前号(第13号)に続き、2度目のご寄稿となる加藤一陽さん。現在はカルチャー系コンテンツ・カンパニー・株式会社ソウ・スウィート・パブリッシングを経営しつつ、多方面で活躍しています。同社は先月(4月30日)、『読書と暴動 プッシー・ライオットのアクティビズム入門』(ナージャ・トロコンニコワ/翻訳・野中モモ)を発行。また2022年9月に発行された『EVE OF DESTRUCTION』(チバユウスケ)は、今年1月時点で6刷、とのこと──THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの「The Birdmen」を初めて聞いたのはたぶんCLUB SNOOZERでその日は生レイ ハラカミも観れた!/『THE FIRST SLAM DUNK』のオープニング良かった!!──私事を雑多にぶち込んですいません、合掌。...ええと、そんな加藤さんの今号への寄稿作のタイトルは〈俺ライヴズマター、ちょっとしたパレーシア〉。一瞬「!?」となりますが、作品を読んでみると、なるほど言葉選びのセンスが洒落てるな~、と感心してしまいました。でっ、内容はというと、散歩のお話。今号では内山結愛さんも荻原魚雷さんも(読みようによっては柳瀬博一さんも)散歩について書いていまして、いやあ、ただぶらぶら歩くことに、こんなにも人となりが反映されるものなのかと、全体を束ねる役割の私(←発行人)、驚いておりますですよ。
加藤さんが散歩中に遭遇、というか巻き込まれたのは、職質。日曜日の午後 at 道玄坂で、フィッシュマンズを聴きながらハイボールを歩き飲みしていたら。職質された理由は、加藤さんによると、警官曰く“「目が合ったときに逸らしたように思えた」”ですと。mmm、じつは私もここ数年で2回職質されていますんで、あの嫌な感じはよくわかります。1回なんて、自宅から100mくらいのところで自転車停められて(書き出すと長くなるので以下略)。どうも、あの制服の方々は、自由人っぽい身形の男が不審に感じられるのかもしれず...あっ、私がお目にかかった加藤さんは、すらりと長身で物腰柔らかなイケメン男性でした。お堅い職業の人、ぽくはなかったけれども。
もしも「見た感じ」が怪しかったから、という理由で職質を受けたのだとしたら...加藤さんは“「痴漢に遭うのが嫌ならば、露出の多い服装はやめるべき」という主張が狂っているのと似ているのではないか”などとも考えたりしていて、このへんのモヤモヤがBlack Lives Matterを想起させてタイトルに繋がっているのだと思います。それにしても、お気の毒な出来事なのにエッセイとして読むと、筆者の文才で、つい笑っちゃう。みなさま、加藤さんの職質顛末記をぜひお楽しみ(失礼!)ください。
自分に対して警官Aは「何しているの」と尋ねた。フィッシュマンズとハイボールだ、は違うか、寿司屋と港区女子が、はもっと違うな、散歩、か? と混乱していると、Aは返事を待たずに「あの男、知り合い?」と誰かを指差した。人が多くてどの男のことか分からなかったので、自分は終業後に1人で散歩をしている、と真実のみを伝えた。
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