2011/12/30

風に乗れ!


それにしても12月はひどいことになってしまいました。20日前に「ちょっとこのまま熱出て寝込んだりすると、ものすご〜く困る」なんて書いていたのですが、熱は39.5度までいったし、予定はしっちゃかめっちゃか...でもこれで、2011年の悪運、使い切ったかな(まだ1日あるぅ)!? 明日には実家に戻り、のんびりとお正月を過ごします。

本日、Witchenkare vol.3関係者に最新の媒体概要を送付しました。年が改まったら制作/発行に向けての各種打ち合わせを始め、寄稿者からの原稿が届くのを楽しみに待ちます。この時期のメールチェックが、媒体づくりで一番楽しい瞬間かもしれない。当ブログもvol.3発行モードに、じょじょに変化させていきます!

思い返すと、前回の辰年は2000年だったんですね。このトンボ(Dragonfly)は1999年の年末、年賀状用にApple Works(クラリスかも?)でつくったもの。あれからいろいろなことがあった。変わったこと、変わらないこと、尻切れトンボ!? それはいやなので、もう1回飛ばしてみます。

2011/12/21

2011は果てしなく“想定外”

しかもまだ続行中なのですが、2011。のど飴による自然治癒作戦は失敗、けっきょく西洋医学の極みで現在リカヴァリー中。ああ、一週間前に近所の医院で抗生物質をもらっていればよかった。なんてね。

右欄のfacebookページにもう少し詳しく状況を記しました。ご参照ください。

取り急ぎ、近況報告でした。

2011/12/09

のど飴はお菓子!?


今朝は東京でも雪が降ったようですね。8時頃だったのかな? いや起きてはいたのですが、咳き込みながらぼうっとテレビを眺めてたら「モーニングバード」で渋谷からの中継があって、小松靖さんが「東京の初雪です」とかなんとか。しっかし小松アナはいつ見ても同じテンションを保っていて、あんな調子だけどじつはけっこう真面目な人だったりするのかな?

ここ数日は喉の調子が悪くて、もう。風邪のひき始めなんじゃないかって気がするので用心してますが...ちょっとこのまま熱出て寝込んだりすると、ものすご〜く困る。いまのところ喉と咳だけなので昨日は雨のなかドラッグストアで「改源蜂蜜かりんのど飴」買ってきてずっとなめていたんですがしかしふだんから飴なめたりガム噛んだりする習慣ないもんだからすぐに飽きちゃって今日は昼飯のついでに「浅田飴しょうがのど飴」と「トキワ南天のど飴(せき止め薬)/黒糖シナモン風味」も買ってきてのべつまくなしにとっかえひっかえなめてますがそのせいなんだかどうなんだかちっとも腹が減りませぬ。

ちなみに「改源蜂蜜かりんのど飴」の商品名はキャンディ...って、お菓子じゃん! さらによく見ると販売者は(株)改源ですが製造者は味覚糖(株)。「浅田飴しょうがのど飴」はさすがにクスリかなと思って確かめると、商品名はこれもキャンディー!! でっ、販売者は(株)浅田飴AKで(AKってなに?)、さらに製造者の表記は見当たらず、でもラフェルサ(ラフェルサはお客様の美と健康をサポートします)というクレジットがあって...その「ラフェルサ」をWikiってみたらグレートアンドグランド(略称G&G)ってなよくわからないとこに飛ばされて...とにかくこれもクスリじゃなくてお菓子なんですね。そして他の2品より200円ほど高い「トキワ南天のど飴(せき止め薬)/黒糖シナモン風味」は、これは表書きにも「第3類医薬品」と記されているので、さすがにクスリではあるみたい、製造販売元は常磐薬品工業(株)。ただし、その下にチラッとNOEVIR GROUPって書いてあって、一瞬「化粧品かよ!?」と。

ブランド/商品名/製造販売元etc.について思わぬ社会勉強なんぞしてしまいました。さらに「キャンディ」だったり「キャンディー」だったり、「飴」の字も各々微妙に違ってたり、といろいろ他にも発見はあるのですが、とにかくいまは喉風邪がこれ以上悪くならないことを祈りながら飴なめてようっと、来週は寄稿者との大事な打ち合わせが続くのですから。...そしてそして、のど飴買いに出かけたさいに通りがかった北沢川緑道の桜は、紅葉モードの末期。今年の桜にはぱっとした思い出なんぞありませんが、Witchenkare vol.3が無事発行された暁には、このあたりで楽しく花見でもしたいものだなぁ。みなさま、どうぞよろしくお願い致します!

2011/12/01

編集人と発行人

お〜、今日はしゃきっと寒い冬の日。今年の師走はちゃんと師走らしくやってきました。

そして私は先月末よりWitchenkare vol.3のため、編集人としての作業を開始しました。ご連絡を差し上げたみなさま、どうぞよろしくお願い致します。果報を、目をばっちりあけてお待ち致す所存です。

同時に、発行人としての業務も、そろそろ開始しなければ...。きっと、あっという間に新年ですもんね。

2011/11/24

制作過程へ

おーっ、ここんところ通常業務がすでに年末進行状態でいろいろなことがごてごてと後手後手に廻ってしまっています、陳謝。

「第十三回文学フリマ」はよい体験でした。商いの場としては「どんなもんだったんでしょう?」でしたが、交流の場としては楽しかった...ものとしてのウィッチンケアをがっちりがんがん販売すること。次号でも、私にとって大きな課題です。

夏の終わりからこれまで、多くの方とご連絡をとらせていただきました。今月いっぱい、もう少し具体的なお話しを続けながら、来月半ばにはWitchenkare vol.3の概要をフィクスし、制作行程に移行したいと思っています。しんどいけれど、でも、ここからはとても楽しい作業。3号はよりヴァージョンアップしたものになるはずですので、みなさまどうかご期待ください(大見得切った)!

2011/10/31

第十三回文学フリマに参加します!

わぉ、どたばたしているうちに今月もまたどん詰まってしまいましたが、告知です。

今週の木曜日(祝日)に開催される「第十三回文学フリマ」にWitchenkareは出展。最新号であるvol.2、そして残部少になってきたvol.1も販売致します。当日は私ひとりでの参加ですが、でも隣のブースが「漫画批評」の渡瀬基樹さんなので、心強い限り。またFacebookでの「友達」も何名か参加していらっしゃるようなので、この機にあらためてご挨拶を、と思う次第であります。あっ、こいつがウィッチンケアか、と思ったら気軽に声をかけてくださいね! また、当日の冷やかし、ボランティアも大歓迎/大募集。

...そして、私は夏の終わり頃から次号に向けて、多くのかたとお会いし続けてきました。紅葉の季節(って、もうすぐですね)には、概要がほぼ決まるかな、と。不義理のままになっているみなさまにも、追って個別ご連絡を差し上げますので、どうぞよろしくお願い致します。

第十三回文学フリマ開催情報
※WitchenkareはFホールの「エ-52」です!
開催日 2011年11月3日(木祝)
開催時間 11:00〜16:00
会場 東京流通センター 第二展示場(E・Fホール)
アクセス 東京モノレール「流通センター駅」徒歩1分
※詳細は会場アクセスをご覧下さい
一般参加方法 入場無料・どなたでもご来場いただけます
(サークルカタログ無料配布、なくなり次第終了)
参加サークル 第十三回文学フリマサークルリスト(50音順)
主催 文学フリマ事務局

2011/09/30

The Future's So Bright

お〜っ、今日で9月も終わり。日中は夏を思い出させるような暑さでしたが、でもさすがに、太陽の店じまいは早々。そろそろ大活躍した扇風機をしまおうかな、この週末にでも。

というわけでお天気話を書いているばかりでWitchenkareブログはこのところ、停滞中。あっ、でも昨年のいまごろも見事に煮詰まっていたのでして...発行も二度目なら少しは上手に小誌のメッセージ伝えたい(アキナさん♪)。

この澱みの期間を、発行人は無為に過ごしてはおりませぬ(きっぱり)。想定外の諸々にてんやわんやしたりもしましたが、それだって未来に繋がるなにかに変換できなければ、もう、ね...ほんとに、ねっ。かつて大好きなオースティン出身のデュオ、Timbuk3が"The Future's So Bright, I Gotta Wear Shades〜未来が(核爆発で)明るすぎるからサングラスをかけなくっちゃ”と悪い冗談のように歌いまして、それが的中してしまったいまとなっては未来という言葉を無邪気に肯定することもできなくなっているわけなんですがぁ...しかしですね、なんにせよ、自分の視界に「やがて確実にくる未来」を捉えているのなら、そこが「好きな場所」になるように試行錯誤してみるしかないという...なんか、密かに熱いんですわ、今日の私(恥)。



昨年の10月は完全沈黙してしまいましたが...あっ、今年は11月3日(木・祝)に開催される「第十三回文学フリマ」にウィッチンケアは出展するのです! Facebookページとも連動して順次、情報をお伝えしますので、みなさまどうぞよろしくお願い致します。

2011/08/28

FBページで寄稿者最新情報を!

mmm、当ブログとWitchenkare Facebookページをどう連携させるか、やや試行錯誤していますが...。以下のURLにて、小誌寄稿者の最新情報を掲載しています。ぜひアクセスしてみてください〜(ついでに「いいね!」も!)。
http://www.facebook.com/Witchenkare

昼間は暑いけれど、でも夜は虫の音が。今晩は網戸に蜻蛉が貼りついています、こんな〜ことはいままでなかった♪(オダヤンの歌)。

2011/08/18

酷暑さゆり

今日の東京は38度ですって! 暑いですね、いや、こんなだと、それしか書くことない。みなさま無事に酷暑を乗り切りましょうぞ。そして、もう少し涼しくなったら...ぼちぼち。

2011/07/24

【訃報】野上郁哉さんが...

【追記】2011年10月12日

数日前に情報を得ていたのですが、本日マスコミでも報道
されたので、ここにも記載します。野上郁哉さんがひき逃げされ死亡した事件の続報。警視庁府中署は自動車運転過失致死と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、住所不定、無職で当時19歳だった男(20)を逮捕しました。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111012/dst11101214180013-n1.htm


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【追記】2011年7月30日

野上さんが編集長を務めていた「Oar」のFacebookページがスタートしました。有志により、追悼の意を込めた第4号が発行されるようです。下記URLにアクセスして、ぜひ「いいね!」と!!

http://www.facebook.com/pages/Oar/225217924188934

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【追記】2011年7月28日

朝7時に渡瀬基樹さんのクルマで東京を出発、野上郁哉さんの葬儀へ。悪天候のため通行止めの道路も多く、出棺直前にやっと到着。強い雨の中、最後のお別れだけはできました。受付の女性に小誌vol.2を10冊託しました。「野上さんが故郷で過ごした日々のことを書いた作品が載っています」と伝えて。十日町市を離れて高速に乗ると雨は上がり、その後は1度も降りませんでした。




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【追記】2011年7月25日
午前中に事故現場で献花してきました。以下は立て看板からの無断引用。

目撃者を捜しています
七月二四日 午前〇時三八分ころ、 この場所で、
「シルバー色の乗用車」と「自転車」
の衝突事故が発生しました。この事故を目撃された方は
左記の所にご連絡をお願いします。

府中警察署交通捜査係 電話 〇四二 三六〇 〇一一〇 内線四二五二〜四二五五

※「この場所」とは東京都府中市白糸台二丁目/西武鉄道多摩川線「白糸台駅」武蔵境方面踏切付近(都道229号線、旧甲州街道)

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たったいま、Witchenkare vol.2の寄稿者・野上郁哉さんが亡くなったことを知りました。なんということが...合掌。

まだ動揺していますが、取り急ぎ。詳細は以下のURLを。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110724/dst11072409000002-n1.htm

Facebookページとこんな夏

ありゃまっ! 「今日で2011年も半分終わり」の次の書き込みが「7月もあと1週間ほどで終わり」になってしまった...。

正式発行からもうすぐ4ヶ月、Witchenkare vol.2は引き続き右下の「*Witchenkare vol.2を入手するには...」各書店で絶賛発売中です...です、が、地道に書店を足で廻ってみると、発行当初ほど店舗の“素晴らしすぎる場所”に鎮座させていただいているわけではなく...そりゃそうですよ、この間にいったい何冊の文芸誌が発行され、お取り扱いしてくださっている店舗の限られたスペースでひしめき合っていることか...。年1冊発行のウィッチンケアにとって夏は正念場です。未読のみなさま、書店に出かけたさいには、ぜひ「ギターの背表紙」なども目安によろしくお願い致します。

そして、FacebookページのURL取得では多くのかたにご協力いただきました。あらためて感謝致します。同ページの存在が独自の意味を持ち始めるのは秋以降!? かもしれませんが、小誌の存在を知ってもらうため、このブログと併行して情報発信していく所存です。

...こんな夏は、虚心に足下を見つめ直しておりまする。いや、私は元来万年慢心気味というか、根拠のない思い入れだけで暴走しているというか...そういう性分がなるべくマイナスに作用しないようになんとかしながら生き存えているわけでして、でっ、そのような人間は動もすれば「mmm、アマゾン、最近動いてないじゃないか!?」などとふと思ってしまうわけですが、そんなときには、まず足下(具体的には、たとえばブログを読み直す、とか?)。

約600日前、Witchenkareは名前どころか影も形もなし。約500日前、販売してくださるお店ゼロ&ググっても検索不可能。...その後も道なき道をかき分けながらなんとかやってきたわけでして、こんな電力不足の夏にスイカ囓りながらPC眺めて「最近動いてないじゃないか!?」って、いまの自分、何様!? と。

足下を見つめ直していたら「メンテしなきゃいけないこと」が多々、頭に浮かんできました。同時に、まだまだ先に進みたいぞ、とさらなる暴走モードにも突入したりして...。

がんばります。みなさまも健康に留意してこんな夏を乗り切りましょう!

