〜】
武田さんとはステージ上の椅子に座って曲に耳を傾けました。DJは初体験、とのこと。最初は曲のピッチを合わせるetc.DJ的なことをしたほうがよいかとも考えたが、最終的にはご自身がある時期(予備校時代)熱心に聞いていた現代音楽、つまりピッチのない曲を大きな音で再生する場にしよう、と(このころの武田さんの音楽生活はウィッチンケア第3号掲載作「
お茶ノ水と前衛」で読むことができます)。大胆である意味〝過激〟な発想を、穏やかなままにこなしてしまうあたり、武田さんの書かれる文章に通じるなと強く感じたのでした。
《DJ takeda toru set list》
武満徹「ガーデンレイン」Toru Takemitsu Garden Rain(演奏:フィリップジョーンズ・ブラス・アンサンブル)/近藤譲「視覚リズム法」Jo Kondo Sight Rythmics(演奏:須藤英子)/ヴァンゲリス「ブレードランナー愛のテーマ」Love Theme from Blade Runner/バッハ「平均律クラヴィーア第二巻プレリュード」Prelude and Fuga BWV870(performed by Glenn Gould)
1曲目は
武満徹の「ガーデンレイン」。武田さんは武満と名前の漢字二文字を共有しているが、違う一文字が〝満〟と〝田〟で、「才能が満ちる人と田舎者の違いのようなコンプレックスもあった」とユーモアのある話。しかし、この世で偶然「名前が似ている人」には、なにか運命的なつながりを感じてしまう心性、すごくわかりました。その後、「(破壊性が乏しい)武満は好きじゃなかったが、これはいいと感じた」とも。そして、曲が終わると「音楽は時を埋めるものだが、武満は空間を際立たせるものと考えた。だから、かつて自分の家でしか聞いてなかったこの曲を、大きな空間で鳴り響かせてみたかった」。
2曲目は
近藤譲の「視覚リズム法」。この曲はもともと5つの楽器(ヴァイオリン、バンジョー、スティールドラム、エレクトリック・ピアノ、チューバ)で演奏するようにつくられていて、繰り返しのなかで楽器がひとつずつAパートからBパートに変わっていく。6楽章目ですべての楽器がBパートに変わるが楽器がずれていく途中で独自の響き方(音が重なったり和音が発生したり)をするのでそこを聞いてみてほしい、と。曲が終わると「これは須藤英子さんが一人で演奏していて、5楽器の場合は旋律があっただろうが、一人での演奏は生理的にもたいへんだと思う(すごい労力がかかっている)」「近藤は音楽が美しいとしたら、それは狙ったものではなく結果だと言っているが、これは私も美しいと感じた」とも。ちなみにこの音楽はお茶ノ水ではなく、池袋にあった現代美術などを扱うセゾン系の店「アール・ヴィヴァン」にて
コジマ録音盤と出会い入手したそうで、武田さんの「堤さんのおかげかも」との何気ないひとことは、同世代の私にとっても「巡り巡って今日、ここ、
堤清二の渋谷だし」と響きました。
3曲目はヴァンゲリスの「ブレードランナー愛のテーマ」。私は
1982年版だけで「
2049」は未見。もし観ていたらもう少し違った話もできたのに、と後悔しています(恥)。。それでも長生きできないレイチェルの、この曲のシーンは印象に残っていて、武田さんから「2049ではこどもを産んでいるんです」と聞いて「そうなんだ!」と驚いたり。
4曲目はバッハの「平均律クラヴィーア第二巻プレリュード」。演奏は
グレン・グールドで、異常に遅い演奏が鬼気迫る「ゴールドベルク変奏曲」が有名だが、今日はこれを選びました、と。この曲は1973年に打ち上げられた惑星探査機「ボイジャー1号」に
レコードが乗っているそうで(宇宙で出会った誰か/何か!? へのために)、武田さん曰く「僕は人類がこの曲を演奏できて良かったと思います。これは宇宙人にも聞いてもらいたい」と、きっぱり。ちょっと、この大きな主語の使い方、いつか私もそれができる人類になりたい、と感銘を受けたのでした! 曲が終わると武田さんは当時の大統領・ジミー・カーターのメッセージを紹介。「これは小さな、遠い世界からのプレゼントで、われわれの音・科学・画像・音楽・考え・感じ方を表したものです。私たちの死後も、本記録だけは生き延び、皆さんの元に届くことで、皆さんの想像の中に再び私たちがよみがえることができれば幸いです」...そして、いまは冥王星軌道を越えて進んでいる探索機に思いを馳せながら「次に太陽系外で一番近い恒星に近づくのには4万年かかるそうですが、ぼくが予備校時代からの40年も瞬きしている間にたってしまったことを思えば4万年なんかすぐですよね」と。さらに、「次にボイジャーを飛ばすことがあるならウィッチンケアも乗せてもらえばいいと思います。9号目までこぎつけておめでとうございます」との壮大なエールをいただきまして...それでは第40010号までぜひつくらねば、と目眩とともに決意したのでありました!
フロアのざわめきとともに、曲中は夕方一人でアイスココアを飲んでいたあたりに視点を合わせていました。もう日は暮れているはずなのに、街の灯のせいなのか、流れている音楽のせいなのか、不思議に仄かに明るく感じる。SNS上に写真もアップされましたが、あの時間は音がないと、再現/記録不可能かな...そして武田さんの各曲への言葉もまさに音のDJであったと感じ、ぜひここに書き留めておきたい、と思った次第。
武田徹さんの「ウィッチンケア」掲載作品
「終わりから始まりまで。」(第2号)/「お茶ノ水と前衛」(第3号)/「木蓮の花」(第4号)/「カメラ人類の誕生」(第5号)/<『末期の眼』から生まれる言葉>(第6号&《note版ウィッチンケア文庫》)/<「寄る辺なさ」の確認>(第7号)「宇多田ヒカルと日本語リズム」(第8号)/<『共同幻想論』がdisったもの>(第9号)
ウィッチンケアと原稿料と文学
【20:00〜】
ここまでは、ほぼタイムテーブルどおりの進行。壇上のセッテイングなどあり、フロアにはミーターズ、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、アイズレー・ブラザーズといったいにしえのソウル・ミュージックが流れました。このあたりで、私は「身体ふたつほしい」タイムに突入。
会場には
オオクボキイチさん(第7号「まばゆい光の向こうにあるもの」寄稿者/作家、クールスのベーシスト)、
柴那典さん(第9号「不機嫌なアリと横たわるシカ」寄稿者/音楽ジャーナリスト)、
西牟田靖さん(第6号<「報い」>、第7号「30年後の謝罪」、第8号「北風男」、第9号「連続放火犯はいた」寄稿者/ライター)、もう少し遅い時間には
桜井鈴茂さん(第5号「ここではないどこかへと絶えず思ってきたし今だって思っている」寄稿者/作家)の姿も。ご挨拶と御礼はできましたが、ここからは終始壇上にいかなきゃ状態でして、もしかすると、他にもお話できないままになってしまったウィッチンケア関係者のかたがいらっしゃいましたら、たいへん失礼致しました!
