今号に「穴を掘る人」を寄稿してくださった清和太一さんは、漫才コンビ・エルシャラカーニのツッコミ担当。芸能の仕事では<セイワ>さんと片仮名表記で活躍しており、「THE MANZAI」では 2011、12年に決勝進出。「笑点」「とんねるずのみなさんのおかげでした」等のテレビ番組にも出演しているので、ご存知の方も多いのでは、と。ちなみに寄稿作のタイトルは、コンビ名(清和さんのエジプト人の義兄の名に由来)の日本語訳です。
清和さんと初めてお会いしたさい、私は「芸人最強社会ニッポン」(著:太田省一)という本を持参しました。帯のコピーは刺激的ですが内容は丁寧な社会考察で、個人的にも「そうだなぁ」と思うところの多い本なので、お笑いコンビとして漫才のクオリティを大事にしている清和さんのような当事者が、どんな感想を抱くのか知りたいと思ったからです。...いや、べつに本の感想を、ということではなかったんですが。
作品内にはボケ担当・山本しろうさんの面白エピソードが満載...っていうか、山本さんはご本人が普通に振る舞っていても周囲からは破天荒に見られる...っていうか、つまりいわゆる天然ボケ系の漫才師。それは清和さんにとって強力な<笑いの武器>なのでしょうが、でも...。清和さんは山本さんについて<〝ベスト・パートナー〟なんてことは思わない。しかし他の人と組むというのも想像できない。不満を持ちながら、同時に頼ってもいるし>と記しています。ふと私の頭に浮かんだのはライヴで観たミック・ジャガーの、キース・リチャードとのツーショットでした。
私が持参した本のタイトルで使われている「芸人」という言葉。じつは清和さんは寄稿作内では、ほぼ「コンビ」「漫才師」という表現を使っていまして、ってことは、巷でよく使われているこの言葉、けっこう大雑把で曖昧な括りなのかも!? 清和さんにはぜひ「漫才」や「笑い」のこと、そしてご自身についても、もっと書いていただきたいと願います!
相方の名前は山本しろう。端的に言えば彼は「ダメ人間」で、可能な限り努力というものを回避し、人に怒られることからも逃げまくる小心者である。そのくせ頭が悪いのでミスは日常茶飯事。責任感にも乏しく、向上心もな……あ、いや、このへんにしておこう。とにかくそんな相方であるので、漫才のネタ作りは僕の仕事だ。ネタを練り上げる作業は二人で合わせながら行なうわけだが、そうしてさんざん練りに練ったにもかかわらず、彼は舞台上で必ずミスをする。もちろん僕はそうしたミスをフォローしながら漫才を進めていくわけだが、しろうは「ボケてからフリを言ってしまう」「〝何を言ってるかわからない〟体で言わなければならないボケのくだりを、間違え過ぎて逆に何を言ってるかわかってしまう」など、あまりにトリッキーなミスを繰り出すので油断ならないのだ。
ウィッチンケア第8号「穴を掘る人」(P014〜P018)より引用
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Vol.14 Coming! 20240401
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