2011/06/30

半分終わりましたが、

今日で2011年も半分終わりです...か。なんだかもう1年分くらいいろいろなできごとを経験しちゃったような気分なのは、年のせいなのか暑さのせいなのか? まあ、とにもかくにも3.11。最近ネットなどで「3.11って言いかた、どうよ!?」みたいな言説も見かけますが、私的には「あんなにいろんなことにいろんな影響をおよぼしたものに、そんなに簡単に名前をつけられるわけないんだから、記号的な暫定仮称ってことにして3.11でいいじゃん!」。

ということで3.11以降のいろんな宙ぶらりん案件を抱えたまま、ウィッチンケアはさらにGO! です。発行人はAmazonの在庫を確認するたびに○喜●憂する毎日〜。まだ手にとっていないかた、ブログ右下の各書店でも絶賛発売中ですので、ぜひこの機会に! 節電の夏をぶっ飛ばすおもしろさですYO!

そして私は近日中にもうひとつ、Witchenkareのための新しいトライをしてみようと思っています。ほどなく、またここでお知らせできれば...。みなさまもしっかり水分摂取して、健やかに頑張りましょう〜。あっ、スタミナ補給の焼肉は、かならずトングで掴むこと!!

2011/06/20

なんと呼ばれても、知ってもらうこと!?

正式発行から2ヶ月半とちょっと。“想定外”な苦難によたよたしながらも、ウィッチンケアvol.2はまだ前を見て進んでいます!

...しかしまあ、なんとも覚えてもらいにくい&発音しづらい名前を冠したものだ、Witchenkare。「どうせ新媒体を発行するなら、いままで世の中に存在しない誌名に!」と、青雲の志(高邁というか、不遜というか...)で命名したんですが、でも正直、そのせいでなにかと面倒も背負い込みました。なにしろ「世の中に存在しない」造語、しかも意味不明で長い固有名詞を初対面の人に発語するわけですから相手の反応は99%が「なぬ!?」「はい!?」「えっ!?」(しかも当方、買っていただいたり販売していただく立場)。そこでめげずに2回言っても、ほぼ、さらに混乱を深めるだけなわけで、ましてや電話で現物も見せずの場合など...よいちじぇり〜のいんでぃ〜ずぶんげいそうさくしうぃっちんけあどぅゆあんだ〜すたんど?

細々と営業&PR活動を続けてきて、少し手応えを感じるのは、誌名を覚えてくれたかたが僅かずつでも増えてきたように思えること。ある取引先に「お世話になってます! ウィッチンケアの多田ですが○○さまはいらっしゃるでしょうか?」と電話して通じるようになったのは...嬉しいなぁ。相手を混乱させたくないから、私、しばらくは以下のようにそちらに電話していたのですYO。「お世話になってます。私は多田と申しまして、貴社に個人発行の文芸誌を...(中略)...○○さまはいらっしゃるでしょうか?」みたいな。

それでっ、それでも自業自縛で「ウィッチンケア」と連呼&連記し続けるしか術のない私ではありますが、しかしながら話し言葉でも書き言葉でも、なんとなく自然発生的(一部は不自然発生的)に別称というか渾名というか俗称というか、そんなものがいくつか流通するようにもなっています。たとえば文章内ではよく「WTK」とか「WTK2」とか書いちゃうんですが、これはでも、Google検索とかでは「Wireless Toolkit 」「惑星大気研究」その他に負けちゃって、“永遠に世の中に存在しないもの”扱いの呼称...。喋っているときは「うっちんけ」と言うこともあって、この語感は私、嫌いじゃないんですが〜、でも、発行人がきちんと媒体名を言わんでどうするのかと(自戒)!

ある寄稿者が発明してくださった「よいどころだうひん」には、目からキラリと鱗。良い所? 酔処? 「K」と「W」を入れ替えた誌名だから「だ」と「よ」をアナグラム...自分では逆立ちしても思いつかない。英語版を出すさいには、ぜひこの名前で(99%嘘)!! またFacebookでは「珍毛」とも記されていたりして、それはどうよ〜、とも思ったのですが、でも、しかし、最近は確信犯で「Chim↑Pom」と名乗って「存在を知らしめること」に成功している人たちもいるわけだし、だいたい私自身がもし書店で「珍毛」って誌名の本を見つけたら、気になっちゃってきっと1回は手にとるだろうし〜、モヤモヤむずむず。...あっ、でもやっぱり「「お世話になってます! チンゲの多田ですが〜」とは言えない...浅草キッドの水道橋博士じゃないほうの人のように強くは生きられない...。

★おかげさまでアマゾンでのWitchenkare vol.2、現時点で在庫があと1冊状態であります。早く手に入れたい、というあなた! いますぐポチッてくださいね〜(amazon.co.jpでの販売については、後日また書こうと思います)!
http://www.amazon.co.jp/dp/490329546X/

6/26
本日あるかたから「ゐッチンケア」という呼称も...あまりにステキなので、思わず付記です(感謝!)。

2011/06/06

ウィッチンケア vol.2 /寄稿者紹介文まとめ

今後、新たな書き込みを続けるとどんどん奥まってしまうので、ここで4月から続けて完成させたWitchenkare vol.2寄稿者紹介文をまとめてみました。改めて、どうぞよろしくお願い致します。

01.木村重樹んとはオーガニックなランチを…
02.やまきひろみさんとはロールキャベツを…
03.武田徹さんとは夜のドトールコーヒーを…
04.高橋美夕紀さんとはいまっぽいカフェでお茶を…
05.中野純さんとは民家風カフェでお茶を…
06.多田洋一は自然薯の素揚げ食べ、「最高のポテトフライだ!」…
07.大西寿男さんとはもう日も暮れちゃったんで「ビールもあり!」…
08.我妻俊樹さんとは廻ってないお寿司(ランチ)を…
09.友田聡さんとはそっぷ炊き風の鍋料理を…
10.浅生ハルミンさんとはマルゲリータ(ピッツァ)を…
11.野上郁哉さんとは音楽っぽいカフェでお茶を…
12.吉永嘉明さんとはドライカレーを…
13.藤森陽子さんとは冬の焼きりんごを…
14.稲葉なおとさんとはベーグルを…

※インディーズ文芸創作誌「Witchenkare vol.2」の最新媒体概要については、下記URLをご覧ください!
http://witchenkare.blogspot.com/2011/04/witchenkare-vol2.html

2011/06/03

ROCK月になりました

いやぁ、今日はテレビで内田裕也の安っぽい「ろっくんろ〜る」って言葉を何度も聞いちゃって胸クソ悪くなって、そんなところに古いロックともだち(!)から電話があってYou Tubeのゴキゲン(!!)な動画情報を教えてもらって、こりゃホンモノ(!!!)を召還しないと、今晩きっと悪い夢を見る。

ここはWitchenkareのブログなのでウィッチンケア的なことを記す場所なのですが...まあ、発行人にはまちがいなくいまもロック的ななにかが滔々と脈打っていますので、まあ、いいか(ユーヤさんのせいだぜ、ったく!)。

ともだちが「観ろ!」と言ったのはTENSAWの、公式には未発表のライブ。いつのまにかいくつか激レアなやつがアップされていて、なかでも渋谷公会堂でのものは、え〜っ、なんでいまごろこんなの出てきたんだという...キーボード(ゲスト)を弾いてるはたぶんモーガン・フィッシャーで、この日、私、会場にいましたYO。30年前の音楽です。

ロックとはなにか? そんなことはめったに語りませぬ。最近ETVで観た細野晴臣が何度かはにかむように口にしたロックって言葉のニュアンスは、すごく共感できました...って、ちょっとは自分の言葉でも語ってみようか。「ロック的ななにか」の本質は、じつはかなり恥ずかしい。恥ずかしいからあまり言葉にはしないで、べつの手段で“それ”を表現できればいいんだけれど...。

私が一番ロックを感じる日本のバンドがTENSAWです。メンバーの誰ひとりかけても成立しない音楽。内田裕也さんはじつはご近所みたいでときどきお見かけしたりするんですけど...、でも彼をニセモノ呼ばわりするために彼の口癖に揃えれば、オレ的にはこっちがホンモノの「ロックンロール」。音楽/表現、そのものにしてロック!

あっ、もうひとつ私がロックを感じる日本のバンドがあって、それは外道なんですけれど、でもそっちはちょっと地球外生命体気配が濃厚なので、自分的には「日本一のロックバンドはTENSAW、外道は宇宙一」と棲み分けしてもらっているのでした...って、このテの話になると止まらないなぁ。私、最近Facebookを始めましたので、もしよろしければそちらで「友達」になって語りましょうか? facebook.com/yoichi.tada

2011/05/30

WTK2寄稿者紹介14(稲葉なおとさん)

稲葉なおとさんとはベーグルを食べながら打ち合わせをしました。

稲葉さんとはつい先日、○○研究会(と称したごく少数での親睦会)でお会いしまして、そのさい「いったい私たちはいつから知り合いなのか?」について確認しました。おたがい、高校時代からだとばかり思っていましたが、どうも正確には、共通の友人を介して浪人時代からのようだなぁ...それにしても、光陰ウサイン・ボルトの如し。

でっ、その会の後半、研究課題そっちのけでついつい音楽話(相手が音楽好きだと俄然張り切っちゃうのです、私)。中学生のころ流行っていた洋楽を思い出していて、稲葉さんが曲は覚えていてもミュージシャン名を記憶していなかったのは、ラズベリーズ。でも「Go All The Way」も「Let's Pretend」も「Tonight」も、みんないまでも口遊めそうじゃないですか〜。あっ、「Overnight Sensation (Hit Record)」は覚えてなかったみたいで、それはちょっと残念だったなぁ...それにしても、同じラヂオの音を聴いた仲。

そんな稲葉さんの渾身の長編小説「0マイル」文庫版の解説で、重松清氏は以下のように書いています。ちなみに同作品は、父親と息子の二人きりのアメリカ旅行を描いたもの。

「(前略)この物語はスタイリッシュではあってもキザではない。美しい情景の数々も決して絵葉書のような平板なものではない。主人公や旅のルートは世の父親がうらやむ設定でも、物語そのものには、甘ったるさは微塵もないのだ。/この旅に満ちているのは、後悔、やるせなさ、持って行き場のないいらだち……。/苦い旅である。なにをやっても、なかなか思い通り進まない。息子との関係も、すぐにぎくしゃくしてしまう。/その苦みを噛みしめることから、僕たち読者の『読む』という旅は始まる。」(「0マイル」文庫版P521より引用)

稲葉さんが寄稿してくれた「ニューヨークの流れ星」は、重層的な構造のなかに寓話性を持ち込んだ、チャレンジングな作品。世界中を旅して数々のホテルに滞在し、「まだ見ぬホテルへ」「名建築に泊まる」といった著書をものしてきた(写真も)稲葉さんにとって、ニューヨークもまた自分の身の丈にあった町なのでしょう。当ブログのどこぞに記されている「WitchenkareはKitchenwareのアナグラム。身の丈にあった生活まわりの文芸創作(後略)」という一文に、ぴったりではないですか! そして、この物語においても重松氏の解説はまことに的を射たものでありまして...ほんと、稲葉さんは知り合ったころからずっと変わらず、磊落にしてセンシティヴ〜。


「何か質問は?」
 訊かれて思い浮かぶことがあった。肝心なことを確認しておかなければ。
「合格かどうかは……?」
「三人目の仕事をきみが終えた時点で空を見上げれば、そこに合否が描かれるはずだ」
 やはりそうなのだ。以前、同僚からも聞いたことがある。光の点が下降すれば、それは「否」を意図する。上に向かって流れれば、「合」を表わす。
 遠い昔の人間たちは、地平線に向かって尾を引く光が、我々の失意につながる知らせであることを知っていた。だから、気落ちする見習い天使を励ますために手を合わせてくれたのだ。それがいつしか行為そのものが履き違えられ、手を合わせる人間自身の願いを叶えるための儀式にすり替わってしまった。
 願いを叶えてもらうためには、光が消えるまでに三回願いごとを唱えなければいけない。
 そんなことが、一部の人間の間でまことしやかに囁かれているようだが、わたしにいわせれば、不合格通知に向かって自分の願いごとを、それもよりにもよって三回も唱えるなど、愚かな行為だ。
 わたしが人間であれば、「否」の知らせではなく、遥かに眼にする機会の少ない「合」の知らせに向かって、たとえその光が消えたあとでも手を合わせるだろう。
 理由? 見習いから“正”に昇格したばかりの天使の浮き立つこころが、つい揺り動かされてしまうかもしれないからだ。自分の合格を祝ってくれているようにも見えるその人間に対しては、ひとつくらい願いごとを叶えてあげてもいいかな、と。
「では、幸運を祈る」
 先輩はいい残すと、ふわりと身体を浮かせた。

〜「Witchenkare vol.2」P185より引用〜

2011/05/28

WTK2寄稿者紹介13(藤森陽子さん)

藤森陽子さんとは冬の焼きりんごを食べながら打ち合わせをしました。

『Hanako』『BRUTUS』といったマガジンハウスの雑誌、Webサイト(Cafe glove.comの旅コラム「旅の肌ざわり」)などでライターとして活躍中の藤森さんは、いつお会いしても忙しそうで、そして(...「そして」じゃなくて「それなのに」かな?)はつらつとお洒落。あっ、なんだかいきなりややこしい書きっぷりで申し訳ありませんが、いやね、ふつう、そんなに忙しかったら「見た目も体調もボロボロ」でもいいんじゃないの、とか、思いません!? ところが藤森さんは「忙しい」と「お洒落」を両立させてしまうタイプ、輝きながら働く女性!

