昨年12月に矢野利裕さんが上梓した『学校するからだ』(晶文社)。私も各所で評判を目にしていますが、ロングセラー化、そして、さらなる展開を予感させる1冊となっています。矢野さんは先月10日&17日には、SPOTIFYオリジナルのポッドキャスト番組・小泉今日子さんの「ホントのコイズミさん」に出演。教師になった動機にドラマ「GTO」があったこと、DJとして小泉さんとは誰か1人を介すと近しい人間関係だったこと、「走れメロス」の解釈の違いなど、話が弾んでいました。ネット上で見られる、小泉今日子さんとのツーショットでは、矢野さんの満面の笑顔が印象的。小泉さんからは『学校するからだ』をドラマ化してもおもしろいのでは、と言われたとのこと。Witchenkareの寄稿者では、たとえば朝井麻由美さんの『ソロ活女子のススメ』がドラマ化されて現在シリーズ3が好評放映中だし、矢野さんの同書での視点を活かした新しい学園ドラマなどできたら、きっと共感を呼ぶものになりそうです。
そんな矢野さんのウィッチンケア第13号への寄稿作は、時間的に『学校するからだ』に収めきれなかった逸話を扱った、「3年ぶりの合唱──『学校するからだ』のアナザーストーリーとして」。合唱コンクールの後日談、そして《お世話になっていた国語の先輩教員》について語られています。『学校するからだ』を読んだかたにはぜひこちらも読んでいただきたいし、また小誌で矢野さんのテキストに触れたかたには、ぜひ本家本元の同書に遡ってもらいたい、と強く思います。
VOL.13の巻末にある〈参加者のVOICE〉には、矢野さんからの《この場を借りて、本誌に御礼申し上げます》との言葉が。矢野さんは第7号からの寄稿者で、私はいつも「なんでも好きなことを書いてください」とお願いしていただけ。そんなちゃらんぽらんな依頼をきちんと引き受けてくださった矢野さんの中で、「学校」というテーマが芽生え、しっかりした編集者のもと大きく育ち1冊の本になったこと。こちらこそ「御礼申し上げます」でございます。きっかけ...「実験台」というか「着火点」というか、なにかそういうものに小誌がなれたこと、発行人として嬉しい限り!
「1年〇組がグランプリを獲った!」
グランプリというのは、高校/中学の全クラスのなかでもっともすぐれた合唱を披露したクラスに与えられる賞です。どうやら、この栄えある賞に3年クラスと1年クラスの2クラスがダブル受賞したとのことです。これまで3年生以外のクラスがグランプリを獲ったことはありません。それどころか、過去には「該当なし」という生徒にとって大ブーイングの結果が出たこともありました。それだけに3年クラスに加えて1年クラスがグランプリを獲ったことはたいへんな快挙なのです。
この一報とともに送られてきた1年〇組の合唱の動画を見てみると、自分でも驚くくらい感動してしまい、ぽろぽろと涙が出てきました。というのも、この動画のなかで歌っているのは、昨年まで担任を請け負っていた生徒たちだったからです。
彼らの学年は、1年生の合唱コンクールこそ経験したもののその直後の新型コロナウイルスの流行によって活動は大幅制限、以後、在学中に合唱コンクールをすることはありませんでした。
〜ウィッチンケア第13号掲載「3年ぶりの合唱──『学校するからだ』のアナザーストーリーとして」より引用〜
矢野利裕さん小誌バックナンバー掲載作品:〈詩的教育論(いとうせいこうに対する疑念から)〉(第7号)/〈先生するからだ論〉(第8号)/〈学校ポップスの誕生──アンジェラ・アキ以後を生きるわたしたち〉(第9号)/〈本当に分からなかったです。──発達障害と国語教育をめぐって〉(第10号))/〈資本主義リアリズムとコロナ禍の教育〉(第11号)/〈時代遅れの自意識〉第12号
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