でっ、そんなバタバタのさなかでしたが、BGMでちょっと気づいたことがひとつ。アイズレー・ブラザーズの「If You Were There」に続けて、木村さんは女性ヴォーカルver.の「DOWN TOWN」(あとで調べたら土岐麻子と判明)をかけていまして...いや「それがなにか?」と感じるかたがほとんどかと存じますが、もしちょっと引っ掛かったりしましたら、ぜひ「If You Were There」とシュガー・ベイブのオリジナル「DOWN TOWN」をどこかで聞き比べてくださいませ。そして、BGMはキャンディーズの「アン・ドゥ・トロワ」に。これがトークセッション始まりますよ、の合図曲でした。
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photo by ohnishi toshio |
「
野宿野郎」編集長・かとうちあきさんを挟んで、仲俣さんと私での鼎談。まず私は、かとうさんに寄稿依頼した経緯を話しました。ウィッチンケア第1号は2010年4月1日創刊。当初はつくりたくてつくっただけで、売ることは真剣に考えていなかった(価格のクレジットが「頒価」になっています)。でも、できたものを持って動いているうちに取り扱い店も少しずつ増えて、どこかで「漫画批評」発行人・
渡瀬基樹さんが見つけてくれたようで、ミニコミの会みたいなものに誘ってもらえた。でっ、その集まりでかとうさんと出会いました。翌年、第2号をつくって刷り上がりが届いた2時間後に、大地震。いろいろなことがストップしてしまいましたが、3月末かな、かとうさんからミニコミの会の回覧メールで「こんなときだからこそ、花見をしたい」と。それで、寒い夜の代々木公園で再会して...ええと、会場で話したのはここまででしたが、喋ろうかどうか迷って留めちゃったこと、ここに書いておきたいです。じつはその花見の会には
野上郁哉さん(第2号「天使になんてなれなかった。」寄稿者/当時東京外国語大学大学院在学中の24歳で音楽雑誌「Oar」発行人)も参加していました。その野上さんは同年7月24日に
旧甲州街道でひき逃げにより亡くなってしまってしまい(渡瀬さんと新潟での葬儀にいった)、かとうさんには野上さんとのご縁をつなぎたいとの思いもあって次号で寄稿依頼し、いまに至っているのでした。
「書いている人が立派で賢い。私は違うが、なんでこんな錚々たる偉い人を集めているのか」(かとうさん)
「今日のこのイベントも謎。ウィッチンケアも謎。謎を解消するために、このイベントを僕と木村さんは催すことにした」(仲俣さん)
この後の鼎談は、私がお二人の疑問に答えていく展開に。まず仲俣さんから「今日は寄稿者も多くきているが、謎の解消には共通の前提があると思う。それは、ウィッチンケアは原稿料が出ないということ」「全員平等に寄稿者はオカネをもらっていない。それで、(寄稿者は)なんで原稿料をもらってないのに原稿を書くのか。もうひとつは(多田が)原稿料を払わない前提で、なんでこういう人たちに寄稿依頼するのか。この問題が今日の核心だと思っています」「僕は第3〜4号のころから『もっと若い人がつくっているリトルプレスやジンでも、安いけど原稿料払ってるよ。多田さんもそろそろ払ったほうがいいんじゃない』と言い続けて数年ですが、そのあいだにもみるみる寄稿者は増え、豪華になり、
立憲民主党の党首になられるかたまで書いて...その多田さんの人たらし術と、もうひとつはなんで僕らは書いちゃうのかということですね。かとうさんは第3号から参加していて、ただで書くのをやめたいと思ったことはありませんか?」と。対するかとうさんは「私の場合は『野宿野郎』も原稿料なしだし、むしろ打ち合わせの喫茶店では奢ってくださり、好きなことを書かせてくださり、校正とかもしっかりしてくださり、偉い人だな、と」と。その後の校正者にギャラは発生しているか、という質問に私は「はい。額を聞いたら日本中の校正者が怒るような」と、ではデザイナーには、には「はい。これも日本中(以下同)」、印刷会社には、にはやや持ち直して「はい。今日は
シナノパブリッシングの曽我部智康さんもいらっしゃってるので、みなさんぜひ名刺交換して帰ってください!」と。仲俣さん、かとうさん、忌憚ないご指摘とお気遣いありがとうございます!