たぶん、たとえば優秀なスポーツ選手が傍観者にはキツそうにしか思えない状況なのに自己の能力と他者への魅力を最大限に発揮しつつ「ゲームを楽しんじゃう」ような、そんなことができる人なのだと思います、藤森さんは。だから、きっと天職なんだろうな〜、見知らぬ人と出会ったりステキなものを発見したりして自分の文章で伝える、取材スタイルのライター仕事が。社会にコミットしてる感じで、羨ましいな〜。

そんな多忙な藤森さんは近年、プライベートでは『藤花茶居』の屋号を掲げて台湾茶ケータリングを楽しんでいます。つい先日も製茶したての春茶を買うため、台湾の坪林郷、杉林渓、鹿谷郷へと。現地で仕入れた新茶をお披露目するため、来月再来月には都内各地で茶会を開く予定なのだとか。な、なんと、仕事疲れのリフレッシュでも人(たぶん見知らぬ人も含む!?)と会うか! 私なんか忙しい仕事が一段落したら、絶対ひとりになりたいか、まあ会うとしてもよく知ってる人なんだけれど...って、私と比較することではありませんが...しかし藤森さん、たとえ夕暮れの浜辺にぽつんと座っても、見知らぬ蟹や巻貝と出会ってコミュニケってるんですか〜(意味不明)!?

藤森さんが寄稿してくれた「接客芸が見たいんです。」は、ご自身の取材体験で日頃から強く感じていることなのでしょう。いや私、若い時分にひとりでメンフィスにいったことがありまして、でっ、夜遅く辿り着いた、小さなホテル。チェックインが済むとオーナー(老婆)がにっこり「ようこそ、メンフィスへ!」と労ってくれまして、そのなんでもないひとことが旅心に響いたもんだったよ。これがサザン・ホスピタリティってやつか、と。


 飲食店の話ばかりしたけれど、この辺でホテルのことも書かないと。ホテルこそプロフェッショナルな接客術を思う存分堪能できる場所。初対面なのに宿泊客である自分を緊張させず、親しげで、かといって馴れ馴れしくはなく、瞬時に寛いだ気分にさせるあの絶妙の間合い。
 荷物を運ぶポーターさんなんて、エレベーターで客と2人きりになっても実にスマートに沈黙を埋め、さらにそのまま部屋の中に入っていくなんて事までやってのける。人見知り気味だった駆け出しライターの自分にとって、それはE難度の離れ業を見る思い。なので、どうにかインタビュー術を上達させたくて、ホテルの人の立ち居振る舞いや会話のテンポ、客との距離のとり方を観察して自主練に励んだ過去があるのだが、思えばこれが今のような接客マニアになったきっかけだったようです。

〜「Witchenkare vol.2」P163より引用〜

2011/05/24

WTK2寄稿者紹介12(吉永嘉明さん)

吉永嘉明さんとはドライカレーを食べながら打ち合わせをしました。

吉永さんの著書「自殺されちゃった僕」は数年前に単行本で手に入れ一晩で読了...その後、文庫版も買い直し。というのも、文庫版に新たに加えられた解説(あとがき)は精神科医の春日武彦氏が書いているのですが、私はかつてこれほど著者を酷評している文章が同載された本を他に知らない。そこまで言うなら解説なんて引き受けなきゃいいのに、というのが最初に私の抱いた印象、でもいまでは同載されていることがこの本の...mmm、言葉選びが難しい...“魅力”のような気もしたりして。幻冬舎アウトロー文庫の編集者のセンス、恐るべし!

「本書の原稿のダイジェスト版をある出版社の女性編集者に見せたことがある。/彼女は『私は早紀さんを知りません。そういう他人の立場から言うと、この原稿に書かれている早紀さんを好きにはなれないですね。オヤジに依存しバブルに踊り、生きにくくなったら死んじゃう。はっきり言って同情できません』/そう、冷静に見れば早紀はとてもわがままだった。/でも、彼女がわがままであっても、僕の愛は変わらないのだ。どんなに自分勝手であっても、僕には『かわいい早紀ちゃん』なのだ。女性編集者が冷静でいられるのは『愛』がないからだ。」(「自殺されちゃった僕」文庫版P168〜P169より引用)

上記部分について、春日氏の解説は「わたしも女性編集者と同意見」としたうえで、「ここで愛を持ち出してしまったら、もはや『ああそうですか』としか答えようがないではないか。まともな物書きであったなら、愛などという身も蓋もない言葉は持ち出すまい。」と...。しかし、私は「自殺されちゃった僕」のなかのこの文章にやられてしまったのです。吉永さんって、きっとむかし観た「ラスト・オブ・モヒカン」のホークアイ(ダニエル・デイ=ルイス)みたいな男にちがいない! それで、吉永さんの友人であるWitchenkare vol.2寄稿者・木村重樹さんに熱烈アピールしまして...それで、ドライカレー。

吉永さんが寄稿してくれた「ジオイド」は、ご自身初の書き下ろし小説。「もし小説書くなら石田衣良みたいなのね、って知り合いの編集者にはまえから言われてたんだけど...」なんて言っていた吉永さんから送られてきた原稿を、私はちょうど定期検診だったので病院の待合室で読みました。出がけにプリントアウトしたA4横書きの文字を追いながら、ちょっと、ドキドキした...これが文才ってものなのか、と。そしていまは、この物語の続編がたまらなく読みたい気持ちです〜。


「ちょっと話変わりますけど私、高森さんのタイトルとかリードのつけ方が好きなの。例えば、この間編集してた快感特集のムックの中で『おもらしの快楽』ってあったでしょ。あそこでサブタイトルに『ときにはあきらめちゃえ!』ってつけるなんていいなと思ったの」
 キミの言葉に僕は少し気恥ずかしさを覚えた。ふと鶴田を見るとジョイントを巻きながらにやにやしている。僕は少し照れながら言った。
「鶴田には異論があるようだよ」
「まあ、一口に本っていっても傾向はさまざまだし、俺と高森が作る本はまったく別物だからな。比べられないよ」
「どうせ偏差値が違うっていうんだろ。そう言えばみどりさんは、鶴田と同じ会社なんですよね。どうですか、彼、ちゃんと働いていますか?」僕は言った。
「そうなんです。先輩なんですよ。でも彼って社内では変わり者なんですよ。あんまり会社にもいないし」
 僕は、頷いた。
「そりゃあそうでしょ。インテリのくせに僕なんかと遊んでいるようじゃね。そう言えば今日の面子は、僕以外はみんなインテリだね。ハナにかけないから別にいいんだけどさ」
 すかさずキミが言った。
「そういう高森さんだって、ぶってないだけで独自の感性のひらめきには感心してるんですよ」
「あんまり理解者は多くないんだけどね。ただインテリには家庭内において言わば免疫みたいなものがある。父と兄が東大(ケッ!)だし。だから話すのには慣れているんだろうね」
 またもやキミが言った。
「高森さんの仕事のいいところは、けっしてインテリには作れない本を作れるというところ。あまりにも激しい思い込みが暴走した時でも言ってることは間違ってないんですよね。ちょっと極端ではあるけど本質的。私は、自分がそういうタイプじゃないので、ちょっと尊敬してるんです」
 僕はそんなに話し込んだこともないのに、キミが僕のことをかなり理解していることにちょっと驚いた。しかしまあ理解されるというのは悪くない。それだけ関心をもってくれているということだから、やっぱり嬉しいものだ。
 僕は事務所備え付けのCDラジカセでジャーマン・トランスをかけた。僕も鶴田もジャーマンが好きなのだ。ジャム&スプーン、スヴェン・バース、コズミックベイビー……。
「これはなんて言う音楽なんですか?」キミが僕に聞いてきた。積極的に興味を示す表情をしていた。
「ジャーマン・トランスって言って、ゴア・トランスが出てくるちょっと前にヨーロッパのレイブ・パーティなんかでかかっていたものなんだ。基本的にはボーカルの無い4つ打ちのダンスミユージックなんだけど、ハイハット音の泣き音色が心の琴線に触れてジーンとくるのがたまらない快感なんだ。みもふたも無い言い方をすると、LSDを摂取して踊ることを前提とした音楽だね。これはちょっと分かりづらいだろうけど、ジャーマン・トランスの曲は〈まがっている〉んだ。LSDが入っていると、その〈まがり〉にシンクロして脳をもってかれて大変なことになるんだよ」

〜「Witchenkare vol.2」P152〜153より引用〜

2011/05/21

WTK2寄稿者紹介11(野上郁哉さん)

野上郁哉さんとは音楽っぽいカフェでお茶を飲みながら打ち合わせをしました。

野上さんとは昨年の秋に「ミニコミが語り合う会」(現在は「リトルプレスの会」)の集いで知り合いました。同会の金安顕一さん(中南米マガジン)、渡瀬基樹さん(漫画批評)から、まだ1号ぽっきりしか発行していなかったウィツチンケアも「参加しませんか?」と誘っていただきまして、それで、丸腰で出かけた宴の席で出会いました...会ってすぐ、音楽話。あっというまに時間が経ってました。

野上さんは「Oar」(おあー、と発音)という音楽雑誌の編集長。事前に同誌のブログを覗くと、これ、いったいどんな人がつくってるの〜!? な異国感が芬芬でして(正直、私は頭にターバンを巻いた150キロの巨漢編集長をイメージしてた、外国人であってもダズントマター)、それなのに、目の前に現れた男はまだ少年の気配を残す、スリムな青年でありまして...あっ、ここで正体を明かしてはいけないのかな? ブログのプロフィール欄には、「現在は某大学の大学院でスーフィズム(イスラーム神秘主義)の研究をしているとか、いないとか。」と記されています。

相手が音楽好きだとわかると俄然張り切っちゃう私は後日、こちらから野上さんに連絡して再会しました。寄稿依頼のはずが、また音楽話〜CDの貸し借りにCD-R送付、という展開...。そして時は流れてWitchenkare vol.2の締め切り日、届いた原稿はまさに野上さんらしいものでした。「野上さんらしい」とは、詩的リズムの文体がすでに確立しているというか、他者が真似したり手を入れたりしにくいというか...ええと、もっとわかりやすくたとえますと、たとえばビートルズの「Happiness is a warm gun」の後半にたたみかけるあの感じは、まあ、ポリリズムみたいな分析もできるのでしょうが、でもやっぱり「ジョン・レノンの曲だよね〜」と丸かじりしちゃうのが一番しっくりくるという...って、全然わかりやすくないじゃん!

野上さんが寄稿してくれた「天使になんてなれなかった。」は自伝的エッセイとでも言いましょうか...。「僕のこと、あんまり褒めないでくださいよ」と代々木公園での花見で会ったさいにも野上さんは笑うのですが、しかし、私がすっかり失ってしまったものを野上さんは持っているわけで、それは、若さ...そうですか、御母堂様がオレと同い年〜。


 高校時代はただひたすらに音楽に明け暮れる毎日。先輩の紹介で出会った別の高校のギタリストと一発で意気投合し、オリジナルのロック・バンドを結成することになった。バンド名は「Leall(りある)」。色々な名前の候補が挙がったが、その中から彼自身が考え出した案が採用されることになった。今になって思うと、なぜ「Leall」なのかよく憶えていない。恐らく、英語のRealが元になっているのだが、感覚的にいって「Real」では字面を見たときに面白みが無いということと、GLAYのように文字ってみたいというのがあったのだろう。それからの日々の楽しかったこと。全ての自分の人生をそのバンド、及び音楽に捧げきっていた。

 高校2年の春、また一つの恋をした。きっかけは友人を介してだったが、Leallのライヴを見てどうやら彼に興味を持ったらしい。連絡を取り交わすようになり、程なくして付き合うこととなったが、3ヵ月後にはフラれた。向こうから告白してきたにも拘らず、だ(苦笑)。そのときに言われた言葉は今でもよく憶えている。

 「好きなのかどうか解らなくなった」

 そのとき彼は一つの悟りを得た。「諦め」の悟りを。この世の中にはいくら頑張ってもダメなことがあるのだな。ダメなものはダメなのだな、と。高校2年の、なついあつ……もとい、暑い夏だった。
 彼はこの経験をもとに一つの詩をものした。タイトルは『雨と苛立ち』。

〜「Witchenkare vol.2」P140〜141より引用〜

追記
野上郁哉さんは2011年7月24日に亡くなりました(下記参照)。ご冥福をお祈りします。
http://witchenkare.blogspot.com/2011_07_01_archive.html

2011/05/18

WTK2寄稿者紹介10(浅生ハルミンさん)

浅生ハルミンさんとはマルゲリータ(ピッツァ)を食べながら打ち合わせをしました。

今号でも書き下ろし小説で、できればいままで書いたことのないようなテーマで...そんな私の依頼に、浅生さんは見目麗しくYESの返事をくださいました。ハルミンさんといえば世の中では猫、読書、最近ではこけし? ええ、ウチでもそれらのテーマで書いてもらえれば、ついでに作画なんかもお願いしてみると、ウチの媒体PRや売り上げにも...、とは考えないのがWitchenkareなのであります!

