2017/05/24

vol.8寄稿者&作品紹介25 谷亜ヒロコさん

短くもなく生きたせいでもう身動きとれねぇ...谷亜ヒロコさんの今号寄稿作を読んで、長らく見て見ぬふりをしていた悩み、ひさびさに向かい合わされました(泣笑)。主人公は<片付けるのが得意ではな>くて、さらに<物を捨てるのも得意ではない>と語る、齢<人生50年プラス2年>の既婚女性...(設定がリアルタイムと仮定して)逆算/時代考証してみました。1987年に22歳。その2年後、大納会の日経平均株価は3万8915円。<結婚して20年>とあるので、いまでいうアラサーで6歳年上のパートナーと新生活を始めた...あっ、なんか細かく詮索してすいません、主人公の<私>さま。でも、この世代の人が捨てる〝もう着れなくなっちゃった服〟は、ファストファッションのそれとは違うだろうな〜、と...いや、そういうのもポイポイ捨ててたのが、所謂バブラー?

<捨てる物は、そっと包んでから捨てている。一番大事な捨てる洋服は、カレンダーの紙。二番目は、カタログの紙で包む。その他の物は、透明でないレジ袋に入れている>...このヒエラルキー、きっと<私>なりの理屈があるんだと想像しましたが、それは愛着度なのだろうか、それとも、値段? よくわかりませんが、でも捨てるモノを丁寧に弔ってあげている<私>のやさしさには、ちょっとぐっときました。

失敗だった高い服、とか、ホントに困りますよね。なにしろ失敗なので、着て出かけられない。なのでべつに痛んだりせず、ずっとクローゼットにあって場所をとる。月日が流れても、そこにある。流行が変わり加齢により体型も変わり...日々の暮らしでクローゼットを開けるたびに「失敗です」と思い知らされて、ついに「オマエなんか私の視界から消え去れ!」となる...うちのクローゼットにも21世紀になって2、3回しか着てないダッフルコートあるんだが、どうしてくれよう。。。

ごくふつうの日常の話かと思っていたら、後半になって...いや、それは、ちょっと待って! という展開。他人事ではないと身が縮みましたが、しかし<夫>さまは夢にも思っていなかった? なんだか仲睦まじいご夫婦のようすが、一転!! 衝撃の顛末は、ぜひ小誌を手にとってお確かめください。



 捨て方の離れ業もある。旅行の時になかなか捨てられない下着を身につけて出かけ、持ってきた新しい下着と着替えて捨てるのだ。この場合もホテルの人の目を気にしていることも手伝って、何かに包んでから捨てている。万が一、包むものがなかった時のために、使い古しのカレンダーを持って行ったことすらある。なぜか海外など遠くへ行って捨てられた時ほど、快感だ。
 捨てにくい電化製品などの大物は、一度押し入れの奥になんでもぶち込むという方法を取っている。すると、存在を忘れて行き、何年かしたら捨てやすくなる。

ウィッチンケア第8号「捨てられない女」(P154〜P157)より引用
https://goo.gl/kzPJpT

谷亜ヒロコさん小誌バックナンバー掲載作品
今どきのオトコノコ」(第5号&《note版ウィッチンケア文庫》)/「よくテレビに出ていた私がAV女優になった理由」(第6号)/「夢は、OL〜カリスマドットコムに憧れて〜」(第7号)
http://amzn.to/1BeVT7Y

Vol.14 Coming! 20240401

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