2017/05/19

vol.8寄稿者&作品紹介20 柳瀬博一さん

小誌第5号より国道16号線にまつわる作品をご寄稿くださっている柳瀬博一さん。今号では室町時代後期の武将・太田道灌を<国道16号線の中興の祖>として捉えた一篇です。太田道灌...私の教養レベルだと、高校の「日本史」教科書の欄外で<江戸城をつくった人>みたいに紹介されてたかなぁ、なんだけど、でも教科書でだったら坂本龍馬もたしか同程度の扱いだった記憶が。でっ、龍馬といえば福山雅治/玉木宏/江口洋介/内野聖陽(原田芳雄でも藤岡弘でも...金八先生でも)と誰がやっても「〜ぜよ!」みたいな〝国民的キャラ〟が思い浮かびますが、道灌は? 柳瀬さんも<いまひとつ知名度が低い。大河ドラマで主人公になってもよさそうだし、原哲夫さんが「花の慶次」的に漫画にしてくださってもよさそうである>と語っています。

...そうなんですよね。私が子どもの頃にはすでに司馬遼太郎の「竜馬がゆく」が大人気で(夢中で読んだ/「燃えよ剣」のほうがさらに熱かった)、いまに繋がるイメージがもう一人歩きし始めていましたが、しかし後年になって、じつはその〝国民的キャラ〟は若き司馬が歴史をオルタナティヴに解釈して挑戦的に創作したものらしい、と知ったり。再び寄稿作の一節を引用しますと、<誰か太田道灌を主人公とした漫画でも小説でも書いてくれ!>...ほんと、のちのち大河ドラマでスーパーヒーロー化したら、柳瀬さんこそが道灌ブームの仕掛け人!

作内には扇ガ谷上杉定正という、道灌よりさらに「...誰だっけ!?」な人名も登場しますが、NHK連続人形劇「新八犬伝」(の関東管領!!)や「シン・ゴジラ」と紐付けて解説されると、俄然、リアリティのある人物として浮かび上がってきました。扇ガ谷は庵野版ゴジラが上陸した鎌倉市の地名、道灌が暗殺されたのは伊勢原市...まさに国道16号線界隈の歴史。城作り/城攻めの名人・太田道灌のものであった<横浜市の小机城。東京都町田市の小山田城。埼玉県川越市の河越城。同じく埼玉県岩槻市の岩槻城>...いくつもの点が、16号という線で繋がっていく。

江戸=徳川ではなかったかもしれないアナザーストーリー。最近、「プリファブ・スプラウトの音楽」という、パディ・マクアルーンがプリンスやマイケルやマドンナと同じように語られた素敵な本が出ましたが、道灌&定正も龍馬&松陰/秀吉&信長/頼朝&清盛みたいに「名前だけでOK」の日が、くるのかもしれない!? ぜひぜひ小誌を手にり、楽しい想像力を膨らませてください!



 かくして、太田道灌は、海に面した鎌倉や横浜の六浦、小机、河越、岩槻と、国道16号線でぐるっと回ることができるポイントを押さえ、中枢の江戸城を設け、いまの「東京の都市のかたち」を目に見えるようにした。
 ちなみにこの道灌がつくった「東京の都市のかたち」をその後の関東制圧に利用しようと考えて行動したのが、北条早雲を筆頭とする後北条家であり、一度は捨てられて草ぼうぼうだった江戸城に目をつけて、リノベーションして江戸という街をつくり、同心円状に関東をつくりなおしたのが徳川家康である。

ウィッチンケア第8号「国道16号線をつくったのは、太田道灌である。」(P122〜P127)より引用
https://goo.gl/kzPJpT

柳瀬博一さん小誌バックナンバー掲載作品
16号線は日本人である。序論 」(第5号)/<ぼくの「がっこう」小網代の谷>(第6号)/「国道16号線は漫画である。『SEX』と『ヨコハマ買い出し紀行』と米軍と縄文と」(第7号)
http://amzn.to/1BeVT7Y

Vol.14 Coming! 20240401

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