すでに仕事として成立しているものは、それに相応しい舞台で発表されるべき。小誌は実験的に種を蒔いてみるような、未来への試しの場に使ってもらいたい。ちょっとまえの流行りことばで言うといかにも「持ってる」って感じの浅生さんですが、ねえ、じつはまだまだ持ってるでしょ!? それをチラッと見せてみてくださいよ、とそんな思いで無理なお願いごとをしてみたのです。そして、もし芽が出て莟がほころびそうになったら、きっとまたそれに相応しい舞台が、どこかに用意されるはず...。そういえば、いつだったか「桂馬が効いてますね」と浅生さんに話したことがあったなぁ。いや、私は将棋、こどものころちょっとやっただけで全然下手くそなんですが、うまいやつになにげに桂馬で王手されて、逃げたらその桂馬が(あの独特の動きで)金に成ってさらに追い詰められて、「...参りました」と。

今回の作品を読んでドキッとした人がいたら、もう一度浅生さんのイラストを見てみるといいのかも。あのぱっと見ほんわかした画風は、ものすごく精緻に構図を捉えています。対人関係でもしっかり透かしてるんだなぁ、相手の外見も内面も。そのうえで、いつも気さくで聞き上手で奔放トークでも返り血を浴びなさそうな雰囲気なのは、つまり「ちゃんとした大人」ってことですNE。

浅生さんが寄稿してくれた「ひそかなリボン」を、ご自身はブログで「黒いです。」と書いています。たしかにね...。あっ、でも私は「暗闇の向こうを目指す再生の物語」と読んだな。そして、ブログの同記事内で紹介されている、「すばる」5月号掲載の「記憶をなくす」という紀行文は、私がいままで読んだ浅生さんの作品で一番好きかもしれない、すばらしいものでした。


 好笛から連絡をとらなければ陽治から電話がかかってくることはなかった。しばらく会っていない時間が過ぎて、ある日、好笛は陽治が個展を開くことを人づてに知った。最終日に雑踏を抜けて会場に急いだ。陽治が姿を見せて、「好笛しゃん。よくお越しくださいました。帰りに夕ご飯でも食べません?」と誘ってきて、久しぶりに食事をした。駅から少し離れたところにある、小さなカウンターがあって小綺麗な盛りつけが得意な料理店を好笛は選んだ。個展のお祝いだからご馳走すると言って。
「好笛しゃん、お仕事順調ですか?」
「はい、順調です。昨日も徹夜で大変だったぁ」
「あなたのようなお仕事は、お金をもらってなんぼですから」
 好笛は何も云わず小皿にすだちを絞った。わたしにとってのお金の意味は、あなたにとっての自分を助けてくれる人と同じよ。銀行口座に振り込まれるか、こんにちはって歩いてくるかの違いよ、と好笛は口に出さずに抗った。
「あなたと僕は似ているんですよ。僕はあなたと話していると緊張する。人を怖れているところがあるんですよ。僕たちふたりとも受け身ですから。一緒にいても何も面白くないんです」
 陽治は態度の悪い生徒を諭す生活指導の教師のような口調で言った。
「そうですね。似てますね」
 もうわたしの成績はついちゃったんだ。わたしは不合格だったんだと好笛はうつむいた。このひとは自分と似ているひとは嫌いらしい。そう思った途端、陽治のことが墓石のように見えた。好笛がお手洗いに行っている間に会計はすでに済ませられていて、そのことも好笛には淋しく感じられた。
 最寄りの駅まで歩くうちに、陽治はまとめるように話した。「今日会えてよかったです。もうこれで僕もお仕事から卒業ですね。本当にありがとうございました。僕も不器用なたちで、終わらないと次に進めないですから」
 陽治は好笛に握手を求めた。握手をしたらもう終わりだ。好笛はゆっくりと、まるで朝顔の蔓が一晩で成長する映像のスローモーションのように、ゆっくりと右手を差し出した。夜空のむこうで誰かを乗せた飛行機がゴーッという音をたてて通り過ぎていった。そして好笛はひとりになった。

〜「Witchenkare vol.2」P130〜131より引用〜

2011/05/16

WTK2寄稿者紹介09(友田聡さん)

友田聡さんとはそっぷ炊き風の鍋料理をつつきながら打ち合わせをしました。

友田さんが主宰する“暮らしのリズム”のブログは2005年7月から続いています。小誌が完成した2時間後に起きたあの地震後、最初の書き込みは2011年03月20日。「旧二月十六日。月は早朝に満月となりました。4時9分には19年ぶりに月と地球が接近し、それに先立って3時10分に南中時今年最大の視直径、つまり明るく大きな月、スーパームーンを迎えました。部屋に差し込む月明かりが眩しいほどです。晴れていれば灯りの無い場所でも、この月の灯りでほんの少し不安がぬぐい去れるのかなと、ふと思いました。」...。

ったくもう、今回の震災は、友田さんが“暮らしのリズム”での活動で提唱してきた「日本式スローライフ」を、至極まっとうなものだと思わせてしまいました。みんないまごろになって、と友田さんは内心忸怩たる思い!? いや、太っ腹の友田さんのことだからそんなふうには考えないだろうな。きっと自身が実体験で会得した「こんな時代の暮らしかた」を実践するための、イベントアイデアなんぞを練っていることでしょう(お人柄は上記引用文の最後の部分からも伝わってきます)。

しっかし思い返してみるに、震災直前の世の中って、ほんとうに聴牌な雰囲気が蔓延していたように感じられました、私には。世相を映しているんだろうテレビを眺めていて、ひとつよく覚えているのは、なんだかやたらと「オネエな人」が活躍していて、それで、そういう人たちがけっこう「まっとうなもの言い」を担当していたりして、では、それでは「オネエではない人」はいったいなにをしたり言ったりしていたのかというとサンシャインと「第2の太陽」をバックに「エスキモーに氷を売る」ようなことばかり...あっ、なんで私はこんなところでぼやいているのか〜!? そんな世相にしか目がいかなかったおのれは(以下略)...。

友田さんが寄稿してくれた「ときどき旧暦な暮らし」を読んで、そういえばWitchenkareをつくろうと思い立ったのは満月の寒い夜だったなぁ、と思い出しました。月の光は人間の記憶も深く照らすのかな? そして、スーパームーンの日は、私はなにをしていたんだろう...たぶん、憑かれたようにテレビとネットにかじりついていて、夜空を見上げる心の余裕など微塵もなかった。


(前略)つまり、いい雰囲気を醸し出していながら、実はあまり役に立ちそうもない暦が旧暦なのです。ではなぜ、そんな旧暦に惹かれてしまうのでしょうか。
 ひとつは「旧暦を知れば月と仲良くなれる」ということです。旧暦の日付がわかれば、月は今どんな姿をしていて、どこにいるのかがだいたいわかり、その反対に月を眺めていれば今日が旧暦の何日だかおおまかにわかってしまうのです。人間に限ったことではなく、地球上の生き物は多かれ少なかれ月がもたらす影響を受けながら生きています。月に見守られながら日々を過ごしていると、どことなく癒されたような、ゆったりとした気分になれるものです。月を愛でながら暮らす指標のようなものとして、旧暦を意識してみてはいかがでしょうか。
 もう一つの魅力は「旧暦を知れば伝統文化が楽しくなる」ということ。和歌や俳句、大衆的な川柳や狂歌、都々逸といった詩はもちろん、能狂言や歌舞伎のような舞台芸能。古典落語に講談、時代小説。地域に息づく民俗芸能や民話・民謡などで、創作時期や設定が明治時代初期以前であれば、それはすべて旧暦ワールドです。旧暦を知っていれば、場面の月日からだいたいの季節感をイメージすることができ、さらにはその日の月の姿も見えてきます。実際に目から入って来る情報以上のシーンが脳裏のスクリーンに描き出されるに違いありません。

〜「Witchenkare vol.2」P116より引用〜

2011/05/14

WTK2寄稿者紹介08(我妻俊樹さん)

我妻俊樹さんとは廻ってないお寿司(ランチ)を食べながら打ち合わせをしました。

小説を書き、小説について考え、短歌を詠み、短歌について考える...我妻さんのネット上の言葉を追っていると、ある意味ですごく規則正しい生活態度であるなぁ、と感銘を受け、こちらの背筋もしゃきっとします。いや、もちろんさまざまな雑記にはそのふたつ以外のあれこれも登場するのですが、しかし、本筋はびしっと「書くこと」で貫かれている、という印象を受けます。

お寿司を食べた後の、「珈琲の殿堂」(純喫茶!)でのこと。話の流れで私が「今号ではエロいノワールを書こうと思って...」と言ったら、なぜか我妻さんの笑いのツボに入ったみたいで...いやあ、我妻さんってあんなに無邪気に笑い転げることもあるのかぁ、青春スターのような爽やかな笑顔でした!

原稿を媒介にした我妻さんとのやりとり(メールと電話)でのニュアンスが、私にはとてもおもしろかったです。「作品=ただ文字が並んでいるもの」に対する、書いた人と読んだ人(しかも光栄なことに最初の読者だ!)の視座のちがいというか...ええと、わかりやすくたとえますと、たとえばトマトを育てた人は「丸くて赤いトマト」だと思っていたのかもしれないのだけれど、そのトマトを食べる人は「緑色の蔕が鮮やかなトマト」だと思っているかもしれないという...って、全然わかりやすくないじゃん! もう少し作品に即して書きますと、私は原稿を受けとって数度読み、頭のなかで一番ひらひらしていたのが白布だったのです、物語内の語り部がまとった、白い布。でも我妻さんが書き進めながらピントを合わせようとしていたのは、そっちじゃなかったような印象があるなぁ(推測)。むしろその白布男が語っている、地理的なことというか、移動に関することというか...。あっ、私の解釈なんてどうでもいいですね、読者のみなさまには(引っ込みま〜す!)。

我妻さんが寄稿してくれた「腐葉土の底」については、ご自身がブログで言及しています。「去年の後半くらいから考えてきた小説についてのいろいろなことの一部が、少なくとも具体的なひとつの形にはできたという作品にはなっていると思います。」との一文には、発行人としてぐっときたなぁ...そういうものを発表する場としてWitchenkare vol.2が機能したのであれば、まっこと嬉しいでありまする!


 すべてあえかな寝言のたぐいだったのかもしれない。それでもいくばくか苦い真実がそこに含まれていたのはたしかだろう。ゆるんで肩に垂れたぼろ布からは煙草のきつい匂いがひろがった。まぶたを閉じたまま、杯を器用に戻した右手でテーブルにほおづえをついた。布がたわんで鰐のような口があらわになる。細い歯の隙間から見える口腔が血を吐いたように赤かった。
「首になってしばらくは貯金と両親の家を売って食いつないでいたものだ」
 突然男は話を再開した。まわりにはとうにだれもいなくなっていたので、声は独り言のように張りをうしなっていた。ボタンのとれかけた袖口から菜箸でつまんだ蟹のように手首がのびて、床をせわしなくまさぐっている。
「おれは墓県を出ることを決意した。生まれてから一度もよその土地の味を知らないので、まずは想像することからはじめたものだ。峠を越えるひどく急峻な鉄の階段が、アパートの廊下のつきあたりからはじまっていた。そんなことは今まで考えてもみなかったが、おれの住居は県境の山脈に半分埋めこまれるように建っていた。山の中心に沸騰する温泉の音がモーターのように床を震わせ、思えば、夢の中でもたえまなくひびいていたものだ。階段は軽快な足音をたてておれの体をはるかな頂上めがけて跳ね上げていった。途中思いがけないところに部屋の窓が光っていた。二階建てとばかり思いこんでいたボロアパートだったが、山肌がめりこむように二階より上を目隠ししていただけらしい。崖にせりだした緑色の岩にはさまれたガラス越しに女の暗い顔がこっちを見ていた。頭に帽子のように大きな貝殻をのせていたので、部屋がうすよごれた水槽のように感じられたものだ。ユーカリの大木の下にささやかな広場があり、タクシーが一台木陰に乗り捨てられているのを見た。しばし休憩をとるつもりでほこりっぽい座席にすべりこむと、そのままおれはぐっすり眠ってしまった。気がつけばタクシーは夕闇の中をぶるぶる揺れながら疾走していた。運転席には大柄な狒々が座っていて、カーラジオから聞いたことのない外国の政変のニュースが流れていた。その国の名をあれから二十年間一度も思い出したことがない。思い出しそうになると鏡とナイフをこすり合わせた音が大音量で聞こえてきて、鼻の奥で山羊の髭を燃やした匂いがする。やがて夕日の光が絶えると急停車し、狒々はおれを力ずくで引きずり出して道端へ放り投げた。みごとな腕力だったよ、そして何の迷いもなかった。まわりには錆びてくずれ落ちた鉄階段の跡がころがっていた。何かに踏み潰されたものみたいに痛々しく見えた。ああいう光景が物事の境界線にはいやというほど散らばっているね、じっくり観察しようとすれば、心はおのれ自身を見うしなう。今まで走っていたはずのくねくねした道は、テールランプに照らされながら蛇のように巻き取られていくところだった。

〜「Witchenkare vol.2」P110〜111より引用〜

2011/05/10

WTK2寄稿者紹介07(大西寿男さん)

大西寿男さんとはもう日も暮れちゃったんで「ビールもあり!」で打ち合わせをしました。

本づくりと校正を手がける「ぼっと舎」の主宰者・大西さんとは「好きな本の著者と読者」という関係でお会いしました。大西さんについては、じつは私、昨年2月13日の当ブログで触れていまして(っていうか、ぼやいていて...)、というのは、Witchenkare vol.1をなるべく誤植の少ない本に仕上げたくて、藁をもつかむようにアマゾンを検索して、それで出会ったのが「校正のこころ 積極的受け身のすすめ」という大西さんの著書だったのです。でっ、当初は実用書的に我流校正作業の参考にしようと思っていたはずが、あっというまに読了して、いい本だなぁ、としみじみ(内容はもちろんこと、装幀や文字のたたずまいも綺麗な本!)。

