2026/05/20

vol.16寄稿者&作品紹介31 木俣冬さん

 ウィッチンケア第13号からの寄稿者・木俣冬さんは2015年から毎日朝ドラをレビューし続けていまして、現在はDIAMOND onlineにて「風、薫る」について...私(←発行人)も長年の習慣で見続けております。直美とバーンズ先生は好きなんだけれども、りんのキャラがイマイチ掴みきれておらず、今後の展開に期待。あと、個人的には「湾岸署の雪乃さん」がりんの母親役なのも...そりゃ私も歳をとったよなぁ、と。あ、スイマセン、話が逸れてる。ええと、それで、木俣さんには「小誌ではとくにご自身の専門分野にはこだわらず、自由な題材で」と寄稿依頼して(いるつもりで)おりまして、だからでしょうか、第16号に届いたのは〈猫が消えた。〉と題された、筆者のお住まい近くの地域猫(町ネコ)と、近隣の再開発についてたっぷりと語りもする一篇でありました。私は2013年まで下北沢に住んでいましたので、作中に描かれているような住民と地域猫が共存する風景、覚えているのですが、でもあれから十数年。〝猫たちは不思議なことに、ひたひたと行われていた再整備が住人の認知するところになる前からぷっつり消えていた。さすが人間よりも機を見るに敏、路地裏集会で話し合って、みんなである晩、ドロンしたのだろうか〟という記述もあり...そうか、2026年の東京都心部の風景は、そんななのか、と。


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それで、私は少し↑のほうで「地域猫(町ネコ)と、近隣の再開発についてたっぷりと語りもする一篇」と書きましたが、じつは本作、中盤から大きく舵が切られて、それまでの猫話を踏まえたうえでの朝ドラの話となります。〝ここでなぜ唐突に朝ドラ? いや、この原稿は実は朝ドラが題材で猫は長いアヴァンだったのである〟...圧巻の切り返し。そして、この先は筆者の真骨頂。さすが、私のような素人目線で「今作は面白い/つまらない」みたいな凡庸なことは仰りません。朝ドラのヒロインの変遷に対する細かい観察眼は、まさに前半部に登場した「茶トラ」「美猫」「タビ一族」へのそれと同じ。
1961年に始まった朝ドラでは〝長きにわたり、女性のロールモデルになりやすいキャラクターが造形されてきた〟が、ここ数作では〝時代が変わるにつれ、そこからはみ出したヒロイン像も求められるようになって〟いるのではとの分析、頷いてしまいます。そして本作の終盤では〝長いアヴァン〟があったからこその、木俣さんならではの、未来の朝ドラへの提案が。これが実現したら面白いだろうな、と思うのですが...それがどんな提案なのかは、ぜひ小誌を手にとってお確かめください!


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ウィッチンケア第16号(Witchenkare VOL.16) 発行日:2026年4月1日
出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりーは発行人の屋号)
A5 判:272ページ/定価(本体2,000円+税) 
ISBN:978-4-8-6538-180-1 C0095 ¥2000E


 せめて、かつてこの素朴ななんの変哲もない緑道に、タビ一族がいたことを記録しておきたい。最初に私が出会った白足袋猫を私がそのまま「タビ」と勝手に呼んでいた。タビは大きく堂々として風格があり人間に媚びない猫であった。旅人という意味あいも込めて「タビ」だった。
 やがて緑道界隈には白足袋猫が増えていった。おそらくタビの子孫に違いない、そう思った。やつは堂々とした風格で子孫を増やしていたのだろう。季節が過ぎていくなかで、片方だけ白足袋だったり、黒猫だったり、微妙に違うが白足袋の黒猫が緑道を闊歩した。ある数年間は双子のきょうだいのように、いつも一緒で決して離れない白足袋猫の時代があった。昭和感満載の二階建てアパートの一階に猫好きらしい女性が住んでいて、主にその人に面倒を見てもらっていたようだ。その一階のコンクリートの地面によく寝そべっていた。
 猫の寿命は15年〜30年くらいだが、野良猫は3〜5年と短いそうだ。やっぱり野生で暮らすのは大変なのだなあ。猫たちはどんどん代替わりしていき、やがてサビ猫が現れた。これはタビ一族かどうかわからなくなり、その頃から周辺の古い家(緑道の歴史より長いくらいの)が建て替わっていった。


~ウィッチンケア第16号掲載〈猫が消えた。〉より引用~



木俣冬さん小誌バックナンバー掲載作品:まぼろしの、〉(第13号)/〈アナタノコエ〉(第14号)/〈イケメンという言葉の黄昏に〉(第15号)

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Vol.16 Coming! 20260401

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