2022/05/08

VOL.12寄稿者&作品紹介18 柳瀬博一さん

昨年11月にはTBSの人気番組「マツコの知らない世界」に出演して国道16号線の魅力を語った柳瀬博一さん。2020年に上梓した著書『国道16号線 「日本」を創った道』は版を重ねてロングセラーとなっています。拙宅は16号線にぶつかる相模原市南区の鵜野森交差点から約3キロの場所(東京都町田市、東京都!)にありまして、これまで散々「マチダって神奈川県だよね」「バスがカナチュー(神奈川中央交通)なんでしょ」との罵詈雑言(w)を浴びてきましたが、この本のおかげで「東京の端っこ」から「16号線文化圏の重要拠点のひとつ」へと昇格(!?)させていただきまして...って、それはともかく、同書は町田市だけでなく、16号線沿線の主要な町の本屋さんを覗くと必ず良い場所に置いてある。柳瀬さんご自身も16号線のフィールドワークを兼ねて多数の書店めぐりをなさったと伺いました。そんな柳瀬さんの小誌今号への寄稿作は、地方都市での書店動向をみずからの足でレポートした「2つの本屋さんがある2つの街の小さなお話」。静岡県掛川市にある個性的な独立系書店の魅力を伝えてくれる一篇です。 


最初に登場するのは掛川市掛川で2020年に開業した高久書店。浜松市に実家がある柳瀬さんは、同店が『国道16号線〜』を取り扱っていることをネットで知り、帰省に合わせて訪問してみました。柳瀬さんと店主・髙木久直さんの会話では、静岡県内での書店減少の様子やそのことの影響などがリアルな言葉で語られ、そんななか、なぜ髙木さんが新たな書店を立ち上げたのか、その真意が明らかになっていきます。時代や地域性に合わせた書棚づくりのノウハウも披露されていて、かつてどの町にもあった「駅前の本屋さん」とは違うんだなぁ、と納得。

そしてもうひとつの書店は、掛川市富部で2021年開業の「本と、珈琲と、ときどきバイク。」。ヤマハ発動機でプロダクトデザイナーをしていた庄田祐一さんが、高久書店に影響を受けて「じゃあ、つくっちゃえ! と、えいやで始めた」個性的な本屋さんです。柳瀬さんと庄田さんの会話からは、近年のバイクを取り巻く状況なども伝わってきて、興味深い内容。こちらのお店も、書棚づくりに店主の考え方とセンスが活かされていることがわかります。小誌の誌面構成の関係で、もうひとつの町・茨城県稲敷市江戸崎のレポートは柳瀬さん曰く「いずれ」とのこと。あと6ページほど工面できていれば、でしたのに、スミマセン...。




 私が高久書店の存在を知ったのは、2021年の2月ごろ。きっかけはツイッターだ。2020年11月に刊行した自著『国道16号線「日本」を創った道』(新潮社)の売れ行きが気になって、エゴサーチばかりを繰り返していたら、「『国道16号線』面白い! 入荷しました!」というツイートを見つけたのである。(16号線沿いの本屋さんかな?)と思ったら、なんと縁もゆかりもない掛川の書店だという。さらに調べてみると、この書店、自店での書籍販売に加え、「走る本屋さん」と自称し、静岡県内の本屋さんのない自治体に小型バンに本を積み、出張販売をしているという。
 これは、取材せねばなるまい。しかも掛川は、私の実家がある浜松からも近い。というわけで帰省に合わせて取材決行である。ツイッターを介して、店長の高木久直さんに「今度うかがいます!」と連絡を入れ、東京を車で出発し、東名掛川インターを降り、店に直行した。2021年3月のことである。

〜ウィッチンケア第12号〈2つの本屋さんがある2つの街の小さなお話〉(P098〜P102)より引用〜


柳瀬博一さん小誌バックナンバー掲載作品:〈16号線は日本人である。序論 〉(第5号)/〈ぼくの「がっこう」小網代の谷〉(第6号)/〈国道16号線は漫画である。『SEX』と『ヨコハマ買い出し紀行』と米軍と縄文と〉(第7号)/〈国道16号線をつくったのは、太田道灌である。〉(第8号)/〈南伸坊さんと、竹村健一さんと、マクルーハンと。〉(第9号)/〈海の見える岬に、深山のクワガタがいるわけ〉(第10号)/富士山と古墳と国道16号線〉(第11号)

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Vol.14 Coming! 20240401

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