正直申しまして、若いころの私は校正者から逃げ回っていました。かつて某出版社の某部署では同じフロアに校正者もいらっしゃいまして、そこによく出入りしていた私は原稿がアップするとなるべく早めにとんずら(外出/メシ/帰宅etc.)するようにしていました。だって、「校正のおじさん」につかまると、いろいろ細かいこと言われてめんどくさかったんだもん! ...年を経て自分もおじさんになり、いまでは校正者がどれだけ重要な役割を担っているのか、ずいぶん理解できるようになりました(の、はず)。ひとことで言うと、書き手と校正者は協業の関係を築くのがベスト。ウィッチンケア vol.2では大西さんに最終的な校正作業を手伝っていただきまして、そのことだけ書いていても数千字になりそうなのですが...少なくとも、私の書いたものは大西さんの眼力によって致命的なミスを何カ所も救われています! ほんとうにありがとうございました!(×∞)。

あっ、ここでは寄稿者・大西寿男さんについて書きたかったのだ。私なんぞとは比べものにならないほど多様な文章に関わってきた大西さんに、私は前述のように一読者(ファン)として原稿を依頼しました。実用書のつもりで読み始めた本に感動したのは、大西さんの生み出す文章、そしてその背景にある「ものの見かた/考えかた」に魅了されたから。であれば、きっと「校正者という枠」を離れても、このかたはすてきな作品を書いてくれるにちがいない、と確信して。それと、会うまえのメールでのやりとり、そして、初対面であれこれ話しているうちに、あっ、この人は音楽が好きだな、とひしひし感じたことも大きかったなぁ(私、相手が音楽好きだとわかると俄然張り切っちゃうのです)。

大西さんが寄稿してくれた「『冬の兵士』の肉声を読む」は、自伝的モノローグと往復書簡をミックスさせた実験的な作品。数多くの「既存の作品」を見てきたであろう大西さんが、敢えてこういうスタイルを選択して提示したメッセージ...読者にどんな届きかたをしたのか、編集者として興味津々であります!


 本の歴史のなかで黙読が発明されたのは、西欧では紀元前5世紀のギリシャなのだそうです。それまでは読書といえば朗読でした。朗読が黙読にとってかわられたのは中世初期といいますから、5000年の本の歴史を考えると、そう遠い昔のことではないのですね。藤澤さんの聴覚にすくいとられ刻みこまれたことで、本書は読書の原点にもつながっているようにおもわれます。
 校正者は、仕事のうえで、言葉と奇妙な向かいあい方をします。ゲラに組まれた言葉に深く沈みこんで読むとき、ある声が聞こえてきます。それは著者の肉声でも、ぼく自身の肉声でもなく、ゲラの言葉自身の肉声としか呼べないものです。同じ作者の文章でも、作品が変わればちがう声がしますし、作品ごとに固有の色、リズム、テンポがあります。そのゲラの肉声をつかまえるところまでいけば、校正に必要な読みの条件が整ったといえます。
 校正者にとって、言葉は自律したいのちをもったものとして立ち現れます。あたたかい言葉はよりあたたかく、冷たい言葉はより冷たく、言葉のいのちを支えエンパワメントするのが校正の仕事だとぼくは理解しています。

 朗読会でぼくは「冬の兵士」の肉声を聴きました。今度は、ぼく自身の肉声をつかまえなければなりません。それが、本づくりにたずさわる者として、また、一市民として、「冬の兵士」という本を〝読む〟ことだ、とおもっています。

〜「Witchenkare vol.2」P102〜103より引用〜

2011/05/06

WTK2寄稿者紹介06(多田洋一)

多田洋一はこのGWに自然薯の素揚げを初めて食べ、「最高のポテトフライだ!」と驚きました。

Witchenkareの発行人である多田は同誌に関していろいろなことをやっていますが、でも「軸足は寄稿者のひとり」だと思っています。vol.2ではあらかじめ書き終えたものを発表するのではなく「締め切りから逆算してフィニッシュさせる」を試みました。

「まぶちさん」というタイトルはartisanに音が似ているようで気に入っています。近過去を1万字くらいで書いてみよう、とだけ決めてキーボードに向かいました。書き進めているうちにナラトロジーでいうところの錯時法というのか時系列シャッフルというのか...とにかく安倍晋三総理大臣(第90代)から鳩山由紀夫総理大臣(第93代)までの時代を書いたのですが、そのまま古い順に並べて構成することができなくなりました。

リアルライフでの私は主人公・福富さんの素行に対して「ちょっとどうなの!?」と思うところも多々ありですが、しかし書き手としての私は「ちょっとどうなの!?」な人物がデフォルトであることのおかげで“リアルライフでの縛り”みたいなものから開放され...でもなぁ、拙作を読んでくださった某美人からは「多田さんってそんな人だったんですか!?」みたいなメールをもらっちゃって...はい、すいません(福富さんのお話ですって!)。

近過去はまだまだ使用済み燃料棒みたいなもので...というような表現も、近未来からいずれ眺めてどうなんだろう。とにかく、いまは「まぶちさん」について、もう少し膨らませてみたい気持ちもあります。菅直人総理大臣(第94代)は今日、浜岡原発停止に関する記者会見を開きました。


 部屋に戻って厚紙の封を切ると透明なケースに入ったDVDが出てきた。テレビで再生すると派手なロングキャミとレギンスの市井がよくある健康器具に跨がって商品特性を説明していた。その動画がテレビを録ったものなのか、あるいは販促物やネット上のどこかにあるものなのかはわからない。そして僕は市井を知っているので好意的に鑑賞できたけれど、もう若くもない女がはしゃいでいるさまをまっさらな目で見た人がどう感じるのかも、ちょっとわからない。まあ、とにかく、市井は元気そうなのでよかった。
 ソファで五分ほどの映像を繰り返し何度か見た。シーリングライトを消し横になって地上波に切り替えてしばらく眺めていると徳井義実が北白川の話を始めてすごくおもしろいのにいつのまにか眠ってしまった。朝になってとくに代わり映えのしない一日をやり過ごして、そんな日々がふつふつと積み重なって北京オリンピックで上野由岐子が超人のような活躍をした夏も過ぎ去って、僕は「あなたと違うんです」と吐き捨てる総理大臣を到着が遅れたボーイング747のシートで眺めていた。またか、とは思った。リーマンショック当日のバラエティでタレントたちが「株価が気になって番組どころじゃない」と口走り、M -1グランプリでオードリーが2位になっても、僕の部屋のクローゼットにはまだビニールも破っていないマフラーが何枚か入っている。

〜「Witchenkare vol.2」P83〜84より引用〜

2011/05/02

WTK2寄稿者紹介05(中野純さん)

中野純さんとは民家風カフェでお茶を飲みながら打ち合わせをしました。

近年は闇/夜/洞窟など「暗さ」をテーマにした著書の多い中野さん。むかしから先見性の人だと思っていましたが、電力過剰消費が見直される昨今、中野さんの本はどれも、これからの生活を楽しむための指南書のよう...というか、中野さんはむかしから「目が良い」のです。いや、視力がどのくらいなのかをお聞きしたことなんぞありませんが、とにかくいろんな意味で「目利き」であります、審美眼の持ち主。

最近はナチュラルで飾らない風貌の中野さんですが、青年期には(その目の良さに拠る!?)独自の色彩感覚をバリバリにファッションに反映させていまして、ほんと、いつ会ってもはっとするほど綺麗な色の服をさらりと着こなしていました。孔雀のような超スリムボーイ...。うぬぬっ、ちょっとへんなことを思い出しましたが(うろ覚えですが)、若かりしころ中野さん、そしてウィッチンケア vol.2に素晴らしい写真を提供してくださった徳吉久さんとご一緒したさいに、おふたりに共通した日常の「ドレスコードみたいなもの」について聞いたような記憶があって、それは「野球帽はかぶらない」「長袖シャツの腕をまくらない(あるいは、夏でも半袖は着ないだったか?)」「スニーカーは履かない」ではなかったっけ? ははは、むかしから野球帽かぶって腕まくりしてスニーカー履くのがデフォルトな私は、どうすればいいのだ...。

いつだったか、メールのやりとりかなにかで私がなにげに“NHKの「今日の料理」”と書いたら、返信ですぐに「きょうの料理」と正確な番組名に訂正されたこともあったなぁ...そんな、目が良くて哲学的な中野さんには、私が「こんなもんだろう」くらいにぼんやり認識している世の中の諸々も、きっちり見えているのだと思います。きっと看過できない「美しくない事象」も多そうで、眼精疲労が心配〜。

中野さんが寄稿してくれた「十五年前のつぶやき」は、インターネット普及以前の草の根BBSに書き込んだ膨大な「つぶやき」を、2011年の言葉としてリミックスしたもの。本稿で自身のなにかにオトシマエをつけたのでしょうか、中野さんはTwitterでまた、つぶやき始めました。こんな時代に、いったいどんな示唆的な言葉が、ネットの世界を飛び交うことになるのか...。


愛、ですか……。うーむ、そうなのかもしれません。いや、
そうに違いありません。私はオンライン……というより
も、デジタル・コミュニケーション、デジタル・メディアが、
好きで好きでしょうがないんです。人類史上、滅多にない、
途轍もない大変革の時代に自分が生きていると感じます。

キーボードやマウスから入力して、それをマックがしっ
かり受け止めてモニタに出力して、それに応えてまた入
力して、また出力して、そうして毎日、目をシバシバさ
せながら、私は愛を確かめ合ってるのですね。ああトリ
ニトロン、美しきトリニトロン、おまえは健康に悪い。
誰か私に、OAメガネを下さい。

テレビで知りましたが、今日は海開きだったそうで。で
も無理矢理こじ開けたって感じの寒々しい映像でした。

そう、まさにその「無限近」と「無限遠」です。脳味噌
同士は限りなく近づき、肉体同士は限りなく遠ざかる。
満員電車の状況と、ちょうど逆です。満員電車内では、
脳味噌同士は限りなく遠ざかり、肉体同士は限りなく近
づく。

オンラインの「無限近」と「無限遠」は、ものすごく濃
密で、同時にものすごく希薄なコミュニケーションを生
み出します。その、脳の濃密さと肉体の希薄さの同居が、
私にはとても気持ちいいものに感じられます。行け行け、
オンライン!

私も考えてみました。これならうまくいくと思います。
栗の木からやや離れたブッシュの中に身を潜ませ、じっ
と待つ。→誰かが栗を拾い、うまく中身を取り出したと
ころで、歩み寄る。→「ください」と言う。

政治家になんか、世の中を変えてほしくないです。世の
中が変われば自然に政治家も変わります。

〜「Witchenkare vol.2」P73〜74より引用〜

2011/04/28

WTK2寄稿者紹介04(高橋美夕紀さん)

高橋美夕紀さんとはいまっぽいカフェでお茶を飲みながら打ち合わせをしました。

高橋さんとは数年前、テレビ番組を本にするさい一緒に仕事をしました(賑やかな番組で人気者も多数輩出したけれど、いまは終了)。そのころ高橋さんは並行して映画「そして、ひと粒のひかり」のノベライズも執筆中、と、長〜い会議の合間の休憩タイムに雑談で知って、ああ、私もノベライズはいくつか、みたいな感じになって...、それが縁で私は高橋さんの著書「KOOLS」を読んでみたのです。

「KOOLS」とは女性ソフトボールチームの名前で、「Kiss Only One Lady〜この世に<ただひとりの存在であるあなた>を愛する」〜という意味(作品内では<>部分に傍点あり)。青春群像小説、と言ってもいいのかな...とにかくキャラ立ちした女性がたくさん登場します。みんな、よく食べる、飲む、そして、喋る! だから快活なスポ根ドラマのような楽しみかたでも読めてしまうわけですが、しかし、物語を動かしている作者の視線はつねに逡巡している、というか「ものごとを言葉で決めにかかる」ことを一貫して避け、慎重に腑分けしながら意味を探っているようです。そのうえで運命、という言葉に辿り着く場面が何度か出てきて、私は登場人物が「これは運命である」と是認するかどうかを描いた箇所に、そのつどはっとしました。

「わたしたちがお互いを求め合うように創ったのも、神様だよ。それが神のいたずらだとしても、わたしたちはそれを受け入れるしかない。それは、神様のせいじゃなくて、わたしたちの運命だよ」(「KOOLS」P116より引用)、あるいは「解決なんてない。/どんなに話し合っても、答えはない。/でも、これは、わたしたちなりのひとつの運命なのだ。/すべての人にある運命と同じく、わたしたちの運命としてあるものなのだ。/それは、あきらめではなく。生きていく上での制限ではなく。良いでも、悪いでもなく、ただここにある運命なのだ、とわたしは思う。」(同P314より引用)。

高橋さんが寄稿してくれた「赤いコート」でも、やはり「逡巡の視線」が印象的でした。「ウリセンバーで働く」と報告するナオトの話を聞いた主人公が、安易に自分の思いを言葉にせず、「それは、ひとりひとりに聞いてみないとわからない」と考え込むシーン、とか。...でも、高橋さんの作品って、やっぱり登場人物がよく食べて、よく飲むなぁ〜。それと、作品内のトイレットペーパーにまつわる考察には、原稿を受けとったときに、本気で笑い転げてしまいました!

