「ウィッチンケア」には第3号からご寄稿くださっている仲俣暁生さん。小誌、東京都町田市を発行元にして10年余になりますが、もともとの発祥地は世田谷区代沢(下北沢)でして、第4号までは奥付にもそう記されています。その頃、仲俣さんとは同じ町内で番地がちょっとちがうだけのご近所さんでして...第3号を出したもののなかなか販路も拓けずにめげていた私を中華店に誘ってくださり、辛い台湾ラーメンを食べながらいろいろアドバイスをいただいたこと(というか、愚痴を散々聞かせちゃったこと)、いまでも恩義に感じています。そんな仲俣さん(そして木村重樹さん)とは5月19日の文学フリマ38に共同主宰で出店します。これまでの経緯で名義こそ「ウィッチンケア書店」ではありますが、実質は仲俣さんの興した出版レーベル《破船房》の、華麗なる予告編というかオープン戦というかゲネプロというか...そんな感じになりそう。仲俣さんの新刊『橋本治「再読」ノート』は現在ネット&リアル書店にて好評発売中で、当日も同書を求めて多くの方が来店されると予想され...小誌としては「Witchenkare最新号もありますよ!」と気合い負けしないよう頑張る所存!! よい相乗効果が醸されることを祈念します。
仲俣さんもまた、今年初めに下北沢を離れて、中央線沿線の町へと。今号への寄稿作は、かつてのシモキタへの贐のような一篇です。作中に出てくる“『アフターアワーズ』というインディペンデントの音楽雑誌”...ちょっと感慨深いものがありまして、じつは同誌の編集部が移転した後、その物件を賃貸させてもらったのが私、つまりかつての小誌編集室。この建物(大家さんが離れの茶室を改造した平屋)、『アフターアワーズ』さんの前には、あの日本を代表するロックンロール夫妻も住んでいたという...あっ、昔話が止まらないんで、このへんで。
他にもサニーデイ・サービス、ヴィレッジ・ヴァンガード、岡崎京子、Onsa、幻游舎、古書ビビビ、本屋B&B等々、二十世紀の終わりから今世紀にかけてのシモキタ関連固有名詞がたくさん登場します。最近はなぜか古着屋過多な様相の下北沢ですが、地上駅だった頃を知る人にとっては、まさに〈そっちはどうだい?〉な作品。ぜひ小誌を手に取って、軽くタイムスリップしてみてください!
そういえば南口の横丁にはフィクショネスという変わった本屋もあって、店主の藤谷治さんは「小説家」になった。本屋B&Bという魅力的な新刊書店ができたとき、下北沢はすっかり「本の町」になっていた。
いや、そうじゃない。音楽の町でも演劇の町でも本の町でもなく、自分の手で何かを起こす人の町、生きることと商売をすることの間に断絶をつくらない人たち、つまり暮らすことの実質を手放そうとしない人たちが集まる町、それが下北沢だった。
いや、そうじゃない。音楽の町でも演劇の町でも本の町でもなく、自分の手で何かを起こす人の町、生きることと商売をすることの間に断絶をつくらない人たち、つまり暮らすことの実質を手放そうとしない人たちが集まる町、それが下北沢だった。
~ウィッチンケア第14号掲載〈そっちはどうだい?〉より引用~
仲俣暁生さん小誌バックナンバー掲載作品:〈父という謎〉(第3号)/〈国破れて〉(第4号)/〈ダイアリーとライブラリーのあいだに〉(第5号)/〈1985年のセンチメンタルジャーニー〉(第6号)/〈夏は「北しなの線」に乗って ~旧牟礼村・初訪問記〉(第7号)/〈忘れてしまっていたこと〉(第8号)/〈大切な本はいつも、家の外にあった〉(第9号& note版《ウィッチンケア文庫》)/〈最も孤独な長距離走者──橋本治さんへの私的追悼文〉(第10号)/〈テキストにタイムスタンプを押す〉(第11号)/〈青猫〉(第12号)/〈ホワイト・アルバム〉(第13号)
※ウィッチンケア第14号は下記のリアル&ネット書店でお求めください!
https://note.com/yoichijerry/n/n08f19b55d090
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