野村佑香さんの小誌前号寄稿作「今日もどこかの空の下」。発売からしばらくして、NHK出版さんから問い合わせがあり、同社の出版する「実践ビジネス英語セミナー」の<The Writers’ Workshop>に英訳され掲載となりました(2015年7月号、10月号)。...小誌は刷部数1000でありますが、掲載作の英語ver.は、いったいどれだけの方に拡散され届いたのか? ほんとうに嬉しいできごとでした。
野村さんの今号寄稿作は、実体験を背景とする「物語」、そして「俳優」についての論考的なエッセイ。<三歳からモデルを始め、小学校五年生で初めてドラマに出演>するなど活躍していた野村さんが、<大学生の二年間を休業して復帰>した後、「俳優」という仕事をどう捉え、どのように取り組んでいるのか、率直に語られています。とくに「子供」と「大人」にまつわるエピソードは、長く野村さんを応援しているファンには、感慨深いのでは...(拝読しながら、私の脳裏に不意に「トンネル、ネル...ねるねるじぇらじぇら、ねるねるじぇらじぇら」というフレーズが蘇ってしまったこと、慎んでここに正直に告白します)。
原稿やりとりの頃に放映された「科捜研の女 第15シリーズ」の13話での<友坂梨香>役。心に闇を持つ難しい役どころの人物、と感じられましたが、作中には<たとえば特別な心理状態にあるような役だとしたら、心理分析関係のサイトや本で医学的観点、客観的意見も調べる>といった記述もあり、そうか、あの目力は! と惹き込まれてしまいました。
そして今号発売直前の3月20日、西荻ラバーズフェスでのトークショーに登壇した野村さんは、自著の朗読も(with漫画家の玉川重機さん、詩人の田中庸介さん)。女優業とともに、「物語」の作り手側としてのキャリアも、さらに拡がっていくのでしょう。
そんな風に思うのは私が本好きで、小さな頃から物語に親しんできたことと関係しているのだろう。小さな頃から小説ばかり読んできた。仕事では「移動時間」「待ち時間」という名の読書時間に事欠かず、眉間にしわを寄せながら物語に集中していた(強い三半規管のおかげで、車内でも全く酔わなかったことも大きかった)。エッセイというのは野暮だとも思っていて、それはある小説家が好きであれば好きであるほど、その方のエッセイはマジックの種明かしみたいでがっかりするような気がしていたから(今ではそんなことは思わずに、楽しく読むけれども)。
新しく小説を買ってもらって、その本を開く楽しみ。新しい、知らない世界、本当にある場所、信じれば見えてくるような場所、いろんな感情。自分の内側が豊かになるような、友達が増えていくような感覚。ページを開いている間はすべてを忘れさせてくれる物語との出会いは、自分が思ってもいないところに連れ出され、見たこともない視点から世界を見せてくれた。そんな風に育ってきた私だが、大学を卒業したくらいからだろうか? 本を読む機会が急激に少なくなった。
ウィッチンケア第7号「物語のヒツヨウ」(P068〜P072)より引用
http://yoichijerry.tumblr.com/post/143628554368/witchenkare-vol7
野村佑香さん小誌バックナンバー掲載作
「今日もどこかの空の下」(第6号)
http://amzn.to/1BeVT7Y
Vol.14 Coming! 20240401
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