「多田さんは発行人だけでなく毎号小説を書いていて、これは〝木は森に隠せ〟作戦、つまり一人で小説を書くと恥ずかしいのでいろんな人に混ざっていれば恥ずかしくない、ってことなのかなと理解しているんですが」(仲俣さん)
「古いたとえですが『巨人の星』の左門豊作の
大リーグボール2号の100-80=20(消える魔球の秘密を解くための作戦)みたいで...。そもそもは自分の書いたものを紙にしてみたい、という気持ちがあって、でも一人で書いて一人で本にして、よりも、バンのようなクルマをレンタルして、『とりあえずオレ借りてきたけど』と同じ方向を目指す仲間に声がけしてみたらどうかな、と。ちょうど雑誌で自由に書ける場所がなくなってきた時期だったんですよね」(多田)
「なるほど。僕たちはそのバンに乗っちゃった仲間なんですね」(仲俣さん)
「...そうですね。ただ、号を重ねてバンがだんだん団体旅行のバスみたいに大きくなって、さらにOB会のつらい集まりみたいになっていたら、ほんとうに申し訳ない限りなのですが」(多田)
mmm、自分で文字起こししてみても、左門豊作と大リーグボールのくだりは意味不明。とにかく、仲俣さんの質問でウィッチンケアの〝謎〟が露わになっちゃう、という気持ちを言いたかったのだと思います。この後、かとうさんから「野宿野郎」はもう10年新しい号が出ていなくて、ミニコミの会のときにはまさかウィッチンケアに号数で抜かれるとは思っていなかった、よく年1冊で9年も続いていると(当時のリトルプレス界には「号数が多いのが偉い」という不文律!? があった)。仲俣さんからの「なぜ『野宿野郎』をやっていたのか」という質問には「野宿愛と恥ずかしい表現欲です。恥ずかしさに表現欲が勝るとミニコミはつくれるけど、恥ずかしさが勝るとつくれなくなる。いまは表現への渇望的な欲がなく、野宿してるのが楽しいので、べつにミニコミをつくる必要がない。だから多田さんは(現実が)楽しくないのかな?」と。私はあわあわと「えー、楽しいですよ」と答えましたが、えー、〝ウィッチンケアがContinueしてる、っていう現実〟が楽しい、って答えるべきだったかも。このあと、私は「自分が楽しくて、号を重ねるごとに独断で寄稿者数を増やして、40名近くになったときに校正の大西寿男さんとデザイナーの吉永昌生さんから『作業量も増えているんですけど』と言われて、それで反省して『この本は総ページ数200、寄稿者25名ほど』という制約のなかでつくるものだ、と思い至った」と発言しています。
「なんで多田さんが年に1冊つくれているのかが知りたい」(かとうさん)
「うーん、楽しいからです。最初は自分の作品を発表したい、という気持ちから始めましたが、やっているうちに〝メディアを持つ〟という楽しさに目覚めたかも。私は編集長だ、発行人だ、みたいなことを前面に出したいわけではないが、継続しているメディアがあると、フリーランスのライター/エディターという立場よりもう少し自由になれた気がしている。またウィッチンケアというメディアがきっかけで長谷川町蔵さんの『あたしたちの未来はきっと』や
久保憲司さんの『
スキゾマニア』のような本が生まれたり、寄稿者同士がどこかでコラボした、みたいな話が聞こえてきたりすると嬉しいです」(多田)
「みんなボランティアで多田さんの幸せのために尽くしているんですよ」(仲俣さん)
「...すいません(ドキッ!)」(多田)
さらに鼎談は続きます。多田は良い人なのか悪い人なのか? かとうさんは「打ち合わせでコーヒーを奢ってくれるので良い人」、仲俣さんは「悪い人」のスタンスで誌名がKitchenwareのアナグラムであることや、そのなかに「Witch」(魔女)が含まれていることにも言及。...はい、魔女をケア(care)する、みたいな造語の意味合いは、wとKを置き換えた時点(2010年新春)の時点で頭にありました。
「多田さんは誰にどういう基準で寄稿依頼しているの?」(仲俣さん)
「自分がおもしろいと思った原稿や人となりのかたに、自分でお願いしています。そのさい、たとえば仲俣さんに文芸評論や書評をお願いしたらそれはウィッチンケアではなく仕事依頼になってしまうので、なにか違う方向性のものを、と」
「多田さんは僕に『おセンチなものを書いてください』って頼んだよね。それは、ちょっと殺し文句だったかも」(仲俣さん)
このとき、私は今回不参加だったある寄稿者に言われたことを紹介しました。「オカネが出ない。名前は出る。雑誌として発行される。それで、読んだ人に『おもしろくない』と思われたら、オレはなにやってんだってことになるので、書くと決めたらおもしろいこと書くしかない」。そう言われて私は「自分はたいへんなことを頼んでいるんだ」と自覚しました、と。これに対する仲俣さんの反応は「原稿料を払わないからおもしろい原稿が集まる、というパラドックスがあって、5000円、って言われると5000円分の労働になるけど、タダになると本気で書かなきゃやる意味がなくなってしまう」...続けて、「それで、1回頼むと次の号で書かなくていいって言いづらいから寄稿者も増えていって、それで積み上がるんですよね、負債が。心理的な」と。私は、ああBGMでジャミーラ・ウッズが流れているなぁ、ぴったりだなぁ、と感じつつ、「仲俣さんにはいつだったか〝(発行人の)腰は低いがメディアとして不遜〟と言われましたね」と。
「それは、説明がない(譲歩しない)という意味で不遜と言った、それは褒め言葉で〝良い〟と思ったんですが、でもその態度はあらためてないですよね?」(仲俣さん)
「...はい。私にはそうしかつくれないので」(多田)
同時刻、イベント参加者の
宮本隆介さん(町田経済新聞編集長で私の連載コラム「
ここにはたしか!」の担当者)が以下のようなツイートをしていました。“町経コラムに寄稿していただいている多田洋一さんが発行するインディペンデント文芸誌「ウィッチングケア」の初イベント。仲俣暁生さんが、誰もが思う疑問に鋭く切り込み、多田さんがいつもの調子でゆらゆらと躱す構図。”(原文ママ)。
