2019/05/01

vol.10寄稿者&作品紹介01 朝井麻由美さん

ウィッチンケア第10号の正式発行とほぼ同時期(2019年3月18日)に、新著『ソロ活女子のススメ』を上梓した朝井麻由美さん。ウェブサイト「レッツエンジョイ東京」での連載がきっかけで生まれた同書には、その難易度を★で測った「オススメソロ活30選」が紹介されています。たとえば★ひとつには〈ひとり焼鳥〉〈ひとり牛丼屋〉etc.、★みっつでは〈ひとり気球〉etc.、そして★いつつとなると〈ひとり相撲〉や〈ひとりラブホ〉etc.と、...もう「ぜひ本を読んで確かめてください!」と言うべき「魅惑のおひとりさまワールド」が展開されているのですが、しかし、その朝井さん。寄稿作内で自らも書かれているように、近年は(執筆と比較しても格段に共同作業度が高いのでは、と思える)テレビやラジオへの出演機会が増えていて、この大型連休だけでも「アフター6ジャンクション」(5月2日/TBSラジオ)、「RADIO UnoZero」(5月3日/文化放送)、「二軒目どうする?」 (5月4日/テレビ東京)というお忙しさなのです。

そんな朝井さんに寄稿依頼したのは昨年の冬。そのときのやりとりで「次号ではテレビの内側を垣間見たさいに感じたことを」ということになり、どんな内容になるのか楽しみに待っていました。そして、平成の終わりに届いた、今回のエッセイ。テレビというメディアの時代錯誤な男社会体質についてもびしっと触れていますが、朝井さんらしい鋭さが光るのは、ミッキーマウスをたとえに出した、その後での考察です。「わかりやすく見せることにおいて、彼らはプロだ。」という一文でわかるように、テレビの現場で働く人への敬意をきちんと示しつつ、でもなぜそこが「昭和を生きたオッサンたちによる、おらが村を守りたい平成最後のユートピア」になっているのかを、自身の体験を交えて語っています。

じつは私、平成の前半には「スマスマ」「めちゃイケ」「エンタの神様」など、いくつかのテレビ番組のオフィシャル本制作に関わった経験がありまして、朝井さんの「彼らはプロだ」という言葉には共感しました。一視聴者としてなら、ながら見で「くだらねぇバラエティだなぁ」という感想をもってしまいそうなものでも、制作現場にはその「くだらなさ」を磨くために知力、気力、体力(魂も)を削っている人たちがいる。...でも、その結果としてできたものが、なんで世の中と乖離し始めちゃったんだろうか? 私はテレビが〈お茶の間の主役〉だった時代を知る人間ですが、そのテレビが〈選択されるメディアのひとつ〉になった時代の、朝井さんのテレビ論。ぜひ、小誌を手にとってご一読ください!



先日、ある番組の収録で、女性芸人さんが「ブスという役割を買って出ること」について語っていた。彼女によると、「司会者が答えありきでパスを回してくるから、私はブスというオチを担当しなければならないんです。それをオチにしておくとすべらないってわかっているから、どうしてもそういう扱いになるんですよね」とのことだ。ミッキーと同じなんだ、と思った。ディズニーランドでは、園内の別の場所で複数のミッキーが同時に存在してはならないという決まりがある。

ウィッチンケア第10号〈みんなミッキーマウス〉(P004〜P006)より引用

朝井麻由美さん小誌バックナンバー掲載作品
無駄。(第7号)/消えない儀式の向こう側(第8号)/〈恋人、というわけでもない〉(第9号)


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Vol.14 Coming! 20240401

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