「うっとりして見守っていると人生は瞬く間に終わってしまう。それが悔しいから、試しに演劇にして目の前に留めてみせる。」
小説家として 「青木一人の下北ジャングル・ブック」 「猫殺しマギー 」を発表、また辛酸なめ子さんとの共著「だれでも一度は、処女だった。 」などもある千木良悠子さん。私は昨年秋「IN THE CITY Vol.6」に掲載された「Composition」という短編小説を読み、千木良さんのことを知りました。なんだか主人公の他者との距離の測り方が印象的な作品で...って、いまこの文章を書くために同誌のHPを確認すると、千木良さんについて以下のような記述...<あの松尾スズキから「歌って踊れる小説家、で、美形」と推される作家にして女優・演出家・劇団主宰・映画監督のストレンジな短篇>...そうだったのか!! いや、実際に今年1月「饗宴」を拝見した後は、まさに多彩な活躍をする方と認識していますが、寄稿依頼した時点ではHPも読んでおらず...ほんと、不躾なお願い事にきちんと対応してくださり、感謝致します!
身体を使った共同作業での表現。千木良さんが寄稿してくれた「SWANNY『饗宴』顚末記」は公演のレポートであるとともに、ものを書くだけではおさまらない「表現への願望」について、パーソナル(でも普遍性も兼ね備えた)思いが語られた作品だと思いました。安い駐車場を探したりお弁当を手配することと、真実の愛を哲学的に追求することは繋がっている...最後のほうの一節「芝居は発展し、さらなる情景を生み出してまた遠くへ過ぎ去ってしまう。繰り返しだ、後生大事に所有しておけるものなど一つもない。けれども、その運動を通して、皮膜の下の美しい風景のことを私たちは知っていく。」はとても印象的でした。
※そして、じつは今月10日(金曜日)の夜、下北沢の書店B&Bにて『饗宴』のイベントが開催されました。当初はもちろん末席から参加予定でしたが、諸般の事情で私が「空白の2日間」をつくってしまい、千木良さん、書店担当者様には最小限の連絡しかできないままドタキャンしたこと、あらためてお詫び申し上げます。
ありがたいような、狐につままれたような気持ちで、役者探し。前回公演に出演してくれたたにぐちいくこさん、寺田未来さん、安元遊香さんのほか、これまた畑仲間のダンサー坂田有妃子さん、ご近所住まいの女優の志甫真弓子さん等々、ひと夏の間にラインナップが決まっていった。男性陣はまず、私が週末にアルバイトしているゴールデン街のバー「ダーリン」の常連の映画俳優、川瀬陽太さんに出演交渉。バンドメンバーのジム・オルークさんと仕事してみたかったという理由もあって、快諾してくれた。加えて漫画家でありながら俳優経験も豊富な河井克夫さん、映画やCMなどで活躍中の俳優、阿部翔平さんにも出演依頼。河井さんは私が2012年の2月に上演したお笑いコントを気に入ってくれたようで、忙しいスケジュールの合間を見て稽古に参加しても良いならとのこと。阿部さんは私が2012年夏に脚本に関わったテレビ番組内のショートアニメ「ひみつのアッコちゃん」で声優をしてもらったご縁だった。
キャスト・スタッフが決まり出したら、次はチラシ制作。知人のスタイリスト岡崎イクコさんのアイディアで「フルーツの女体盛り」をやることに。これまたバー「ダーリン」の常連である、映画監督の杉田協士さんに「爽やかな女体盛りの写真を撮ってもらえませんか」とお願いすると、「女体盛りなんて柄じゃないけど、爽やかなのなら……」と乗り気に。モデルは出演女優の志甫真弓子さんにしたいと言うと、なんと二人は十年以上昔によく演劇や映画の撮影を一緒にしていた遊び仲間だったそうで、スムーズにことが運んだ。
ウィッチンケア第4号「SWANNY『饗宴』顚末記」(P082〜P089)より引用
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Vol.14 Coming! 20240401
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