この後、ステージにはウィッチンケア第4号からのデザインを手がけている
吉永昌生さん、校正/組版、そして第2号からの寄稿者である
大西寿男さんが登壇しました。私は発行人を名乗っていますが、本のレシピをつくっているだけでして、紙媒体としてのウィッチンケアをほんとうにつくっているのは吉永さんと大西さん、そしてシナノパブリッシングさんなのです。お二人との出会いのきっかけ、ギャランティのこと、校了までの煩雑さなどについて話して、それでもなぜお二人が続けてくれているのかについて...。
「最初、神田で打ち合わせをして、なにかの勧誘かと思った。でも話を聞いてると一生懸命やってるのかなとも思った。それでなんか、こう、ほだされて。僕の未来も開ける、みたいなことも言われて」(吉永さん)
「最初は下北沢で会って、僕の『
校正のこころ』という本をすごく良かったと言ってくれて、すごく校正で困ってるとも言われて、じゃ、おもしろそうだからやろうかなと思ったんだけど、まさかこんなたいへんなことになるとは思ってもみなかった」(大西さん)
仲俣さんが「そういうたいへんなことを、多田さんってわりとカジュアルに頼みますよね」と確認すると肯く二人。私は「それは全寄稿者に対しても」と返したのですが、仲俣さんが「今日はウィッチンケア被害者の会。答えによっては帰れないぞ」と...積年の〝悪行〟が総括されました。はい。申し開き致しません。
「いつも言ってるんですが、オカネをくれるか時間をくれるかにしてくれ、と。でっ、どっちもくれない」(大西さん)
「交渉は個別ではダメなので、今日僕らは団体交渉権を確保してますが...さて多田さんが、ここをどう切り抜けるか」(仲俣さん)
タイムキーパーまで引き受けてくださった木村さんが、客席最前列からステージに「あと5分!」とのペーパーを掲げてくれていました。仲俣さんからは「多田さんは寄稿にさいして『ウィッチンケアに書くことがステップになって、いずれ作品が本になったり』みたいな甘言を弄してますが、文芸誌と名乗るなら、ウィッチンケアから芥川賞を出します、くらいの宣言をしてもいいのでは。文芸誌と名乗るならそのくらいの気概があっても」との言葉が。
これに対する私の心中はけっこう複雑です。ほんとうは「そうですね。そうなるといいですね」くらいで逃げたいところ。しかしここは「答えによっては帰れない」の正念場かな。「どうなんですか、〝雑誌をつくる〟って部分ではなく、〝表現する〟っていう部分では、まだアマチュアっぽさ、つまり〝食べていく〟とは関係ない部分を...」と仲俣さん。「そりゃないですよ。自分も寄稿者も本気です」と即断で私。続けて「でも本気の先が芥川賞なのか。たとえば、巨人に入れてもらうために野球をするのか?」。じゃ、かわりは? との仲俣さんの質問には「新しいスポーツをつくったらどうだろう...って、そういうわけじゃないんですが、ええとですね。私は他のかたから〝文芸誌〟と呼ばれても訂正はしませんが、発行人としてはずっと〝文芸創作誌〟と名乗っていて、それは〝文〟に〝芸〟のある人が〝創作〟するために集まって、それをまとめたもの(〝誌〟)を定期刊行していると思っていて、遊びとかアマチュアとか楽しいからとか、そういうのではないです。ずっと本気ですよ。でっ、そこで書くものが、こんなに出版事情も変わっているなかで、〝出版社に気に入ってもらえるもの〟でなきゃいけないのか。違うかたちで世の中に出す方法だってありえるんじゃないか...とにかく、うまくいくかいかないかわからないけど、試しになにか始めてみる。そういう場としてありたい、と本気で思ってますよ」。おたおたと喋りながら、かつて自作を既存の文芸誌に持ち込んださいに会った編集者と自分の考えかたのギャップに驚いたこと(これはきっと創作を志した多くの人が経験することですね、たぶん)、件の賞の候補になったこともある知り合いから「なんで無駄なことしてるんですか?」と(たぶんこれは親切の意味合いで)言われたことなどが脳裏に甦っていたかな〜。それから、本気という言葉に嘘はありませんが、でも、ウィッチンケアはどこかチャラチャラした風合いを有していたい、とは思い続けています。しかし、こんな話のBGMがヴァニティ6の「Nasty Girl」で、それがなんだか嬉しかったかも。
このあともデザインの自由度についての話(吉永さん)、寄稿者・多田洋一の作品評や原稿締め切りの話(大西さん)、私が編集者として「甘いのでは?」という話(かとうさん)等々...予定時間をオーバーしてもまだまだ「この機会に言っておこう」なことが止まらず。みなさま、ありがとうございました。あっ、私はかとうさんに「書籍版ウィッチンケア文庫の長谷川さん久保さんに続くのはかとうさん...!?」とちゃっかりひとこと。そしてこの日、私は参加者の
宮崎智之さんの発行されたばかりの著書「
モヤモヤするあの人 常識と非常識のあいだ」を持参していたので(ご献本くださったのですが、すでにアマポチってた)、早い者勝ちでフロアの参加者にプレゼントしました。たぶん、宮崎さんのサイン入り本になったことと...あっ、もうすでに15分押しの20:45だ!
もうひとつ、時間内に「ぜひ話したい」と思っていたことがかなわなかったので、ここで後出しジャンケン的に短く。それは「
第6号の決意(というか、悲劇!?)」について。ウィッチンケアは第2号から表紙に寄稿者名を記載(あいうえお順)、その後、号を重ねるごとに部数、認知度とも上がってきている実感がありました。しかし発行人の本懐は一貫して「誰が書いているか? < 誰が〝何〟を書いているか!? < 何が飛び出すかは開けてのお楽しみ!」なので、第6号からは思い切って表紙から寄稿者名を外しました。効果覿面...それは「わかりやすさ」とか「売り上げ」とかにはマイナスに作用したな。でも、以降もこの路線で進んでいますので、みなさま、もしどこかで第6号を手にとる機会がありましたら、ぜひぜひ「そういうことだったのか」と再発見よろしくお願い致します!
