
空海。弘法も筆の誤りの、弘法大師様。NHKの大河ドラマでもまだブルーオーシャンな奈良〜平安初期時代のお方で、そんないにしえの偉人にスケザネさんはなぜ〝取り憑かれたのか〟? 筆者は、まず空海を〝「日本最古の哲学者」〟と捉え、そのめざましい功績として「即身成仏」という思想=〝この世に存在するあらゆる生命を救うこと〟に言及。そのうえで、空海の波乱万丈な人生について、独自の語り口で紐解いてくださるのですが...本作のおもしろさの核は、歴史の教科書などからでは伝わらない空海の人としての魅力を、スケザネさん語法で、スーパーヒーローのように描いていること、と私(←発行人)は感じました。
《熱意と才能と運に恵まれた空海の生涯》という小見出しを立てた章で、筆者は〝空海はすべて満点だ〟と述べています。満点、とは? 満点だと、なにが起きる? この、読書家ならではの満点評価については、ぜひ小誌を手にとってお確かめください。また作品後半では、空海とセットで学校の教科書に登場した、最澄についても触れられています。この2人の関係性などまったく忘れ果てていた私...あらためて勉強になりました。そしてそう遠くなく上梓されるであろう渡辺さんの新刊、ぜひ読んで、さらなる精進を思うのでありました。

ウィッチンケア第16号(Witchenkare VOL.16) 発行日:2026年4月1日
出版者(not「社」):yoichijerry(よいちじぇりーは発行人の屋号)
A5 判:272ページ/定価(本体2,000円+税)
ISBN:978-4-8-6538-180-1 C0095 ¥2000E
まず、最古の哲学者という点である。あまり知られていないが、空海は膨大な著作を残している。筑摩書房から刊行されている『弘法大師空海全集』という著作集は全八巻で、ページ数は五千を超える(現代語訳、注釈など含む)。しかも仏教から、漢詩の実作、漢文や漢詩の執筆術、日本初の辞書など、ジャンルは広範。中国思想やインド思想の養分もたっぷりと吸収しており、極めて論理的に記述されている。だから語弊を承知ながら、「日本最古の哲学者」だと思う。
最古とはどういうことか。空海は西暦774年に生まれ、835年に入滅した。つまり奈良時代から平安時代の初頭を生きた。紫式部や清少納言より百年程度、在原業平や小野小町より数十年は年長だ。同時代には初代征夷大将軍の坂上田村麻呂、平安京の遷都を行った桓武天皇らがおり、『万葉集』や『古事記』が成立した頃でもある。彼に先立つのは聖徳太子くらいだろうか。だがその仕事量に鑑みれば、空海が最古といってもいいと思う。
~ウィッチンケア第16号掲載〈まさか空海にハマるとは思わなかった〉より引用~
渡辺祐真さん小誌バックナンバー掲載作品:〈無益評論家として生きていく〉(第15号)
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