2014/05/20

vol.5寄稿者&作品紹介21 木村重樹さん

世の中には知名度と必ずしも比例はしなくとも「名前そのものがインパクト」な人がいまして、ここ数日世の中を騒がせているあの有名人も、ピーガブ好きだったのかも(っうか悪い冗談/パクリ)。あっ、ピーガブとはPeter Gabrielの、日本の一部でだけ長く通用している愛称。一時期日本でも発音に近い「ピーター・ゲイブリル」と表記されるようになりましたが、やっぱりあの人は、私的には「ぴーがぶ」。14歳のときからファンです。

小誌にこれまで「私が通り過ぎていった“お店”たち」「更新期の〝オルタナ〟」「マジカル・プリンテッド・マター 、あるいは、70年代から覗く 『未来のミュージアム』」を寄稿してくださった木村重樹さんもまたピーガブファンでして、もう長く、知らない人が聞くと「なんの話?」ってな会話(固有名詞の普通名詞化!?)をしてきたような記憶がありますが、近年はピーガブの活性が落ちたせいか(そんなことはないと反論されそう)、なんだか昔話を懐かしんでいるような気分でもありますが、しかしそれはともかく、今回の木村さんの寄稿作は、寡作なピーガブがソロとして一番活動的だったころのアルバムに焦点をあてた論考です。

ピーガブのⅠ〜Ⅳって、1〜4という数字すらクレジットにはなく、私は数少ない「ピーガブ話ができる人」とのあいだでは「1枚目はさぁ〜」とか言ってました。名前のクレジットはpeter gabrielと小文字、ジャケットだけがどんどん過剰になっていき...(困ったことに小誌発行人は若いころこの人のこういう部分にものすごく感化されておりまして、その影響がWitchenkareにも...いやいや、いや)。

木村さんの作品内にもありますが、ピーガブは5枚目のアルバムに「So」という嫌々感丸出しのタイトルを付けまして(表ジャケはシール、裏に印刷がオリジナルかな...「P」と「G」は大文字!)、この言葉を私なりに訳してみると「ったくもうみんなクソなのにうるせーんでしょうがないからそれじゃそろそろ、さてさて、うひひ(寂しかった...)」みたいなところかな、と。ジャケ写も異例な「ふつうのいい男」で、同アルバムで1987年の「Grammy Award for Album of the Year」候補。私はリアルタイムで中継を見ていましたが、ピーガブがしおらしい顔でPaul SimonやSteve Winwoodと一緒に発表を待っているって、悪い冗談かと。でっ、その後いままでピーガブのピの字も口にしなかった人から「最近ピーター・ゲイブリルが良くてさぁ」とか言われて(以下略)。

 そんなジェネシス時代のオーヴァーアクトの反動なのか、77年のソロ・デビュー以降、彼が発表した4枚のアルバム・ジャケットは、全面を覆う象徴的な写真の片隅に、ただ「Peter Gabriel」とだけクレジットされ、それ以外の文字情報や説明が一切ない、なかなかコンセプチュアルな趣向がまた話題を呼んだ。

「他の連中はアルバムを出すたびに、また新しい顔を見せようとする。粉石鹸を売出すみたいにね。新成分WM7ときらめくような青い粒子を配合し、みたいなね。それよりは、前とそっくり同じタイトル、同じ字面、同じレイアウトにして、外見的には写真でしか違いが分からないようにするほうが数倍面白いと思ったんだ。年一回、ひとりのソングライターが発行する雑誌みたいなもんさ」(『ピーター・ガブリエル(正伝)』スペンサー・ブライド著、音楽之友社、1989年/172頁より)


「雑誌みたいなアルバム・カヴァー!」言い得て妙だし、この種の反骨精神はロックの原初的な精神性を担保するものでもあるのだが、流通販売の段階で商品名がまるっきり区別できないタイトルが3つも4つも存在するのは、とてもとても難儀なことだ。というか傍迷惑だ。結果として、『Ⅰ(Car)』(77年)、『Ⅱ(Scratch)』(78年)、『Ⅲ(Melt)』(80年)、『Ⅳ(Security)』(82年)とナンバリング、もしくはジャケット・デザインを連想させるような〝渾名〟がつけられることで、一連の作品=商品は区別されるようになったわけだが、個人的にはこれらの(ちょうどパンク/ニューウェーヴの隆盛期に)発表されたPGの初期ソロ群は、彼の長い長い音楽キャリアのなかでも格別に思い入れの詰まった作品ばかりだ。
 タイトルは不変だが、プロデューサーは全部違っている。『Ⅰ』は、キッスの『Destroyer』(76年)からピンク・フロイドの『ザ・ウォール』(79
年)までを手がけてきた、大仰かつドラマティックな演出で際立った手腕を見せるボブ・エズリン。『Ⅱ』は、74年にキング・クリムゾンの活動を停止してから81年の再始動まで、ニューヨークのニューウェーヴ・シーンに傾倒していた頃のロバート・フリップ。『Ⅲ』は、ゲート・リヴァーブと呼ばれる独特のドラム・サウンドの開発で一世を風靡したスティーヴ・リリーホワイト。『Ⅳ』は、シンセサイザー奏者でもあるデヴィッド・ロードとPG自身。


ウィッチンケア第5号<ピーター・ガブリエルの「雑誌みたいなアルバム」4枚:雑感>(P0150〜P154)より引用
http://yoichijerry.tumblr.com/post/80146586204/witchenkare-5-2014-4-1

Vol.9 Coming! 20180401

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