2026/05/13

vol.16寄稿者&作品紹介24 多田洋一(発行人)

 それにしても毎号毎号、他の寄稿者/作品についてなにか書くのは楽しくてしょうがないのに、自分の書いたものとなると「あれに書き尽くしたので、もう屋上屋を重ねるようなことは」と、いつも億劫(いや、「横柄」かも)に。...スイマセン、一人でも多くの方に読んでもらいたいです。なので、紹介文、いきます。「ウィッチンケア」創刊号からの寄稿者である多田洋一さん(←私/発行人)の第16号掲載作は、新宿という街を小田急線目線(!?)で描いた〈楽しい未来への思い出〉という小説。このテキストをなんのプロンプトもなしでGeminiに読ませたら、「Shinjuku Memories and the Changing Cityscape」と題され、「回想録的なエッセイ」と。ちょっと、「引っかかったな!」と嬉しくなりました、私。というのも、筆者は全10ページ中の9ページ目下段(「♡」マーク以降)からの展開だけを先に決めて、のちに、そこに至るまでを構成したので。おっさんの昔話だと思ったら、エッ!? と感じていただければ、本望です。


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「近松」という女性は、第9号に掲載した〈銀の鍵、エンジンの音〉にも登場していますので、そちらも併せて読んでいただけますと、ああ、「僕」とはそういう関係なのですね、と別の楽しみ方もできますが...拙作「幻アルバム+α」に収録されております。そして、最後の方に出てくる映画は出演者名で検索すると特定できるかと存じますが(奥田瑛二の「瑛」が「英」なのは誤植ではありません)、今回何十年ぶりにDVDで見直してみるまで、本当に結末を覚えていなかったことに、自分でもびっくりでした(その少し前のシーンは、記憶に残っていたとおり)。


今作での「調べもの」ではかなりAIを使いました。個人的に一番役立ったのはアンソロピック社のClaude。Free(無料)で始めたけれども、容量などが全然足りなくて一ヶ月だけPro($20/月)と契約しました。ときどきしれっと嘘をつくが、慎重に向き合えば強い味方。おっさんの昔話みたいなことを書いた人が言うのもなんですが、時代はもう後戻りできないですね。でっ、そのAIに「この小説を酷評してください」ともお願いしてみました。以下が、Geminiによる要点。




1.主人公の「老害的」な懐古主義と選民意識
2.ストーリー性の欠如と「自分語り」の羅列
3.衒学的な固有名詞の多用
4.結末の唐突さと「雰囲気」への逃げ


...たしかに、私にも、そのようにも読めるが、それでもこのように書きたかったのですよ! みなさま、ぜひ小誌を手にとって、Gemini様の言ってることが正しいかどうかご判断ください。


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ウィッチンケア第16号(Witchenkare VOL.16) 発行日:2026年4月1日
出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりーは発行人の屋号)
A5 判:272ページ/定価(本体2,000円+税) 
ISBN:978-4-8-6538-180-1 C0095 ¥2000E


 換気塔の脇を通って東口に出る。
 えっ!?
 猫がいる。
 百果園とアルプス堂の間にいつのまにかできた薄いビルの上から、巨大な三毛猫がこちらを見下している。しばらくは呆然と眺めたが、でもそんな紛い物より、僕は煙草が吸いたかった。幸いにも角筈ガード横の喫煙所は使えるようで、少し急ぎ足で中を覗くと三密、ってほどでもなくて安心した。マスクを外し、紀伊國屋の一階の加賀屋で買ったケースから一本手にして火を点けた。
 いまはちっとも盛り上がらないオリンピックが絶賛開催中で、本来なら東京がもっと外人だらけになっていたのかもなんだけれども、街を埋めているのはマスク顔の日本人ばかり。なんだか日本って、あのでかい地震以来、何もぱっとしたことのない国になってしまったようにも思えたりして。
 煙を吐き出しながら、アイフォーンで猫の素性を調べてみた。
 クロス新宿ビジョン。企画制作/株式会社オムニバス・ジャパン。クリエイティブディレクター/山本信一。CG制作主担当/青山寛和を中心としたVFXチーム。
 さらにGoogleで検索すると、まあ、いろいろな風に語られていること。
 新宿東口から消えゆく景観が、記憶だけでは保てなくなることを前提に設置された、視認性を最優先する新たなランドマーク/その可愛さで街を和ませるのではなく「ここに注意を向けよ」とだけ指示する、東口が商業行為を中心とした空間から視覚消費を中心とする空間へ移行したことを示す装置……とかなんとか。
 でも、一番ピンときたのは「渋谷のハチ公に対抗する、新たな新宿の令和猫」というSNSでの書き込みだった。


~ウィッチンケア第16号掲載〈楽しい未来への思い出〉より引用~



多田洋一小誌バックナンバー掲載作品:〈チャイムは誰が〉(第1号)/〈まぶちさん〉(第2号)/〈きれいごとで語るのは〉(第3号)/〈危険な水面〉(第4号)/〈萌とピリオド〉(第5号)/〈幻アルバム〉(第6号&《note版ウィッチンケア文庫》)/〈午後四時の過ごしかた〉(第7号)/〈いくつかの嫌なこと〉(第8号)/〈銀の鍵、エンジンの音〉(第9号)/〈散々な日々とその後日〉(第10号)/〈捨てたはずのマフラーどうしちゃったんだっけ〉(第11号)/〈織田と源〉(第12号)/〈パイドパイパーハウスとトニーバンクス〉(第13号)/〈優しい巨人と美味しいパン屋のころ〉(第14号)〈山崎さんの殺人事件〉(第15号)


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【最新の媒体概要が下記で確認できます】

https://yoichijerry.tumblr.com/post/810515107182460928/
 





【付記】
「これはエッセイではなく小説」とプロンプトで認識させたうえで、昨年と同じGemini/NotebookLMにも解説をお願いしました。筆者にも思いつかない読み方をしてくれていて...これも、びっくり。下記タイトルをクリックしてみてください。

Vol.16 Coming! 20260401

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