2016/05/21

vol.7寄稿者&作品紹介22 木原正さん

私も多少はギターをいぢりますが(若い頃は「ロックンローラーになって20代で情死したい」と思ってた)、木原さんの場合は「楽器を弾く」というより、すでにギターが体の一部。そしてギターを抱えた木原さんと話をしていると、歌や音色が言葉や身体表現の一部です。「だからポールって♪に♪を乗せて♪みたいな、まっ、いいけど、♪」みたいな...これをぜひテキスト版で小誌に掲載できないかな、と思い寄稿依頼したのでした。

届いた原稿は四百字詰原稿用紙に濃い鉛筆で、というスタイリッシュさ。そして内容的には横書きで英語表記も多用したいところだが、敢えて縦書きで誌面化すると...じつは組版もなかなかたいへんなのでした(音楽誌の方々は特別なノウハウを持っているんだろうな、と実感)。


<「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」「イエスタディ」「ブラックバード」「ヘルター・スケルター」の四曲には共通するモチーフがある>という寄稿作内での指摘は、言われてみればなるほど! ですが、これまで一度もそんなこと思わずに聞いていました。ポールやジョンの弾き癖、みたいなことはたくさん聞いているとなんとなく「〜らしい曲だな」ってくらいには伝わってくるんですが。ジョンのマイナー(短調)カントリー&ウエスタン路線の曲「アイム・オンリー・スリーピング」「ガール」に、ポールも哀愁対抗して「シングス・ウイ・セッド・トゥデイ(今日の誓い)」「ミッシェル」をつくった、という指摘も、なるほど×2。

数年前、木原さんと期間限定ユニットでジェフ・ベックの「You Know What I Mean」やウェザー・リポートの「Birdland」を共演しましたが...いやホント、私は口ばっかで自己鍛錬が足りないと来し方を反省する結果でした。でも無謀なチャレンジは楽しかったな。またいつか、そんな機会が持てたら!



 おもしろいのは「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」「イエスタディ」「ブラックバード」「ヘルター・スケルター」の四曲には共通するモチーフがあることだ。「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」のサビに入る前「アイルネヴァー……」のトニックEからサブドミナントAへの進行と同じメロディが、「イエスタディ」の冒頭「オールマイトラブルズ……」で使われているが、これはハーモニックマイナースケールを有機的に使った見本といえるだろう。
「イエスタディ」「ブラックバード」「ヘルター・スケルター」の核を成すのはVI→II→IV→Iで示されるマッカートニー進行。キーがCにおけるAm7→D7→F→Cの黄金パターンの使い回しである。「ユー・ウォント・シー・ミー」や「エイト・デイズ・ア・ウィーク」、ストーンズの「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ(涙あふれて)」も類型であるが、ポールがこのパターンを確立したことは特筆に値する。

ウィッチンケア第7号「ビートルソングスは発明か?」(P134〜P137)より引用
http://yoichijerry.tumblr.com/post/143628554368/witchenkare-vol7
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Vol.14 Coming! 20240401

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