2025/05/02

VOL.15寄稿者&作品紹介03 渡辺祐真さん

 今回が初寄稿となる渡辺祐真さんは、“スケザネさん”の愛称でも広く知られる作家/書評家/YouTuber。単著『物語のカギ 「読む」が10倍楽しくなる38のヒント』(笠間書院/2022年)をはじめ、編著『みんなで読む源氏物語』(早川書房/2023年)、共著『吉田健一に就て』(国書刊行会/2023年)etc.関連書籍多数、さらにテレビ、ラジオ、ネット動画、イベントでも精力的に活動していまして、そんなスケザネさんと私(←発行人)は、昨年10〜12月に町田市民文学館ことばらんどで開催された《森村誠一展》でご縁があり、お目にかかったさいに直接寄稿依頼をして、お引き受けいただいたのでした。現在、 NHKラジオ第1(東京)でオンエアされた「スケザネの古典は笑って読め!」(ゲスト:いとうせいこうさん、林家たい平さん)が5月4日までアーカイヴ配信中。またポッドキャストでは谷川嘉浩さんとの「Ink and Think」も始まりました。こちらは“ほぼ毎週水曜の朝に更新予定”とのことですので、ぜひアクセスしてみてください!




寄稿作「無益評論家として生きていく」は4章に分かれており、冒頭には〈「現代」の話ばかりするのに疲れた〉との一文があります。どうして? と思いつつ読み進めると、「なるほど!」と納得させられちゃうんですよね。書評家という仕事では、ある作品を(とくにメディア上で)紹介するとなると、〈「現代」という観点がほぼマスト〉でリクエストされる、と。たしかに、「今・ここ」を生きている私たちは、ごく自然に(つい...)過去の史実でも物語でも、「現代」に紐付けて理解したがる...そんな風潮に「疲れた」と小さな釘を刺してから、筆者は三島由紀夫、谷崎潤一郎、小津安二郎などの魅力について言及していきます。


つい最近、ローリングストーンズが来年5月の東京ドームをもう抑えた(来日!?)との噂を聞きましたが、それに関して「代表曲の『Brown Sugar』はもう公では演奏できないのではないか」という話も(歌詞があまりに「今・ここ」的にふさわしくないので)...スケザネさんの寄稿作と直接の関係はありませんが、そんなことも思い浮かべながら本作を再読し、時代の流れに思いを馳せてしまいました。みなさま、ぜひ小誌を手に取って、タイトルにある「無益」という言葉の意味をご確認ください!


ウィッチンケア第15号(Witchenkare VOL.15)
発行日:2025年4月1日
出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりーは発行人の屋号)
A5 判:276ページ/定価(本体2,000円+税)
ISBN:978-4-86538-173-3  C0095 ¥2000E


 世の中には、幻想小説やファンタジー小説という、この世から隔った世界を描くジャンルが存在する。三島も、彼が敬愛した泉鏡花も得意としたもので、現代でも脈々と受け継がれている。そうしたジャンルについて、しばしば下手なリアリズムよりも、よっぽど現実に対する眼差しが鋭いとか、現実世界の政治を巧みに映した陰画のようだと評する向きがある。
 私はこの手の評価が大嫌いなのである。現実に隷属されたものとしてしか、評価軸を動員できないからだ。言うなれば、文学は役に立つか立たないか、無駄は役に立つか立たないかという議論において、その二元論に乗っかるようなもの。文学には、現実とはまた別の軸で勝負しようとする作品もきっとあるだろう。


~ウィッチンケア第15号掲載〈無益評論家として生きていく〉より引用~



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 https://note.com/yoichijerry/n/n9089f16965e1

 

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Vol.15 Coming! 20250401

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