「ナオトが看病してたんだろ?」
 中田さんが箸の先でつくねをつつきながら言った。続いて、話題の安藤さんが軽い調子で私を茶化した。
「仲いいよなー。付き合ってんの?」
 みんなの視線が自分に注がれたその途端、私の顔がかーっと熱くなった。
 私は、自分でもびっくりした。赤面症気味であることは知っていた。けれどそれがこんなところで突然発症してしまうとは予想だにしなかった。
 全員が「えっ」という顔をしたのがわかった。しかしそれは一瞬で、「まあ、年頃だし、それも自由だよ」的な大人の対応で流してくれたのだった。みんな個人主義なのだ。私は一層恥ずかしくなり「ちょっとトイレ」と言って、耳まで赤くしながら席を立った。
 トイレの個室で、私は自分を呪って太ももを叩いた。なぜ、あんなタイミングで顔に血を昇らせてしまったのだ。あれじゃあ肯定したも同じだ。絶対に絶対に、みんな、私たちがそういう関係だと信じたに違いない。あの部屋でいかがわしいことをしていると想像しているに違いないのだ。そんなんじゃないのに。私たちの関係はそんなものじゃないのに。
 何も反論できなかったが、あの場で慌てて否定してもきっと同じことだった。まさか「ナオトはゲイだから」と説明するわけにもいかない。
 なんでさらっと流すことができなかったんだろう。私は自分がふがいなくて情けなくて仕方なかった。ナオトに「ごめん」と謝りたかった。
 顔の火照りを沈めるために、私は何度も何度もトイレの洗面所で顔をすすいだ。

〜「Witchenkare vol.2」P64より引用〜

2011/04/25

WTK2寄稿者紹介03(武田徹さん)

武田徹さんとは夜のドトールコーヒーを飲みながら打ち合わせをしました。

武田さんとは十数年前にあるかたの縁で知り合い、私の無理なお願いごとに対して丁寧な手紙をいただきました。まだネットが一般的ではなかったころ。ワープロ、あるいはPCで書いてプリントアウトしたものですが、いまも大切に保管しています。

世の中でなにか気になるできごとが起こると武田さんのHP内の「オンライン日記」(掲示板)を覗いてみる...それが私の日常になってもう、10年。「発想が浮かんですぐの状態、いわば豆乳を煮立てて浮き上がったところをすくった湯葉みたいな感じ」〜オフィシャルページ口上より〜とご本人が記す、ほぼリアルタイムな言説は、いつも示唆に富むものです(...と書いてみて「示唆に富む」という言葉がなんとも流してるようで嫌なので、今日はもう少し真剣に考えてみました。なぜ自分は武田さんの書き言葉が気になるのか、インスパイアされるのか、について)。

武田さんがものを書くさいの「立ち位置」に共感している、というのが一番の要因だと思いました。具体的には、たとえば「ぼくは『核論』を終わらせたい一心で終わらせた。完成させた後は手を離れた場所で他人に陵辱されて自分の怨念もろとも作品が朽ち果てれば、こんなに気が楽になることは実はない。」(2010年6月29日)や「売文業も同じだ。弁護士も売文業も最低最悪の淵にまで落ちることで相転移を導いて自らを聖化する仕事なのだろうと思う。しかしなかなかそれは簡単ではなく、多くは中途半端な小悪党に留まる。間違いなくぼくもそのレベルだ。」(2011年1月27日)といった文章から伝わってくる、書き言葉を扱う自身についての検証の姿勢、というか...。

もの書くことに対する自問、というのは多くの文章家がするでしょう。自分のことを言えば、私はそのことを考えるとほぼ、思考停止か「口を噤んでおく」を選んでしまいます。いや、自分を誤魔化すとか言い訳を考えるとか、そんな対処法でやり過ごしてきました(だって、枷になることが多いんだもの!)。でも武田さんは、自問している自分を晒しながら、世の中と対峙するような言葉を紡いで前進している。

武田さんが寄稿してくれた「終わりから始まりまで。」はもちろん3/11以前の作品で、この時期にウィッチンケア vol.2が同作品を掲載/発表することになった巡り合わせについては、発行人として思うこと多々あり。ですが、時が経てば、「武田徹という表現者のフィールド」の一端を記録したものとして確かな意味を帯びてくる、と信じています。


こうしたモデルの中で、詩とは「了解」のみを求められる表現ということになる。改めて他の言葉で「説明」してしまうと詩の魅力は失われる。詩では、その言葉の存在そのものが代替不能なものとして示される。そう考えることで、強力な魅力を放つ詩の言葉を、一般的な意味伝達の中で偏ったポジションをとる表現だとして説明し、それを特段に「聖別」せずに済ませようと筆者は試みた。こうして位置づけすることで詩の危うい力に首輪を掛けようとしたのだ。

〜「Witchenkare vol.2」P42より引用〜

2011/04/21

WTK2寄稿者紹介02(やまきひろみさん)

やまきひろみさんとはロールキャベツを食べながら打ち合わせをしました。

書籍や雑誌のライターとして幅広く活躍するやまきさん。私と一緒の仕事ではSMAPや糸井重里さんを取材したり...ちょっとまえには恋愛に関するテキストを、分担して1冊にまとめましたっけ(10万部越えのヒット本になるなんて、びっくり!)。そんなやまきさんをインディーズ誌の世界に引っ張り込んでしまいまして、どうもスミマセン!

仕事先で会うやまきさんは、ちょっとポーカーフェイスなところがありまして...というか、打ち合わせではポイントとなる部分、きちんと確認しておくべき事柄以外では、極めて寡黙という印象あり。へらへらぺらぺら無駄話をしている私とはつねに対照的でして(あっ、会議を長くしてるのはオレか、2度目のスミマセン!!)、それでもって、仕上げてくる原稿はいつもジャストミートで、ほんと、職人。かつて、ひじょうに厳しいクライアントとのライティング作業で「やまきさんのこの原稿は100点満点です!」と先方に言わせた瞬間に居合わせましたが、あのときは心底すごい、と思いましたYO!

仕事以外の場で会うやまきさんは、けっこう笑い上戸で、好きな音楽や旅の話ではときに饒舌です(世間話では辛口も!)。...というか、私はいつもミッション遂行型の書き仕事でやまきさんとご一緒してきたわけですが、ずっと思っていたのは、きっと「まだ書いていない物語」を、この人はひそかに抱えているんだろうな、ということ。

やまきさんが寄稿してくれた「ふたがあくまで」を読んだある人が、「ねえ、作者は美人でしょ」と言いました(ピンポ〜ン!)。しっかし、面識のない異性に美人だと思わせる文章って、すごい筆力だな〜。


 わたしのこうした極めて個人的な事情については何も話さなかったが、さっちゃんはわたしの表情などから何かを感じとっていたのか、帰る間際にこんなことも言った。
「わたしも珠ちゃんくらいの歳の頃……、三十代の半ばくらいまではね、さっき話したように誰かに何かをお願いしたり頼ったりするのがすごく苦手だったから、こんなことを言えた義理じゃないんだけれども。珠ちゃんも困ったときは誰かを頼っていいんだからね。もちろんわたしやへいさんにできることならなんだって協力するしさ。
 こういうこと言うのはくさくて恥ずかしいけど、ひとはひとりじゃないとか、よくいうでしょ。もちろんひとりでなんとかしなくちゃいけないことはたくさんあるんだけど、ひとりじゃないっていうのも一方では真実だなぁ、ってこの歳まで生きてきてつくづく思うのよ。助けてくれる人って必ずいるものなの。そのことを今日珠ちゃんに手伝ってもらってわたしはまた改めて実感できたよ。珠ちゃんが今日わたしを助けてくれたことは、どんな形であれ、いつか必ず巡りめぐって珠ちゃんに返ってくるからね」
 そうなのかな。さっちゃんの言葉はその穏やかな語り口もあって心に沁み入ったが、わたし自身は誰かが自分を助けてくれることなどもうとっくにあきらめている。

〜「Witchenkare vol.2」P31〜32より引用〜

2011/04/19

WTK2寄稿者紹介01(木村重樹さん)

木村重樹さんとはオーガニックなランチを食べながら打ち合わせをしました。

かつてペヨトル工房の編集者であった木村さん。現在はエディター/ライター/大学の先生とマルチな顔を持っていますが、そんな木村さんと私はいつの頃からか、茶飲みともだちになっていました。年に何回か会って、ふだん絶対に入らないような“お洒落っぽい”お店に敢えて入って、時事問題について語り合うという...。

いや、じつは昨日も今年初めてとなる時事放談をしたのです。まあ、話題のほとんどは震災と原発、およびそれらから派生した事柄について。めずらしく真面目な雰囲気が持続しましたが、それでも最後のほうになって私が「...こんなときになんですが、じつはコッコアポのCMにやられました。石原さとみ、いままでノーチェックでした」と告白すると、それも真面目に聞いてくれる。木村さんが多彩な仕事で活躍している秘訣は、この図抜けた「聞き上手」さにあるのではないか!?

木村さんと私は同業者でありますが、資質はずいぶんちがいます。ギタリストにたとえるなら、木村さんはどんなジャンルにも対応できるスマートなセッションマンで、私は手癖のコードかき鳴らすだけのバカロッカー。野球選手にたとえるなら、木村さんはユーティリティープレイヤーにして将来の監督候補で、私はやたら空振りの多いDH(解雇寸前...)。

...とにかく、木村さんが寄稿してくれた「私が通り過ぎていった“お店”たち」のさらなる拡大版を、私はいつか読んでみたいです。幼少期の駄菓子屋さんからこと細かに書き綴られた、単行本1冊くらいのずっしりしたのを!


 なかでも、「KINNIE(キニー)」というブート屋さんは、狭苦しい店内に、ロックファン垂涎の盗録音盤がめいっぱい並べられ、万引き防止用にカバンをレジ脇の棚に預けて、客は目の色を変えてお宝を物色していた(夢中でレコード・スリーブをめくっていくうち、レコードの落下音が耳障りになると、もれなく店員に「音を立てないで!」と叱られるオプションつき)。店内ではイチ押しの新譜が割れんばかりの爆音で再生され……そう、ブート盤の大半は、コンサート会場に隠し持っていったテレコで録音したカセット音源ゆえ、ほとんど低音が聞こえないスカスカの音質なのだが、でも店内では爆音……という極めてアンバランスな音響に充ち満ちた
〝あの空間〟に身を置くと「ああ、オレは今、ロックのいけない愉悦にどっぷり浸っているんだ」という気がしたものだった。

〜「Witchenkare vol.2」P14より引用〜

2011/04/01

Witchenkare vol.2、正式発行!

ウィッチンケア vol.2は14名の書き手による、すべて書き下ろし作品の文芸創作誌です。インディーズ誌ならではの、実験性の高い読み物が満載!

みなさま、どうぞよろしくお願い致します。

■CONTENTS
006……私が通り過ぎていった“お店”たち/木村重樹
022……ふたがあくまで/やまきひろみ
038……終わりから始まりまで。/武田徹
044……赤いコート/高橋美夕紀
068……十五年前のつぶやき/中野純
080……まぶちさん/多田洋一
094……「冬の兵士」の肉声を読む/大西寿男
106……腐葉土の底/我妻俊樹
114……ときどき旧暦な暮らし/友田聡
118……ひそかなリボン/浅生ハルミン
138……天使になんてなれなかった。/野上郁哉
146……ジオイド/吉永嘉明
160……接客芸が見たいんです。/藤森陽子
164……ニューヨークの流れ星/稲葉なおと
204……参加者のプロフィール


Art Direction & Design:有北眞也(PAZAPA inc.)
Photos:徳吉久(Jeu de Paume)
印刷:(株)啓文社
発行:yoichijerry
(2011年4月1日発行/A5判:206ページ/定価 980円)

販売店

<宮城県/新潟県>
【仙台市】ジュンク堂書店仙台店【新潟市】ジュンク堂書店新潟店

<東京都/神奈川県>
【新宿区】紀伊國屋書店新宿本店紀伊國屋書店新宿南店ジュンク堂書店新宿店ブックファースト新宿店模索舎【中央区】ブックファースト銀座コア店【千代田区】東京堂書店三省堂書店神保町本店【渋谷区】ブックファースト渋谷文化村通り店 ギャラリー・ドゥ−・ディマンシュ(青山)【豊島区】ジュンク堂書店池袋本店リブロ池袋本店【世田谷区】古書ビビビ白樺書院古本 ほん吉【杉並区】茶房高円寺書林信愛書店古書 音羽館【目黒区】ギャラリー・ドゥ−・ディマンシュ(自由が丘)【中野区】タコシェ【武蔵野市】リブロ吉祥寺店ジュンク堂書店吉祥寺店【調布市】手紙舎【あきる野市】少女まんが館【横浜市】猫企画

<大阪府/京都府/兵庫県/石川県/沖縄県>

【大阪市】ブックス・ダンタリオンジュンク堂書店大阪本店ジュンク堂書店千日前店ブックファースト梅田店貸本喫茶ちょうちょぼっこ【京都市】ガケ書房恵文社一乗寺店【神戸市】海文堂書店【金沢市】Music&Zakka Lykkelig -リュケリ- 【宜野湾市】カフェユニゾン(販売終了)

<ネットで購入>
Amazon.co.jpタコシェオンラインショップガケ書房「-リュケリ-」Web Shop模索舎storeブックス・ダンタリオン

(販売その他についてはここの「連絡先」よりメールにて発行人にお問い合わせください)

※ WitchenkareはKitchenwareのアナグラム。身の丈にあった生活まわりの文芸創作をとの思い、そしてPrefab Sproutがインディーズで初めてアルバムをつくったKitchenware Recordsから。

2011/03/31

正式発行をまえに

ニュースを見ていると、昨日あたりから今回の震災による出版界への影響なども報じられています。流通/販売経路の混乱、紙やインクの不足、休刊(休号?)になった雑誌も多数ある、と。

私自身、ひと月ほどまえの入稿〜校了に至る当ブログでの書き込みが、遠いむかしのことのように感じられますが、しかし、Witchenkare vol.2は明日が正式発行日。もし一連の作業が1ヶ月、いや2週間遅延していたら、物理的にも精神的にも本が完成していなかったかもしれない...。

書店/取り次ぎ会社との販売に関するご相談を、現在も継続中です。明日以降も、できるだけ多くのかたの手に届くよう、お話しを続けさせていただきたく存じます。そして販売してくださっている店舗のみなさま、ほんとうにありがとうございます。

ウィッチンケア vol.2を、どうぞよろしくお願い致します。

※「寄稿者紹介」はvol.1に続き今回も掲載予定。桜が満開になって、プロ野球でも開幕したら、ゆっくりとでも...。そのころまでに諸々の事態が少しずつでも好転していくことを祈念!

