「こんなときにそういうことになるのは本意ではないしきっとそちらもがっかりだろうが、でも、嗚呼またひとつ面倒なスイッチが!」
おーっ、毎号自分で自分を紹介するのは、そのときどんなコンディションであっても「なんだかね〜」です。寄稿者・多田洋一の新作書き下ろしは第1号「チャイムは誰が」第2号「まぶちさん」第3号「きれいごとで語るのは」に続くものでして、タイトルは「危険な水面」(きけんなみなも、とお読みください)。内容については...今作は事前に1万字近くまで膨れあがっていたラフ書きを、いかに削るか工夫したものとなりました。今回「まだ言葉にしないほうがよい」と判断した諸々は、次作で爆発するのか!? そして「発行人/編集者・多田洋一」と「寄稿者・多田洋一」については、今号でも軸足は後者。寄稿者のおひとりにそのことを説明するさい、私はメールで「編集業務他は長年培ってきたスキルで、原稿書きは魂でやってます」みたいなことを書いたかも。偽りありませぬ。
ウィッチンケアの今後については、今月続けているこの紹介文をコンプリートさせたら一度まとめたいと思います。んでっ、ここでは私のことなんですが...いよいよ過去に書き溜めた書籍数冊分相当の原稿を、なんとかしなければ...。まずは、小誌掲載作だけでなく、私の書いたものをいくつかまとめて読んでくださるかた、いらっしゃいませんか? もしかすると拙作は「新しい自社ビルの資金源」かもしれませんし、あるいは「読むだけ時間の無駄」かもしれませんが...などとつらつら書いているうちに字数は尽き、今作の具体的内容については触れられぬまま、ってそれもなんだか寂しいので、ひとつだけ。海よりでかい湖、あってもいいと思います!
そろそろ準備をしなければ。ばらばらになった数や音や色で筏を組むように、息苦しさの因を自分にも自分以外の漏らさずすべてにも探さないでそのまま「有り」と捉えるように、物事の長さを主観で測って節目を見定め、人を人とも思わぬ度量で、終ぞ飼い殺せずにいる獣の残余に輝く意味を与え、生殺与奪を刹那の心の揺れに任せてしまえ。
薄ら日が照らす水面はいまにも溢れ出しそうだ。もうひとつ女の不思議、音信不通というハニートラップ。僕の視界にいまだ海は映らない。でも、湖の氾濫など呑み込んでしまうほどに海が、いますぐにでも大波が押し寄せてくれば……いや、それは無理なのだ。地球は陸地の2・42倍もの面積が塩水で覆われているが、この湖のでかさときたら、それ以上なのだから。
短くもなく湖の恩恵で暮らしを立ててきた。諸問題はそんな自分自身から発生し、取り返しがつかなくなっている。霞んだ太陽を喰い千切る勢いで跳ねたナイルパーチが新雪のような光を放つ。
スイッチを入れて一番得をするのは誰だ? 僕が無口になったことで言葉が沈殿し浚渫土に変化し、水面をさらに押し上げているのだとしたら……この厄介さには救いがないと思うし、煩わしさに向き合う気力も湧いてこない。でもね、そんなこと言ってても、ね。
ウィッチンケア第4号「危険な水面」(P090〜P095)より引用
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Vol.14 Coming! 20240401
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