かとうちあきさんの「ウィッチンケア」掲載作品
「台所まわりのこと」(第3号&《note版ウィッチンケア文庫》)/「コンロ」(第4号)/「カエル爆弾」(第5号)/<のようなものの実践所「お店のようなもの」>(第6号)/「似合うとか似合わないとかじゃないんです、わたしが帽子をかぶるのは」(第7号)/「間男ですから」(第8号)/「ばかなんじゃないか」(第9号)
大西寿男さんの「ウィッチンケア」掲載作品
<「冬の兵士」の肉声を読む>(第2号)/「棟梁のこころ──日本で木造住宅を建てる、ということ」(第3号&《note版ウィッチンケア文庫》)/「わたしの考古学 season 1:イノセント・サークル」(第4号)/「before ──冷麺屋の夜」(第6号)/「長柄橋の奇跡」(第7号)/「朝(あした)には紅顔ありて──太一のマダン」(第8号))/「校閲先生はメシの校正はしない。」(第9号)
《floor BGM set list》
Cissy Strut〈Meters〉/Runnin' Away〈Sly & The Family Stone〉/If You Were There〈Isley Brothers〉/DOWN TOWN〈土岐麻子〉/アン・ドゥ・トロワ〈キャンディーズ〉/Reach Out (I'll Be There)〈Narada Michael Walden〉/Reaching One〈Girl Bros. (Wendy & Lisa)〉/A Fan's Mail (Tron Song Suite II)〈Thundercat〉/Boogieman〈Childish Gambino〉/HEAVN〈Jamila Woods〉/Phoenix〈Rhye〉/Nasty Girl〈Vanity 6〉/Pink + White〈Frank Ocean〉/Rainforest〈Paul Hardcastle〉/What Game Shall We Play Today〈Chick Corea〉/Theme From M*A*S*H (Suicide Is Painless)〈Bill Evans〉
小川たまかさん
【20:50〜】
笑顔で登壇した小川たまかさん。小川さんとは第4号に掌編小説(「
シモキタウサギ」)をご寄稿いただいて以来のご縁。当時、私は下北沢に住んでいたのですが(1998.10~2013.05)、諸般の事情で第3号発行前後(2012.03)に現在の住居・東京都町田市に引っ越すことを決意。シモキタ楽しかったなぁ〜、との思いを抱えながら第4号の制作を進めていて、ぜひこの街ゆかりの新しい寄稿者にも登場してもらいたいと思って、それで当時下北沢経済新聞の編集長だった小川さんに連絡したのでした。...さて、そんな小川さんのDJタイム。「私はいままでの人生でDJっていうものを実際に見たことも聞いたこともなくって、いわゆる酒井法子さんがこの近くでああいうことになったとき、のりピーがやってたことのイメージしかないんですよ。なので聞き流したいかたは聞き流して、なんらかのことをしたい人はしていただいて」と会場をどよめかせ(「なんらかのこと」ってなに!?)、セレクトした4曲を怒濤のノンストップで。
《DJ ogawa tamaka set list》
赤犬「ズキズキ♥ドキュン」/ももいろクローバーZ「走れ!」/安室奈美恵「TRY ME」/globe 「SWEET PAIN」
ちょうど安室奈美恵が引退ツアーしていたり、今年の始めには小室哲哉の引退宣言で世の中が騒がしかったり...私にとっては「ああ、流行り歌が自分を追い越し始めたな」という時代の楽曲なんですが、当時高校生だった世代には全然異なる感慨を抱かせるんだろうな、と思いながら、壇上で曲に合わせてリズムを刻む小川さんの姿を拝見していました。そうか〜、DJのりピー騒動からそろそろ10年、元コムロ系のhitomiが高橋Qちゃんの活躍で再ブレイクして渋谷109の巨大ポスターになってたりして、そろそろ20年、そうか〜(スイマセン、赤犬は存じ上げなかったです!)。そして、そんな小川さんはもうすぐ初の単著『
「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(タバブックス)を刊行予定。「ここにいる人はみんな買ってください! 表紙の
惣田紗希さんのイラストがとってもかわいいです」とのことですので、みなさま、ぜひぜひ。小川さん、新しいことにチャレンジしてくださり、ありがとうございました!
小川たまかさんの「ウィッチンケア」掲載作品
「シモキタウサギ」(第4号)/「三軒茶屋 10 years after」(第5号)/「南の島のカップル」(第6号)/「夜明けに見る星、その行方」(第7号&《note版ウィッチンケア文庫》)/「強姦用クローンの話」(第8号))/「寡黙な二人」(第9号)
鳴り物タイム〜木原正さんとスティーリー・ダン
【21:15〜】
このあたりが私にとって「マジ身体ふたつほしい」の修羅場。事前の告知では「鳴り物タイム……生演奏アトラクション/誰が登場するかは当日のお楽しみ!」と謳っていまして...会場には音楽家として活躍しているかたもいるのに、そこにまさか私が出ていくとは! しかし共演した
木原正さん(第7号「ビートルソングスは発明か?」寄稿者)は凄腕...なんというか、おそらくFab4と〝交信〟しているんじゃないかと感じられるかたなので、こんな機会にぜひ共演したいと思い二人で登壇しました。MCを務めてくださった仲俣さんが「ほんとうは多田さん一人に弾き語りさせようと思ったんだけど、いつのまにか強力な助っ人を」と説明してくれましたが、そうなんです。今回のイベントの立案段階から、仲俣さん、木村さんは〝音楽バカの多田が人前で演奏すること〟を条件に協力してくれるという...これも「ウィッチンケアをどんな人がつくってるか知ってもらうべき」という、ありがたいご厚意ゆえなので、それなら、やるしかないと。
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photo by harima hideshi |
町田に引っ越して5年。気がつけばギターの弦が自然に切れてるような生活でしたが、どうせ出張るなら「ウィッチンケアらしさ」の伝わる時間にしたいと思ってあれこれ考え、とにかくスティーリー・ダンの「
Third World Man」を弾き語ってみよう、と決めました。曲は長く聞いてきたが、演ったら難しいだろうな〜、ふつう、あんまり「演ってみよう」なんて思わんだろう...でも、やったことないことを試してみる、いいじゃないか! と。スイマセン、「お客様を楽しませる」より「チャレンジするスリル」を選びました。結果は...木原さんは素晴らしいのに私は「あと半年部屋で練習してからにしろ」レベル...お耳汚し失礼しました(あとの2曲は、私と木原さんがそれぞれ歌いたかったものです)。それで、仲俣さんから「チャック・ベリーみたいなのをやるかと思っていたのにしっとりと。なんか、もう1曲くらいロックンロール、演れません?」と、まさかのひとこと。準備してない、とは言えません。覚悟して出直してEでスリーコード、そのうちに木原さんに火が入って(たぶんポール・マッカートニーと〝交信〟したと思われ...)突然の「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」へとつながり、なんとか任務終了。木原さんとの2年ぶりの再会、楽しかったです!
