写真はもちろん文章も! なんとも月並みな表現ですが、元埼玉県新座市議会議員・立川明日香さんの本「ノーモア立川明日香」を読んで、粘り強いインタビューコラムを書き上げたインベカヲリ★さんの筆力に、写真とともにショックを受けました。自分も過去、かなり手強い相手に話を聞いて記事にしたことがあるので、よくもまあここまで話を聞き出して(併せて写真も撮影して)、と驚愕。同時に「こんな表現ができる人は、被写体やインタビュイーにどんなスタンスで臨むのだろう?」という興味も沸き、ぜひ寄稿依頼したくなったのです。
寄稿作「目撃する他者」を受け取って、私がインベさんの写真と文章に共通する質感を抱いた理由が、少しわかったような気がしました(でも謎だらけですが〜)。昨年末に原稿の打ち合わせをして、会う前はもっとクール(っていうか、低体温系)/理系観察者のようなスタンスで創作に携わる人なのかと思っていたら、全然そんなことはなく...って、ちょっと考えればわかるね、人は人を観察しようとする人に話をしたり写真を撮らせたりはしない。
インベさんがジャケットのアートディレクション&写真を手がけた、スガシカオさんが、<最近、インベちゃんが現場に現れると、なんかみんな無駄にテンションアガる>とつぶやいていたことがあり...「アガる」要因は、きっとインベさんの持っている「創作に関わるなにか」によるものだろうな、と。そしてスガさんの最新アルバム「THE LAST」に入っている「おれ、やっぱ月に帰るわ」は、インベさんの写真集「やっぱ月帰るわ、私。」を見たことがきっかけで生まれた曲、とのこと。絶望的なのにグルーヴィな妙味は「4 Flusher」に入っていた「ドキュメント2000〜the sweetest day of my life〜」にも通じる雰囲気で、私は大好きです。
小誌寄稿作に興味を持ったかたは、ぜひ「新潮45」もチェックしてみてください。同誌2016年5月号にはインベさんの手による<サドル窃盗男が起こした「私は変態じゃない」裁判>が6ページ掲載されています。またPOLOS on earthにアップされている約30分の映像では、インタビューだけでなく制作風景も垣間見ることができますので、みなさま、ぜひアクセスを!
ところで、こうしていろんな人の人生を聞き取りしていると言うと、「引きずられたりしないんですか?」と聞かれることがある。引きずられるというのは、暗い話を聞いているうちに自分も落ち込んでしまうとか、鬱病の人と接して自分も鬱っぽくなるという意味らしい。私は最初、その意味がわからなくて、「へえ、そういう人がいるんですか」と返していたものだが、同じ質問を頻繁に受けるので、どうも世の中には「引きずられるタイプ」のほうが多いようだ。私にはこれがまったくない。そもそも暗い話を、暗いとも思っていないからだろう。私にとって他者の人生を聞くことは、小説を1ページずつめくっていくようなもので、ストーリーの面白さに焦点を当てているから、悲観的な気持ちにならない。
ウィッチンケア第7号「目撃する他者」(P018〜P021)より引用
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Vol.14 Coming! 20240401
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