Witchenkare Vol.1に掲載されているほとんどの写真を提供してくれた徳吉久さんと私は、いまから20年近く前、編集者のSさんを介して知り合いました。最初に会ったのはその方の家での小さなパーティで、その日の徳吉さんは普通のソース焼きそばに大量のチリソースを投入して焼き上げてくれて...私は「ああ、こういうのがパリ風の焼きそばなのか」と...。徳吉さんは、パートナーの下地文恵さんとともにパリから一時帰国していたのです(しかし私の人に対する記憶は食べものばかり)。
2度目に会ったのはパリの地下鉄の駅。一度パリってとこにいってやろうじゃないか、と思い立って旅をしていた私に、自分だけでは絶対に気づかなかった街の魅力をたくさん教えてくれました。その頃の徳吉さんは、下地さんと慎ましく暮らしながら自分の好きな写真を撮り続けていて、じつは私は煮詰まり気味でのリセット旅だったのですが、ああこの人たちは自分のやりたいことをやりながらたんたんと暮らしていてなんて美しいのか、と衝撃を受けたものです。言い訳ばかり上手になる自分ってどうなの、とも。
数年後に徳吉さんと下地さんは帰国し、やがて表参道に小さな事務所を構え、その後については私の拙い文章よりもジュウ・ドゥ・ポゥムのHPを見ていただいた方が...。
ここ何年かは賀状だけのお付き合いでしたが、昨年の冬に私が突然長いメールを送りました。その数日後には押しかけるようにランチに誘い「オレはなんかやりたくなったので、それは、徳吉さんと一緒がいいと思った」と意味不明の説明をする私。それに対し徳吉さんは「多田さんがなにかをつくりたいと思ったときに、私のことを思い出してくれてありがとうございます」。
そのランチの際、雑談で「作品づくり」「仕事」「自己実現」について少し話しましたが、尻切れトンボ。この3つが一致していればいるほど本人はハッピーなのか、みたいなことだったのですが...じつは私も正解はわからない。明後日にはまた仕事でパリにいってしまう徳吉さんと、そのうちにゆっくり、続きを話してみたいです。
Vol.14 Coming! 20240401
- yoichijerry
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