多田洋一の「ウィッチンケア」掲載作品
「チャイムは誰が」(第1号)/「まぶちさん」(第2号)/「きれいごとで語るのは」(第3号)/「危険な水面」(第4号)/「萌とピリオド」(第5号)/「幻アルバム」(第6号&《note版ウィッチンケア文庫》)/「午後四時の過ごしかた」(第7号)/「いくつかの嫌なこと」(第8号)/「銀の鍵、エンジンの音」(第9号)
《kihara tadashi& tada yoichi set list》
Comienza A Llamarlo〈Mono Fontana〉- setting BGM - /Third World Man〈Steely Dan〉/瞳を閉じて〈荒井由実〉/Come Together〈Beatles〉/Eのスリーコード〜I Saw Her Standing There〈Beatles〉
矢野利裕さん
【21:50〜】
DJのしんがりは「サッカー部の部長で高校の先生で漫画家で文芸評論家でミュージシャンでDJ」(by 仲俣さんのMC)の矢野利裕さん。選曲のコンセプトはご自身のSNSによると〝基本的には打ち込みのダンスミュージックよりスウィンギンでゴキゲンなグッドミュージックを、でも、ゆるふわギャングのLPはぜひ大音量でかけたい、というコンセプト(?)で、ヴァイナルオンリーのセットにしました〟とのこと。2台のターンテーブルを操っている姿もかっこよくて、曲の繋ぎと流れが個別+αの流れを生み出す/発見させる楽しさ(何気に年配者涙腺刺激のビリー・ジョエルやマーヴィン・ゲイの大ヒット曲が挟んであったり...Shamir買っちゃった)を堪能させてくれました。個人的には、イベントが始まって、ここで初めて烏龍茶以外の飲み物(ビール!)を飲んだのも、ほんと、気持ちよかったなぁ。
《DJ yano toshihiro set list》
Ban Ban Bazar/FRIDAYNITE EBI FRY - Original Love/Jumpin' Jack Jive - Gramaphonedzie/Why Don't You - Hot 8 Brass Band/Sexual - Healing(Maddslinky Remix) - Shamir/On The Regular - ゆるふわギャング/Don't Stop The Music - Justin Timbalake/Wave - Amy Winehouse/You're Wondering Now - Jimi Hendrix/Crosstown Traffic(Cross Riddim-Edit) - Soul Frower Union/うたは自由をめざす! - Jools Holland And His Rhythm & Blues Orchestra/L.O.V.E.(Rico Rodriguez) - Pug27/Just The Way You Are - Huey "Piano" Smith/Don't You Just Know It - Jonny Cymbal/Pack Of Life(明日があるさ)
「ウィッチンケアにはふだん書けない、職場の話などを寄稿しています。五大文芸誌、と言われるものに書くこともありますが、なかなかリアクションはない。なのにウィッチンケアに関しては、部数などは少ないと思うけど『おもしろかった』という反響があったりします。第9号に書いた音楽の話も、面識のない他校の先生から問い合わせがあって、授業に呼ばれることになったり...同業者に届いていることが、個人的には嬉しく思っています」。DJプレイのあと、壇上でそう語ってくれた矢野さん。いやぁ、発行人もつねに「この本、どこにどう届いているんだろう?」と不安でしたので、とても嬉しい言葉でした。
矢野利裕さんの「ウィッチンケア」掲載作品
「詩的教育論(いとうせいこうに対する疑念から)」(第7号)/「先生するからだ論」(第8号)/「学校ポップスの誕生──アンジェラ・アキ以後を生きるわたしたち」(第9号)
寄稿者からひとこと〜閉宴
【22:20〜】
謎の雑誌の謎イベントでしたが、10時をまわったところで、いよいよ大団円。遅れて駆けつけてくださったかたを含め、この時点でもまだ40名近い参加者がフロアにはいたんじゃないかな。本イベントの目的のひとつが、寄稿者を始めとした関係者の多くが〝誌面でのお付き合い〟だけになっている(制作過程では対私とのやりとりだけで、つながりがネットワーク的に拡がっていない)ことを解消したい、でもありましたので、この機会にぜひ、リアルなお人柄も広く参加者に知ってもらえればと、ご登壇を呼びかけました。
最初は今春から東京工業大学教授として新たなキャリアをスタートさせた柳瀬博一さん。第5号掲載作「16号線は日本人である。序論 」がNHKのテレビ番組「
ドキュメント72時間 オン・ザ・ロード 国道16号の“幸福論”」〈2014年6月13日放映〉で紹介、いや、パクられたこと(偶然見ていたテレビに、いきなり自分の書いたウィッチンケアの誌面が映し出されて驚いた/事前事後連絡一切ナシ)...でもその後、出版社から書籍化の話があり現在進行中であることを話してくれました。
柳瀬博一さんの「ウィッチンケア」掲載作品
「16号線は日本人である。序論 」(第5号)/<ぼくの「がっこう」小網代の谷>(第6号)/「国道16号線は漫画である。『SEX』と『ヨコハマ買い出し紀行』と米軍と縄文と」(第7号)/「国道16号線をつくったのは、太田道灌である。」(第8号)/「南伸坊さんと、竹村健一さんと、マクルーハンと。」(第9号)
続いては、2009年に『「謎」の解像度 ウェブ時代の本格ミステリ』で<第9回本格ミステリー大賞評論・編集部門><第62回日本推理作家協会賞評論その他の部門>を受賞している円堂都司昭さん。「ウィッチンケアは、タダで原稿を書いているのに校正赤字がけっこうキツイ。安い原稿料のH社やK社よりも。でっ、ウィッチンケアのいいところは...いま思い浮かばない」と率直(私は恐縮するばかり)。円堂さんは第7号以降<異形の物語>にテーマを定めて寄稿を続けてくださっていまして、私はそれらがいずれ書籍のかたちにまとまることを願っています!
