2023/05/17

VOL.13寄稿者&作品紹介34 東間嶺さん

 前号(第12号)に続き、ウィッチンケア第13号でも戯曲スタイルの一篇を寄稿してくださった東間嶺さん。まず、なによりも長〜いタイトル(口にしちゃいけないって言われてることはだいたい口にしちゃいけない)のインパクトが大ですが、この文言、作品の主要“登場”人物である成田悠輔さんへのメッセージというか、成田さんの公式Twitterのプロフィール欄にある「口にしちゃいけないって言われてることは、だいたい正しい」をRemixしたもの。...反論ではないんですよね。成田さんは「〜だいたい正しい」で、本作のタイトルは「だいたい間違っている」ではないから、つまり「アナタ、口を慎みなさい」とは言っているけれども、成田さんの言う「正しい」には不問という、つまりモラリストとしてのアティチュードなのかな。むかし、プロレス好きな私(発行人)の友人が、「プロレスなんて八百長でしょ」と言った後輩に「オマエ、言っていいこととおもしろいことがあるぞ!」と諭していたのを思い出したりしました。


登場人物のなかで自分は誰に近いんだろう、といろいろ考えながら読みました。mmm、《サイゼリヤの店員》以外はどの人も微妙に「ヘンなやつ」に思える。《しかも四十代でABEMAかwwwwやべえwwww》と嘲笑する「乗客D(誤植で《乗客C》になっていました、陳謝1)」もその《wwww》が尋常じゃないし、「乗客B」の《このオッサンABEMAなんて見てんのか》(誤植で《ABEMAんて》...陳謝2)っていうモノローグも、これに対しては寄稿者・谷亜ヒロコさんの名言・「人のテレビの嗜好に意見しちゃダメ」を伝えたいし、さらに《マ、マジすか。モロ箕輪厚介じゃないですか》とテキストを打つ「ライターA」(ここの《ライターA》は太文字表記...陳謝3)の決めつけも、なあ。作者が物語のメリハリを付けるためにエキセントリックな人物をセレクトしているのだとは思いますが……あっ、自分に近しい作内ワードが見つかった。《B層》...。

原稿のやりとりのさい、作者とはDMでいくつか意見交換しました。それで気づいたのですが、私は作中の「ライターA」ほどには成田祐輔さんに悪い感情を持ってはいません。「編集者A」ほどにはオルグもされませんが、コロナ禍の2021年〜2022年のある時期、『Re:Hack(リハック)』はなかなかスリリングなプログラムだったと思っていますし、その後の成田さんの地上波テレビ進出も、見世物として面白かった。この感情は三浦瑠麗さんに対してもだいたい同じでして...時の流れは速くて、最近はもう成田さんも三浦さんもキャンセルされてしまったみたいですけれども、この二人すら登場しない地上波テレビを見ていて、ではいったいどこを見世物的に面白がればいいのか、と。


編集者A(の打つテキスト)
 おいB、あいつ最近大丈夫なのかよ? 工作がとか言って、なんか反ワクチンとかのYouTube動画ばっか観てんじゃないのか? 山本太郎とか支持してないだろうな。
編集者B(の打つテキスト)
 え? いやー? どうなんでしょう、私直(ちょく/原文はルビ)で担当でもないし、把握してないです。 
編集者A (の打つテキスト)
 だいたい、なんだよその成田の安楽死がどうこうって。成田って、あの変な眼鏡のABEMA出てるやつだろ? ○□の。
編集者B(の打つテキスト)
 えーっ? Aさん知らないんですか? ある意味それもやばい気が……。Twitterでめっちゃ叩かれてたじゃないですか。高齢者は集団自決しろ、安楽死の強制がこれからの重要なイシューだって、ヘラヘラ……。
編集者A(の打つテキスト)
 知らねーよ、そんなの。暇かよ、俺は。産休明けテレワークなお前とは違うわけで。Twitterとか見ないし。リンク送ってよ。
編集者B(の打つテキスト)
 えー、どれだっけ、いくつかあるんですけど、NewsPicksでホリエモンと話してるのとか……あ、これこれ、これですね。凄いタイトルだ……。『【成田悠輔×堀江貴文】高齢者は老害化する前に集団切腹すればいい? 成田氏の衝撃発言の真意とは』、『【成田悠輔】永久に語り継がれるであろう成田先生の魅了が詰まった神回【成田悠輔切り抜き/成田祐輔/ GLOBIS知見録/格差/テロ/分断/貧困/若者の貧困問題/エヴァンゲリオン/綾波レイ】』なんかこの種の切り抜きと、テキスト起こししてまとめてる人が沢山いますね。
編集者A(の打つテキスト)
 確かにタイトルやべえな。今観てみるわ。

〜ウィッチンケア第13号掲載〈口にしちゃいけないって言われてることはだいたい口にしちゃいけない〉より引用〜

東間嶺さん小誌バックナンバー掲載作品《辺境》の記憶〉(第5号)/〈ウィー・アー・ピーピング〉(第6号)/〈死んでいないわたしは(が)今日も他人〉(第7号&《note版ウィッチンケア文庫》)/〈生きてるだけのあなたは無理〉(第8号)/〈セイギのセイギのセイギのあなたは。〉(第9号)/〈パーフェクト・パーフェクト・パーフェクト・エブリデイ〉(第10号)/パーフェクト・インファクション──咳をしたら一人〉(第11号)/〈わたしのわたしのわたしの、あなた〉(第12号)


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