2018/05/09

vol.9寄稿者&作品紹介09 西田亮介さん

社会学者・西田亮介さんのお話を最初に伺ったのは、一昨年1月のB&Bでのイベント。ご著書「メディアと自民党」を読んでいろいろ感じ入るところがあり、参加してみたのでした。その後、世間では同年11月に公開された安倍昭恵さんのインタビューが話題になっていたようですが、私は見落としてました(恥!)。年改まり、2017年6月のビデオニュース・ドットコムに西田さん出演。このときの宮台真司さんとの対話が心に残り、ぜひ小誌に寄稿していただけないかな、と思い立ったのでした。

寄稿作「エリートと生活者の利益相反」ではこの国の厳しい現実、とくに「人生100年時代」=少子高齢化社会に対する若い世代の率直な思いが提示されているようで、私は正直、お尻がムズムズしました。<支払った税金の使途が年長世代の社会保障費や医療費に投入されているわけで、現役世代への還元は体感しにくい状況>...たしかに、専業主婦だった私の母親はいま年金暮らし。私は来年いっぱいで年金を納め終わる予定で、その後「人生の先輩を敬え」とも「年寄りに優しくしろ」とも思いませんが(できるだけ自分の身の回りのことは自分でなんとかしたい...)、しかし老人が「生き存えちゃっててゴメンナサイ」みたいな心持ちで余生を送る社会というのは、それはそれでけっこう辛そうだし。

<ジレンマ><ポスト平成の困難>という言葉で西田さんは現状を表現しています。<われわれは「合理的」に振る舞えば振る舞うほど、トップエリートと生活者の利益相反が生じる局面に立っている>とも。この利益相反の具体的な事例については、ぜひ小誌を手にして、あるいは、西田さんが今年1月に上梓した「なぜ政治はわかりにくいのか: 社会と民主主義をとらえなおす」の第1章あたりをご参照いただけますように。

小誌寄稿作でも、いくつかの著書でも、西田さんは「だから日本(政治)はこうすれば大丈夫」みたいなもの言いを控えているように思えます。それは私には真摯なスタンス、だと感じられます。むかし近所にいつもニコニコしている町医者がいて、いくと山ほど薬を出し、さらなる検査を薦めてくれましたが、なんかその笑顔がだんだん恐く見えてきて、疎遠になっちゃったんですよね〜。



 平成の時代も終わりに差し掛かっているが、我々の社会の諸制度は昭和に構築されたものを、ある種の惰性のままだましだまし使い続けているものが大半だ。
 たとえば日本の人口はおよそ1億2000万人程度だが、昭和生まれが9000万人を上回る。当時の平均寿命は現代よりも短かったわけだから、年金にせよ、社会保障にせよ、そもそも想定の前提条件が違うため、「人生100年時代」を想定していないのはある意味では致し方ないことも否定はできない(どこかで舵を切るタイミングはあったと思われるにせよ)。
 とはいえ、ここにジレンマがある。
 よく知られるとおり、我々の国はすでに多額の債務を抱えている。その額は国、地方あわせておよそ1100兆円で、対GDP比198%というから想像することも難しい金額である。

ウィッチンケア第9号「エリートと生活者の利益相反」(P056〜P059)より引用
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Vol.14 Coming! 20240401

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