円堂都司昭さんの「ウィッチンケア」掲載作品
<『漂流教室』の未来と過去>(第6号)/<『オペラ座の怪人』の仮面舞踏会>(第7号)/<『ノートルダムの鐘』の壁>(第8号)/<『フランケンシュタイン』のキス>(第9号)
さらに続いて、写真家/美術家にしてウェブ上のオピニオン・スペース「
En-Soph/エン-ソフ」主宰者・東間嶺さんが登壇。同グループの仲間である荒木優太さん(第6号「
人間の屑、テクストの屑」、第7号<
宮本百合子「雲母片」小論>寄稿者)の最近の活躍について、また第9号の表紙を飾った
菅野恒平さんの写真が好きなことなどを話してくれました。表紙については、いずれ自分の作品も、と。はい、とてもありがたいお言葉です。
東間嶺さんの「ウィッチンケア」掲載作品
「《辺境》の記憶」(第5号)/「ウィー・アー・ピーピング」(第6号)/「死んでいないわたしは(が)今日も他人」(第7号)/「生きてるだけのあなたは無理」(第8号)/「セイギのセイギのセイギのあなたは。」(第9号)
次に登壇したのは「
潜行~地下アイドルの人に言えない生活」「
職業としての地下アイドル」などの著者・姫乃たまさん。音楽分野でもご自身名義/ユニット「僕とジョルジュ」「ひめとまほう」などで活躍していて、昨年はネット上で鈴木茂さん(私が歌った「瞳を閉じて」オリジナルのギタリスト!)と「花いちもんめ」共演した動画を見て驚愕しましたが...「私は人のたくさんいるところで原稿を書くのが好きなので、多田さんは良いイベントを開催してくれたな、と」と。ますますのご活躍を祈念します(ある女性作家の名を出して姫乃さんの執筆活動を語りましたが、あれは偽りない気持ち)。
姫乃たまさんの「ウィッチンケア」掲載作品
「21才」(第6号)/「そば屋の平吉」(第7号)
そして次は、V6や酒井法子にも作品を提供している作詞家の谷亜ヒロコさんが登壇。じつは谷亜さんは木村重樹さんとレイヴ・カルチャー隆盛期の〝パーティ仲間〟で、
村崎百郎氏との思い出なども話してくれました。そして谷亜さんからは「ウィッチンケアの掲載作品は偏差値が高すぎる」とのひとことも! あわわ、偏差値かどうかはわかりませんが、たしかに発行人である私も、寄稿者の作品によっては文献やウェブをくまなく調べないと真意が掴めないことが少なからずありまして、その「必死についていく」感覚もウィッチンケアをつくる快感のひとつだと思っているのでした。
谷亜ヒロコさんの「ウィッチンケア」掲載作品
「今どきのオトコノコ」(第5号&《note版ウィッチンケア文庫》)/「よくテレビに出ていた私がAV女優になった理由」(第6号)/「夢は、OL〜カリスマドットコムに憧れて〜」(第7号)/「捨てられない女」/「冬でもフラペチーノ」(第9号)
続きまして、トークセッションで新刊「モヤモヤするあの人 常識と非常識のあいだ」を紹介した宮崎智之さんが登壇。ご寄稿は第9号が初めてでしたが、私は以前からネット上で宮崎さんのエントリに触れ、モヤモヤ気分を満喫していましたので、今回の一篇(これまでの宮崎さんとは少し違う一面が覗えた作品)を掲載できたこと、とても嬉しく思っていました。「今回は父が亡くなったことについてのエッセイでしたが、また書く機会があれば、ぜひ創作でのものにチャレンジしたい」と...ぜひお願いしたいです! そのためにも、これからしっかり「この先」について私は考えなければ。
宮崎智之さんの「ウィッチンケア」掲載作品
<極私的「35歳問題」>(第9号)
さらに続いて、ライター/編集者の辻本力さんが登壇。辻本さんが主宰する〝ある種の”ライフスタイル・マガジン〟「
生活考察」...このときはおたがい曖昧な記憶で話しましたが、後日確認したら創刊号の奥付は2010年4月1日発行で、やはりウィッチンケアと同じ日付(そして言い忘れましたが、2012年4月には
西荻ブックマークさんが開いてくれた「インディーズ文芸誌のつくりかた」というイベントにゲスト出演してくださったことも)。「僕の記憶している範囲だと、最初は多田さんからWeb上のアドレスにメールをもらって呼び出されて...」と辻本さん。たしかに! 突然メールを差し上げて新宿のCafe Miyamaで寄稿依頼したのが最初でした。あと、心底「凄ぇ雑誌!」と思っていた「生活考察」が年末あたりに再始動する、とのニュースも伺えて嬉しかったです。
辻本力さんの「ウィッチンケア」掲載作品
「酒のツマミとしての音楽考」(第4号)/「退廃的な、おそらく退廃的な」(第5号)/「雑聴生活」(第6号)/「健康と耳栓と音楽」(第7号)
時間オーバーしまして閉店まであと12分。最後に寄稿者として登壇したのはシンコー・ミュージックの播磨秀史さん。下北沢在住のご縁で、2014年に刊行された「
下北沢ものがたり」という本では私と仲俣さんに執筆依頼してくれた編集者です(同書には小川さんもインタビューで登場)。この日は「とん水」というとんかつ屋さんのTシャツを仲俣さんに届けてくれたり...壇上では「ウィッチンケアに乾杯!」と、ありがたいひとことを。撮影した写真を送ってくださったこと、感謝。よい記念になりました!
