2019/05/18

vol.10寄稿者&作品紹介15 ナカムラクニオさん

つい先日公開された資生堂の世界向けCM(ジャパニーズビューティーインスティチュート)では、古美術、金継ぎの器をご担当なさったナカムラクニオさん。茅島みずきさん(2004年生まれ!)の可愛ら美しさにうっとり、ですが、しかしナカムラさん、ご自身の活動拠点“メディア”である「6次元」をベースに、ほんとマルチな分野でお仕事をなさっていて(趣味でなく仕事になってるのがすごい)、いやぁ、6次元では2014年の夏には小誌の「半開き編集会議」、そして翌2015年の春には第6号の「試読会」も開かせていただいて...またなにか、おもしろそうなイベントをぜひ貴店でやらせてください! そうだ、ナカムラさんは元々はテレビマンでして、いつだったかの雑談にて、キャリアのかなり早い時期にフジテレビの深夜ドラマ「Tokyo 23区の女」(「東京二十三区女」とは別物)に関わっていらっしゃったと聞き、びっくりしたことも。じつは私もキャリアのかなり早い時期に同ドラマのノベライズを手がけたことがあって...まだいまのようにクレジットがアマゾンで検索できる時代ではなかったのですが(本のどこかには名前が載ってる)、そうか、あのころ「襖一枚隔てて」みたいな場所で仕事をしたかたから、いまはご寄稿いただいているのか、と感慨深し。

そんなナカムラさんの小誌今号寄稿作は〈断片小説 未来の本屋さん〉。これまでご寄稿いただいたものと比べると、「断片」とはいえ、かなり長尺な一篇です。近未来の話なんですが、古式ゆかしき読書家が読んだら腸捻転でも起こしかねない、ユーモアに満ちた作品。というか、紙の本の現状を冷静に捉えて、ひょっとしたらありえるかも、と感じられるセンを狙って多様な「未来の本のかたち」を登場させています。たとえば「食べられる本」とか「に....いや、いや、ぜひ小誌を手にとってお確かめください。とくに、物語の最後には有名作家による「未来の本」が出てきますが、シニカル! 私が大学生くらいまでの有名作家って、複数の編集者を自宅の応接間に待たせて書いている、ってイメージで、末端の読者にできることは書店で買うか、買わないか、を判断するだけだったのになぁ。

上のほうに書いた「Tokyo 23区の女」の原稿は、たしか東芝RUPOで書いてフロッピーを編集者に渡したはず。その数年前...平成が始まったころは、雑誌だと出版社の名前が入った原稿用紙に手書きして、深夜にファックスで送ってたし。いま手書きの原稿を取りにこさせるもの書きって、どのくらいいるのだろう(と書きつつ、小誌は「手書き原稿」の作品をこれまで数作掲載してます!)。なんにせよ、時代の流れなんてあっという間ですよ。



 開発した博士は「青色発光ダイオードに次ぐ世紀の発明」と賞賛され、ノーベル物理学賞を受賞し話題になった。食べられる本は、出版社にとってもうれしい存在だった。一ページでも口に入れられた食用本は、古本市場に出回らないため、いつも本が定価で売れた。発売当初は図書館で貸出し中、読者が間違えて食べてしまうという事故もたびたび起きたが、最近では、そんな話も少なくなった。さらに話題になったのは、今年のベストセラー『華氏451度』。ご存知の通りレイ・ブラッドベリによる焚書をテーマに描いたSF小説だ。それが、今年発売された新装版の『華氏451度』では、焼いて食べることができるというシニカルな本となっていた。そして、やはり世界的ベストセラーとなった。全米だけでなく、アジアでも歴史を塗り替えるような大ヒット。世界50カ国語で翻訳版が出版され、多くの人々の心とおなかの両方を満たすことに成功した。まさか、このSF小説が再び焼かれることによって注目されるとは誰も想像しなかっただろう。

ウィッチンケア第10号〈断片小説 未来の本屋さん〉(P088〜P092)より引用

ナカムラクニオさん小誌バックナンバー掲載作品
断片小説 La litt?rature fragmentaire(第7号/大六野礼子さんとの共作)/〈断片小説(第8号&《note版ウィッチンケア文庫)/〈断片小説〉(第9号)

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Vol.10 Coming! 20190401

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