2011/03/26

電気の武者から

とんでもない災害から2週間が経ちました。大怪我(地震と津波)を負ったうえに致命的な病気(福島原発)まで悪化しているような...こんな日常は、KARAやエリカ様のニュースをうんざりしながら見ていた今月上旬には、想像すらできなかった。

地震当日の午前中。啓文社さんから私のもとへ、待ちに待ったWitchenkare vol.2の完成品が届きました。包装紙をといた私は昼食もとらず、まず、すでに宛名書きし終えていた関係者などへの封筒に小誌を入れてセブンイレブンへ。クロネコメールの手配を終了した後(その結果、ものすごく間の悪い送本になってしまった方々に陳謝...)、今度は数十冊をカートに入れて、先行販売してくださる書店へ納品しにいこうと靴を履きました。

玄関を出たあたりで、屋根瓦からカタカタという音。猫でも歩いてるのかな? でけぇ猫だな...!? 電線がなわとびのように波打ち始め、そこらじゅうから乾いた音が聞こえてくる。地震だ、と気づくのに数秒かかったと思います。足下が覚束なくなり、薄汚れた曇り空を見上げてたなぁ。ちょっとまえまで太陽が見えていたのに。

数日前から少しずつ、本を読んだり音楽を聞いたりする生活が戻ってきました。でも、定時のニュースになるとやはりテレビをつけてしまう。復興に向けて、という気分に水を差し続けているのは、もっと水で冷やさないといけない、あれ...。

T.REXの「電気の武者」で自我に目覚めた私は、以後(ほぼ)東京で、電気ジャブジャブな生活を続けてきました。原発については長く「原発についてはなにも考えない」という立ち位置を堅持(けっこう頑なに)。仕事で原発に関わったことは一度あった。原発燃料メーカー社長と女性タレントの対談を、その企業が所属するグループの広報誌に掲載するための原稿書き。環境問題は「合成の誤謬」、先進国と発展途上国の格差是正のために必要な「エネルギーのベストミックス」という社長さん(元・旧通産省)の主張に半分なるほどなんて思いながら売文業者の任務遂行。それでもさすがに、その時点で日本の電力の約3割が原発のものと知って、えっ!? いつのまにそんなに? と思ったんですが、でも、それ以上は考えないようにして今月上旬まで楽しく生きてました。

もうひとつ、原発の記憶。JCO事故のとき「ザ・ワイド」というテレビ番組を眺めていたら某漫画家が「私は原子力発電は安全だと聞いていたので、ずいぶん推進PRにも協力してきたのですが、こんな事故が起こるなんて、なんだか裏切られたような気持ちです」ってなコメントしたのを偶然聞いて「なんだその絶対安全地帯での言い訳は」と憤り、今後この男との仕事だけは断ろう! と心に決めました。以後、2度ほど彼がらみの“割のいい提灯原稿”の話があったけれど、理由を言わずに断った(編集の現場、やや混乱させてしまい...スミマセン!)。

ええと、私は原発に対する自分の態度を改めようと思いました、「なにも考えない」から「脱原発」に。とはいえアーミッシュみたいな生活は到底無理なElectric Warriorですのでジャブジャブをジャブジャ、くらいには我慢するとしても、あとは、さまざまな工夫なのかな、と(そのことについてここで書き出すとえらいことになりそうなので、トメ)。

ひとつ雑駁に思っているのは、今後についてはきちんと情報を開示して、たとえば選挙をやるにしても、若い人の投票率が上がるような工夫が必要だと思っています。あと、可能なら「こども選挙」みたいなこともやって、その結果をしっかりこれからに反映させるようにするとか〜。「なんか、ちょっとヘンな人に夢中になっちゃってて我を忘れてたけれど、もう目、醒めたから大丈夫」みたいな未来を目指さないと「地球に優しく」とかちゃんちゃら、人間が地球のバグでした、って話ですYO。

...あっ、ウィッチンケア vol.2であります!! 発行人の私ですら「ゆっくり本を楽しもう」という気分になれなかったここ2週間、当ブログもほぼ沈黙していましたが、でも書店や取次会社との交渉はしっかり続けてきました。4月1日の正式発行に向けて、来週も頑張ります!

みなさまどうぞよろしくお願い致します。

2011/03/18

東日本関東大震災について

Google Crisis Responseをご参照ください。日本赤十字社の義援金窓口へ寄付もできます。

2011/03/16

先行販売について

4/1の正式発行に先駆け、Witchenkare vol.2の販売を開始しました。お取り扱い店は右欄をご参照ください(本日以降随時更新)。みなさま、どうぞよろしくお願い致します。

2011/03/15

「一時停止」の解除

まだまだ世の中は不安に包まれています。
Witchenkare vol.2の寄稿者にも「親族や友人が被災地の近くで厳しい体験をしている」という方が複数います。私自身、ずっと連絡がとれなかった幼馴染みの家族(仙台市若林区)が無事避難所にいることを、今朝知ったり...。

本日より発行人として「やれること」を少しずつでも再開します。計画停電などという想定外の状況下ですが、でも電車は動いているし、自転車も持ってる。それにけっこう健脚なので、隣接区までくらいだったらカートを引いていけるぞ〜。

明日午前中から、4月1日の正式発行にさきがけて小誌を販売してくださる書店のお名前などを告知し始めます。ひとりでも多くの方に読んでいただければ、との思いで、自分の役割を粛々と果たします。

2011/03/11

すべてのことを一時停止

みなさまご無事ですか? たいへんなことが起きてしまいました。
小誌は今週末、配本や納品に関するお約束がたくさんあったのですが、すべて、一時停止とします。

現在電話やメールで連絡がつかない方とは、状況がもう少し落ち着いた後、改めて個別連絡をとらせていただいたうえで、いろいろご相談させていただきたく存じます。

本日のお約束を守れなかったSさん、ごめんなさい。いったん外出したのですが、この状況でお訪ねするのはかえってご迷惑と判断し、引き返しました。

みなさまの安全を祈念致します。

地震!

皆さん大丈夫ですか?
私は今のところ大丈夫です。いろいろなところに電話やメールをしましたが、全然つながりません。
とりあえず状況報告。

Witchenkare vol.2できあがりました!


少しまえに(株)啓文社さんから私のところに届きました。現在ばたばたしておりますので、取り急ぎご報告(関係者などへの配送手続きも<済>ですので、きっと明日には...)。

2011/03/04

WTK2下版


いよいよ、次に会うときは本です。みなさん、どうぞお楽しみに!

2011/03/02

WTK2校了

WItchenkare vol.2は午前中ギリギリで無事校了となりました。よかった。

超人的な眼力で寄稿者の原稿からバグを発見してくれた大西さん、そして2週連続でウイークエンドを潰してしまったうえに最後は「デザインというより写植」的な作業を強いてしまった有北さん、ほんとうにありがとうございました! さらに間際の間際まで私からのちまちました「ここって!?」疑問メール攻撃に遭わせてしまった木村さん、高橋さん、浅生さん、稲葉さん、ご協力感謝です。

校了時、私んとこのiTunes(シャッフル)ではGenesisの「In The Rapids〜It」が流れておりました。なんというか、みょうに状況にぴったりなBGMでおかしかった。本日午後、ウィッチンケア vol.2は印刷工程へと移行します。こっからはまさにIn The Rapidsなんだろうな〜。

2011/03/01

校了作業中

夕方までには終える予定です。

右ページにWitchenkare vol.2の参加者一覧、そしてCONTENTS(目次)も掲載致しました。皆様どうぞよろしくお願い致します!

※本日は「水入りの大一番」。入稿当日の明日午前中に取り直し(21:20付記)。

2011/02/28

Witchenkare vol.2は校了間近

月が替わる明日にはウィッチンケア vol.2も校了。明後日午前中にはデータが印刷工程へと移動します。

今日は激寒い日でした、気を抜かずに頑張りま〜す。

2011/02/27

市井、もとい1位

さすがに、ここ数日は「通常業務」そっちのけ(すいません各方面!)でWitchenkare vol.2の山場作業に没頭していましたが、それも一段落して酒! 爆睡!! そして朝になっていつものようにポストから朝日新聞をとってきて読書欄を開いて、...んっ!? 「週間ベスト10」の1位って、これ、私とウィッチンケア vol.2の寄稿者でもあるやまきひろみさんが関わった本ではないですか。(2月22日、トーハン調べ、単行本・ノンフィクション部門)の1位って、つまり全国で!? 2位は佐々淳行先生、3位は井沢元彦先生、4位は大川隆法先生、5位は市橋達也...(ちなみにいまアマゾン見たら、総合で第48位)。

1位の本に著者名がないのはスタッフワークにより共同作業でつくられたものだから。実物を手にとって奥付の「文」のところを見ると、私とやまきさんの名前だけが成分表示されています。おーっ、通常業務! 出費がかさむこの春は頑張らねば〜!!

2011/02/26

有楽町でトルコ!

今日は私、これから古いバンド仲間と有楽町でトルコ料理の会です。こんなに寝ないで疲労困憊のまま、飲むなんて! それではいってきます〜、1人室内作業からしばし開放...。

関係者の皆様、ほんとうにいろいろご協力ありがとうございました! またしわ寄せを引き受けてくださった方にも、感謝です。さあ、来週はいよいよWitchenkare vol.2が印刷所へと。「念校戻し」は当初の予定どおりに(途中一部混乱もありましたが)、本日無事終了です!

願望

...そしてすでに念校をお手元にお持ちの皆様、何卒本日午前中でのお戻しにご協力お願い致します!

夜が明けたら晴天ではないですか!

夜明け前、朝飯前

さて、遅延分をこれからどこまで辻褄合わせられるか...。

遅れている方、すみませぬ。午前中にはほぼ予定どおりのペースに戻しますので、どうぞよろしく!

2011/02/25

夕暮れ

Witchenkare Vol.2の寄稿者のうち数名の皆様、申し訳ありません。

諸般の事情にて、「念校の送付」で一部遅延発生中。現在鋭意努力中ですので、暫しお待ちください。

そしてそんな状況ではありますが、「念校のお戻し」は、できれば2/25(明日!)午前中までにお願い致したく...。どうかご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

夜突っ張りの

突貫工事でただいまバグ退治中...ええい、こしゃくな! 1匹のバグを見つけるとそこには(以下略)。

出口が見えてきました。

2011/02/24

Friday Let Me Down (Hall & Oates)

は「Private Eyes」に入っていた曲ですが...、ええと、寄稿者の皆様との念校やりとり作業について。

ややグラウンド整備に時間がかかりましたが、今晩〜明日午後にかけてズザーッと送付する体制が整いました。どうか、24時間以内対応でよろしくお願い致します。私もこの山は、ダウンするまで頑張る所存ですので!

今日午前中は印刷/製本をお願いする(株)啓文社に有北さんと出向き、vol.1からのヴァージョンアップを目指して、インクの種類や使用法についての打ち合わせをしてきました。そして先ほど入江社長から、たいへん良心的な費用についての御見積もりも。最後まで迷っていた発行部数、「強気のほう」でお願いしました(たいへんだ〜)。消費税が身に沁みる...。

来週は3月。にしむくさむらいは慌ただしいですね、ほんと、とくに「2」。

2011/02/21

そして、神戸

本日16:20、全コンテンツは神戸へと旅立ちました。どうか虫さされがよくなって、元気にサミダレて戻ってきますように。

土日が完全にWitchenkare vol.2デザインワークで潰れてしまった有北ADからの今日のメールタイトルは「終わりの始まり。かな?」でした。ほんとうに、お疲れ様でございました。

...そうですね、「つくる」作業はこの先、加速度的に“終わり”に向かいます。

寒い冬だったなぁ、ほんと。

2011/02/19

行程から工程へ、そして作業環境


さきほど私の手元から、Witchenkare vol.2の全コンテンツが一時的に離れました。現在はAD、そしてエディトリアルデザインの実務もてがけてくださっている有北眞也さんのところで、「文字校正」での赤字箇所をがんがん修正中(膨大で細かい作業、ありがとうございます!)。

その後、全コンテンツは新幹線にも飛行機にも高速道路にも乗らずに神戸へと向かいます。神戸にはウィッチンケア Vol.2寄稿者のひとりでもある大西寿男さんがおり、週明けには有北さんから送られた全コンテンツをその両眼でザザーッ、と見てくださるのです。

大西さんの目に発見された「全コンテンツ内に棲息する“大きなバグ”」は、紙に記録されてクロネコヤマトメール速達便で私のもとへ。さらにその後、私と有北さんとでできるかぎりバグを退治し、もう一度寄稿者の皆様のもとへ念校として送られます。

そしてそこでの確認でOKが出たものから、順次、入稿用データとしての最終微調整がなされ...校了へと。そこより先は、行程というより工程という字のほうが似合うのかな。

ここしばらくの私のデスクまわりは「師走の鉄火場」(なんだそりゃ?)のように熱を帯びていましたが、しかし、ぱっと見は、掲載写真にときたまA4用紙やコーヒーカップ(やピーナッツ等)が加わるようなもの。編集作業の環境もどんどんさらっとしたものになります(って、去年も感じて書いたことか...)。

最終的に200ページを越えたWTK2ですが、四半世紀前なら、この量の作業を遂行するには所謂「タコ部屋編集室」が必要だったと思います。携わる人間の数も、私ひとりじゃ無理だったろうな、たぶん。Faxやワープロはもうあったけれど、でも校正紙、封筒、ペン、電話、人が多ければ作業台、コピー機。腹減ればカップヌードル、泊まり込み人員の着替え、考えれば考えるほど...ものや人間が必要だった。

いやあ、便利になった、とも言えるけれど、でもそのぶんだけ「便利じゃなかった」に付帯していた“仕事”(やおカネ)が世の中からどんどんなくなったんだな、と思います。原稿用紙、封筒、名刺、とにかく紙いらない、電話しない、NTTの電話番号案内オペレータ全然いらない、バイク便もいらない、業務や人間関係のストレスで飲みにいくこともない、交通機関使わない、と...不況にもなるよなぁ、便利社会。そしてタコ部屋だともしかして恋愛とかも自然発生して、少子化社会対策にも...あはは、完全におっさん的発想。

とにかく週末〜週明けは、有北さんと大西さんにエールを送らねば! そして寄稿者の皆様、最後の念校、どうぞよろしくお願い致します。おそらく2月23日(水曜日)〜25日(金曜日)には送付致しますので、24時間以内を目途にご対応ください〜。

2011/02/18

戻りました!