播磨秀史さんの「ウィッチンケア」掲載作品
「ハリーの災難:住宅編」(第5号)
...そして、いよいよ閉宴へ。ずっと音楽ブースに詰めていた木村重樹さんが中央に。「今日かけていたのはぼくが好きな曲じゃなくて、多田さんが80曲MP3を送ってきて、それでなんとかせい、と」と説明。...しかし、寄稿者登壇以降はずっとアイドル系の音楽がかかっていた記憶があり、これは私が木村さんに「最後はチルアウトできるように木村さんのご趣味で」とお願いした曲群だと思われ〜。
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photo by toma ray |
「ちなみに、来年の第10号は出るとするといつごろに?」(木村さん)
「出るとすれば、いつもどおり4月バカです」(多田)
「原稿依頼は」(木村さん)
「秋以降かな。。」(多田)
「締め切り、早めましょうよ。大西さんの『オカネをくれるか時間をくれるかにしてくれ』という言葉は重いですよ。そして、次は第10号なんだから、また来年もこのイベントをやりましょうよ」(仲俣さん)
「はい、ぜひ。。。今日はみなさま、どうもありがとうございました!」(多田)
仲俣さんと木村さん、そして参加者のみなさま、さらに今日は都合がつかなかったけれど、これまでウィッチンケアに関わってくださったすべての人に無限大の感謝の気持ちを抱え、無事終了することができました(「お花畑」状態ですよw)。ほんとうにありがとうございました。そして私は「もしウィッチンケアを創刊していなかったら、ここに集まったほとんどのかたとは出会っていないはず」という事実に、ちょっと腰が抜けそうになっていたのでした。初期衝動だけで始めて9年...。短くもない時間のなかでご縁のできたかた全員に、あらためて御礼申し上げます。
《total music producer kimura shigeki(a.k.a. DJ nickcage) floor BGM set list》
「夢野パイセン」underhairz - 「全然分かってないくせに分かってるぶってるおじさんウザい (re:gal)」校庭カメラギャル - 「ちょっとやってみただけ」RHYMEBERRY - 「Burnable Garbage」There There Theres - 「Any」ヤなことそっとミュート - 「夏休み縦断の恋」SAKA-SAMA - 「lilla」amiinA - 「誰かのモノです」 - 3776「Sidechain Love」STEREO JAPAN - 「夜間飛行」sora tob sakana
https://www.facebook.com/events/863964613811696/
【付記】
《selected 80 mp3 music》
In The Mystery〈Allan Holdsworth〉/
I Wanna Get To Know You Better〈Attitude〉
/Joy Of Life〈Bernard Edwards〉/Theme From M*A*S*H (Suicide Is Painless)〈Bill Evans〉/Tinseltown In The Rain〈Blue Nile〉/(You Can) Count On Me〈Blue Zoo〉/Girls In Their Summer Clothes〈Bruce Springsteen〉/Don't Walk Away〈Cabaret Voltaire〉/Mississippi Delta City Blues〈Chicago〉/What Game Shall We Play Today〈Chick Corea〉/Boogieman〈Childish Gambino〉/I Can't Give Everything Away〈David Bowie〉
/We Can't Miss〈Dayton〉/World In My Eyes〈Depeche Mode〉/Burn It Down〈Dexy's Midnight Runners〉
/The Goodbye Look〈Donald Fagen〉/Hold On, We're Going Home〈Drake〉/Here She Comes Now
〈Dreams〉/Voluntary Arrangement〈Durutti Column〉/Down On The Beat〈Edwin Birdsong〉/Some Things Never Change〈Fra Lippo Lippi〉/Pink + White〈Frank Ocean〉/I Know What I Like (In Your Wardrobe)〈Genesis〉/
Experience〈Gentle Giant〉/Last Dance〈George Clinton〉/Theme From Shaft〈Isaac Hayes〉/If You Were There〈Isley Brothers〉/First Of May〈James Taylor〉/
HEAVN〈Jamila Woods〉/Dance Or Die〈Janelle Monáe〉/The Trans-Love Express〈Jean-Luc Ponty〉/Trouble Man〈Jeff Beck〉/
In All My Wildest Dreams〈Joe Sample〉/
Talk To Me〈Joni Mitchell〉/The Crunge〈Joshua Redman Elastic Band〉/Many Laughs〈Julie Slick〉/Lovelines〈Karen Carpenter〉/Stone Love〈Kashif〉/
King of the Mountain
〈Kate Bush〉/These Walls〈Kendrick Lamar〉/Shock Wave〈Kipper jones〉/Wake Up〈Mac Miller〉/On The Boulevard〈Manhattan Transfer〉/One Minute from Love〈Marc Sadane〉/Mr.Godsky〈Max Middleton〉/Deuteronomy: Niggerman〈Me'shell Ndegeocello〉/Cissy Strut〈Meters〉/Comienza A Llamarlo〈Mono Fontana〉/Don't You Wan't My Love〈MoodyMann〉/Juicy Fruit〈Mtume〉/New You〈My Bloody Valentine〉/Reach Out (I'll Be There)〈Narada Michael Walden〉/If You Should Fall〈Ned Doheny〉/Demonette〈Neil Larsen〉/We R In Control〈Neil Young〉/Sleep Talk〈Ohio Players〉/Tech-No-Logical World〈Patrick Cowley〉/Rainforest〈Paul Hardcastle〉/Looking For Atlantis (Extended)〈Prefab Sprout〉/The Ballad Of Dorothy Parker〈Prince〉/RightStarter (Message To A Black Man)〈Public Enemy〉/Phoenix〈Rhye〉/Worries〈Robert Glasper〉/Raptor〈Rustie〉/Sands Of Time〈S.O.S. Band〉/World Come Back To Life〈Scritti Politti〉/
Runnin' Away〈Sly & The Family Stone〉/Don't You Wait〈Solange〉/It's Not Gonna Happen〈Spacek〉/Hello Jeff〈Stanley Clarke〉/Walking On〈Steve Winwood〉/Higher Ground〈Stevie Wonder〉/Fool's Complaint〈Suzanne Vega〉/A Fan's Mail (Tron Song Suite II)〈Thundercat〉/Gotta Make A Change〈Tower Of Power〉/Nasty Girl〈Vanity 6〉/Thunderbirds Are Go! (The Pressure Mix)
〈Featuring – MC Parker Remix – 3 To The Power〉/Reaching One〈Girl Bros.(Wendy & Lisa)〉/Countracula (This One's For You)〈William "Bootsy" Collins〉/808080808〈808 State〉
★iTunes画像は、いずれMP3リッピングの時代も終わりそうなので、記念にw