「分からなくても大丈夫。何、簡単だよ。ボクの言うことをやるだけで壁は壊れるんだ」
希屋の浦さんは小誌初の覆面作家であります。私、創刊時には漫然と「本名または通名での署名原稿」と思っていたのですが号を重ねるうちにそのことにこだわること自体もどうなんだろうなどとも思い始めましてつまりいろいろなことが流動化していくプロセスをも丸呑みしてしまおうかというわけなのですが、しかし、私、希屋の浦さんについて多少のことは存じ上げているのですがそれをここに記して良いものなのかどうか...あくまで作品ありき...それだけでよいのか!? mmm、とにかくネット上で「希屋の浦」で検索すればわかることはオープン情報として...たしか、お原稿のやりとりをしていた頃は宮城県の女子大生で、今春めでたく卒業&就職なさったようなのですが、しかしその後さらにいろいろ(これ以降は、ググるなりなんなり)...。
あと、私と希屋の浦さんとの個人的なエピソードをひとつお伝えして紹介文としましょう。希屋の浦さんからいただいた最初のメールには「プロフィール欄の寄稿者名に誤植があり」との指摘がありました。えっ!? そんな...ありましたとも! 校了時まで正しい表記だった名前の1文字が、似てるけど違う文字に。希屋の浦さん、ご指摘ありがとうございました! そして作品内に登場するフランソワはなんとも慇懃で、なんだか私の部屋や所持品のなかにもいつフランソワに変態するかわかったもんじゃないものが混ざっているような気がしましたが、それでもとにかく麻佳さんには、どこから入ってきたのか尋ねているのに小理屈をこねてたぶらかそうとする輩に対し、「ちゃんと質問に答えろ!」くらいは、一度ぴしっと言ってほしかったかもw。
麻佳は耳をふさいだ。外の世界は嘘であふれているのだから。過去なんて要らない。要らないモノは聞かない。聞きたくない。
「ごめんごめん、でもボクはアサカの味方だよ?」
「そんなの分からない」
「アサカは強情だなぁ。どうすれば信じてもらえる?」
麻佳はさきほど疑問に思ったことを訊いてみることにした。
「まずどこから入ってきたの?」
「いや、ボク人間じゃないから。『不可能』は常に可能だよ」
ますます怪しくなってきた。これは空腹が見せる幻だろうか。
「少なくともボクはアサカの願いを叶えるためにいるんだ」
「わたしの願いはこの世界にずっといることよ」
「ちょっと違うね」
フランソワは本当に麻佳の何を知っているのだろう。自信たっぷりに否定されると疑問より先に感心が立ってしまうのだから不思議だ。
ウィッチンケア第4号「朝の所在」(P164〜P169)より引用
http://yoichijerry.tumblr.com/post/46806261294/4-witchenkare-vol-4-4
Vol.14 Coming! 20240401
- yoichijerry
- yoichijerryは当ブログ主宰者(個人)がなにかおもしろそうなことをやってみるときの屋号みたいなものです。 http://www.facebook.com/Witchenkare