はい。ついさきほど、Witchenkare vol.2の14名の寄稿者から「文字校正」の赤字とプロフィールがすべて。

皆様、ほんとうにご協力ありがとうございました。な、なんと「締め切りは2/18の午前中」が、誤差の範囲とも言えない約6時間経過後には、クリア...(集中豪雨的感涙)。

ただいま私のデスクまわりは師走の鉄火場のような状態でありますが、さあ、頑張らねば! そして週明け(中頃)には、いよいよ最後の「著者校」であります。

2011/02/17

戻ってきてます

はい。Witchenkare vol.2寄稿者からの文字校正「赤字戻し」が、着々と。右欄のカレンダー下には、作業が終了した方のお名前もふえるわかめ(by 理研)のように...。

この作業、今日明日が山です。皆様、どうぞよろしくお願い致します。あっ、プロフィールも、どうかお忘れなきよう!

2011/02/15

文字校正とKARA

昨夜から順次、Witchenkare vol.2寄稿者の皆様に文字校正の書類を送付し始めました。本日中には全員にお届けできるはず。どうぞよろしくお願い致します。編集人である私としては、ただただ、早く戻ること、修正が最小限であることを祈るのみ。すいません、立ち位置的に...。

ここのところずっと作業のBGMはジャズとかエレクトロニカとかインスト多めプログレとかでしたが、よく晴れた今朝はひさびさに日本語の歌を聞いています。何か食べ物を買ってから、何か食べ物を、を、ともだちがくれた犬をつれてっと、たもだちがくれた、ぁ。

そしてテレビにはKARAが何度も映って、私は最近やっと嵐全員の名字と顔が一致しましたが、KARAもいい加減見分けつくようになりたくて、それでウールの帽子やマフラーが似合うスンヨンさんがかわいいなと。あとはニコルさんっていう人がいるのは知ってて、もう3人はまだ名前も覚えられない...。

2011/02/11

Witchenkare vol.1のまとめ


ウィッチンケア vol.1

■CONTENTS
004……ネットワークの思い出/神田ぱん
012……雨傘は雨の生徒/我妻俊樹
032……茶道楽の日々/藤森陽子
044……文化祭/浅生ハルミン
068……暮らしのリズム/友田聡
084……チャイムは誰が/多田洋一
126……参加者のプロフィール
Art Direction & Design:有北眞也(PAZAPA inc.)
Photos:徳吉久(Jeu de Paume)
印刷:(株)啓文社
発行:yoichijerry
(2010年4月1日発行/A5判:128ページ/頒価 840円)

■販売店
<東京都>
【世田谷区】書店“フィクショネス”白樺書院古書ビビビ古本 ほん吉【新宿区】模索舎ジュンク堂書店新宿店(8階カル チャー/ミニコミ/リトルプレスコーナー)/ブックファースト新宿店(地下1階Aゾーンリトルマガジンコーナー)【中野区】タコシェ【杉並区】にわとり文庫古書 音羽館
<大阪府/京都府/石川県>

【大阪市】貸本喫茶ちょうちょぼっこ
【京都市】NOT PILLAR BOOKS(移動販売スタイルの書店)
【兵庫県】海文堂書店
【金沢市】Music&Zakka Lykkelig -リュケリ-
<ネットで購入>
模索舎.storeタコシェオンラインショップMusic&Zakka Lykkelig -リュケリ- web shopNOT PILLAR BOOKS ONLINE SHOP

※ WitchenkareはKitchenwareのアナグラム。身の丈にあった生活まわりの文芸創作をとの思い、
そしてPrefab Sproutがインディーズで初めてアルバムをつくったKitchenware Recordsから。

2011/02/09

Layout済み文字校正は2/15から

あっ、今回は完全にWitchenkare vol.2関係者への連絡です。

皆様のおかげでウィッチンケア Vol.2編集作業はとてもスムーズに進んでいます、大感謝特大感激。さてっ、

1.レイアウトを施したPDFによる寄稿者の文字校正は、万全を期して2月15日(火曜日)からスタートさせようと思っています。18日(金曜日)午前中を目途に戻してくだされば、翌週から印刷行程への移行作業。

2.最後の著者校(念校/翌日戻し)をもう一度21日(月曜日)〜25日(金曜日)にサミダレ送付致します。

3.そして! 1と2の作業のあいだには、不肖私だけでなく「とても心強い方」にも文字関係の最終チェックをしていただけることになりました(昨日の打ち合わせ at カフェ・オーディネール)。ほんとうにありがとうございます&どうぞよろしくお願い致します。

今週末は寒くなりそうですが、でも春は着々...早くコート脱ぎたいっすね。

2011/02/08

ところでウィッチンケア

↓の書き込みを見てふと思ったのですが、「スーパーマーケット」って、すごい戦後っぽい言葉ですね。ウルトラマンとか鉄腕アトムとか...ちょっと旬は過ぎましたが「伊達男なのにまっ直ぐな人(虎面)」みたい。いまでも「スーパー」で通じる言葉だなんて、なんか、ミシンやテレビと同類。

編集作業、もうしばし遂行します。その後は「つくる」、そして「伝える」「売る」の作業です、桜咲く前に。Witchenkare Vol.2はもうすぐ。

2011/02/06

時計や懐

スーパーマーケットに並ぶみかんもだいぶくたびれただいだいに見え始め、春めいてきました。Witchenkare Vol.2の編集作業は現在、100ページほどのレイアウトが完成間近。Vol.1は128ページ、Vol.2については、当初は「120頁程度」の予定で進めていましたが、どうやら大盛り、いや、特盛りになる!?

時計や懐と相談しながらそろそろいろいろなことを決めなければなりませぬ。休み明けにはどかんともうひと雨。忙しくなるぞ〜。

2011/02/02

そろそろ

私は雨乞いでも始めたほうがよいのでしょうか。どうかお手柔らかにお願い致します〜。毎朝のメールチェック、とても楽しみです!

2011/01/31

梅が...

燐家(大家さん)の庭で咲き始めました。

2011/01/29

自分のカレー

不肖私もまたWitchenkare Vol.2での執筆者のひとりでして、今週は「いままで漫然とアイデアを書き散らしていたものをかたちにする」ことに集中していました。カレーにたとえるなら(なぜカレー?)、買い置きしておいた食材の、俎板とフライパンでの作業。タマネギを刻んで炒めたり、肉に火を通したり、キノコを下茹でしたり、「あっ、いけねぇ、忘れてた!」ってものを急いで調達したり。「これ入れたらおいしくなるかも!」というその場での閃きもとりいれてみましたが、吉と出るか?

昨晩すべての食材を寸胴に放り込み、煮込み始めました。もう追加食材はなし。週末に灰汁をとってルウを入れ、あとはしばらく煮込みながら味の微調整。頃合いをみて火を止め、ひと晩置いてから盛りつけです。

ちょっと自分のカレーにかかりっきりで、関係者へのご連絡を怠っていた部分もありました。申し訳ありません。週明けからしばらくは「編集者としてのオレ」の責務を果たすべく、頑張る所存であります! もう、五月雨でも集中豪雨でも、寄稿者からのお原稿でずぶ濡れになりたい...。カラカラ天気の続く2011年の真冬でありますが、みなさまどうぞよろしくお願い致します!! そして、当ブログのVol.2に向けてのヴァージョンアップも、少しずつ始めるつもりです。

2011/01/21

商品名に偽りなし

昨日は寄稿者のひとりと吉祥寺で打ち合わせでした(at ゆりあぺむぺる)。またもや予定を大幅にオーバーする長時間になってしまいまして、申し訳ありませんでした!

そして私は打ち合わせ後、いったん駅の階段を昇るも、あっ、あれ、と思いついて新装アトレを抜け北口へ。パルコ脇の路地を進んで、目指すは「くまもと県物産センター 吉祥寺店」、そしてゲットすべきは「御飯の友」というふりかけ。これっ、炊きたてごはんが軽く3杯いけます...って、なんでいま、ふりかけの話!? まあ、とにかくそんな大寒の日でありました。

2011/01/15

iPhoneと冬の月

う〜ぬ、前回「子亀」と書いたiPhoneですが、こやつ、かなり自立心旺盛といいますか、親がなくても子は育つといいますか...このまま便利(やっぱり、たしかに役に立つ!)に使い続けていくと、「母艦=PC」という考えかたを改めたほうが、さらに便利なような気がしてきています。でもさ、便利ってなに?

有北さん、徳吉さんとの、おもにビジュアルに関する打ち合わせは無事終了。サンデル教授もびっくりの、予定を大幅にオーバーした白熱会議 at Lotus(カフェ)でした、お2人に感謝多謝!!

そして、すでに数人の寄稿者からの原稿も届きました。現在嬉しい悲鳴とともに、通常業務その他との生活バランスを調整中。冬月コウゾウに「始まったな」と言われた気分...「ああ。すべてはこれからだ」。

関係者には月曜日の朝までに最新の媒体概要を送付致します。どうぞよろしくお願い致します。

2011/01/13

iPhone

遅ればせながらここ数日で、昨年末購入したiPhoneの基本的操作および「母艦であるPC」との関係を、やっと体感として理解できてきました。以前からiPodは使っているのですが(といってもおもにクルマを運転するときのカーステ)、親亀小亀の関係は、ほぼ一緒なんですね。

...しかし、この小亀を常時携帯する生活って、便利??? ましてTwitterなんぞ始めたら...。以前の「持ち運び公衆電話」みたいだった「docomoの使いにくいやつ」の頃のほうがのんびりしてて...、

あ、いや、せっかく生活環境を変えたのですから、いまは「新しいもの」の可能性を楽しんでみることにします。

明日は有北眞也さん(AD)、徳吉久さん(写真家)との打ち合わせ。「モノ(紙媒体)としてのWitchenkare」の、いちばん生々しい部分をお引き受けくださっている2人です。

もう、なんと言いますか、ほんとうに、どうぞよろしくお願い致します×∞。

2011/01/09

ウサギだ

2011年になりました。

今年の正月は週末に引っかかっていたせいか、なんとも慌ただしかったです。先週は昨年末の残務を調整しているうちに過ぎてしまい、私にとっての2011年はこの連休明けからスタート、という感じ。みなさま、本年もどうぞよろしくお願い致します。

さて、Witchenkare Vol.2の進行具合について。現在まで、ほぼ予定どおりであります。

...って書いてみて、ここで「ほぼ」という言葉を使ったことがどなたかにプレッシャーを与えたりはしないだろうか、というようなことをちまちま気にするような小心者の私でありますが、だがしかし、これから発行までのあいだ、そのようなことをいちいち気にしていると、制作プロセスで書き記しておいたほうが後々おもしろいかもしれないような事柄まで自己規制してしまいそうな気もするので、ええと、「気」だらけの文章になっていても気にせずに進みますが、つまり私は今後ここでわりとザクザクしたもの言いをそのときどきでしていくかもしれませんが、みなさまあまり気にしませぬようお願い申し上げます。

週明けには紙媒体としての筐体部分についての打ち合わせをスタートさせ、15日を目途に、寄稿者には最新の媒体概要を送付するつもりです。すでに第一稿を見せてくださった方、具体的な内容について話してくださった方、ありがとうございます。火曜日以降、個別に打ち合わせを詰めていきましょう。そしてしばらく疎遠になってしまっている方々、もしなにかありましたら電話なりメールなり「ちょっと顔貸せや!」なり、どうぞお気軽にご連絡くださ〜い。

そしてそして、じつは私の原稿もまだ未完成なのでありますが、うぬぬっ、とっ散らかったままのアイデアを、来週中には一度まとめなくては(自分へのプレッシャー!)。

Vol.14 Coming! 20240401

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yoichijerryは当ブログ主宰者(個人)がなにかおもしろそうなことをやってみるときの屋号みたいなものです。 http://www.facebook.com/Witchenkare