2021/05/05

volume 11寄稿者&作品紹介05朝井麻由美さん

 現在放映中のテレビドラマ「ソロ活女子のススメ」(テレビ東京)の原作者・朝井麻由美さん。テレビ版では江口のりこ扮する《「ダイジェスト出版」編集部の契約社員・五月女恵》が、毎回ソロ活の奥義を実践していまして、私も楽しく観ています...いや、楽しく、だけじゃなくいろいろ勉強させてもらってます、かな。そうか〜、最近の水族館やプラネタリウムやラブホってこんな感じなのか、とか、なるほどある程度年齢がいってからの女子会ってのは諸々気遣うことも多いのか、とか。思い返せば、原作である「ソロ活女子のススメ」(大和書房)が小誌前号(第10号)発行直前の2019年3月18日に出て、ドラマ版のスタートが小誌今号発行直後の2021年4月3日と、不思議な巡り合わせのタイミングが続きました(朝井さんの活躍にあやかりたいです、小誌)。それにしてもドラマ版、江口のりこが哲学的(!?)な佇まいで絶妙なキャスティング。いまちょっと、東京メトロな感じの石原さとみではどうなんだろう、と想像してみたけれど、なんかすごく違いそうなので想像するの即止めた。

前号への寄稿作〈みんなミッキーマウス〉は平成の終わりにふさわしいエッセイでしたが、今回の〈ユカちゃんの独白〉は掌編小説。主人公の「あたし」ことユカちゃん、冒頭から思いっ切りネガティヴで不機嫌。なんだか昨日の朝日新聞に掲載されていた『「反出生主義」私たちへの問い』という記事にも通じるような。とにかく、怒ってます。ユカちゃんが暮らす世界と私の認識している現実とのあいだには事実関係で微妙なズレがあるように読めますが、彼女がなんで怒っているのか、その気分は共有できるんです。じつは私、まぎれもない昭和男子のなれの果て、バブル期の雑誌でちゃらいこと書いてた世代。だからよけいに感じるのかもしれないんですけれども、もう「森喜朗さん的なるもの」で日本内のあれこれを仕切る(←この言葉、前世紀は「リーダーシップ」みたいなポジティヴな響きがあったような記憶...)の、やめないと立ちゆかないよ、と。

作中、「山本さん」に対して〝ガッカリ〟と表明しているあたりのユカちゃんの心の揺れは、なかなか複雑で一筋縄ではいかないと感じました(「二本の線」という比喩も出てくる)。「反射的にページをリロードして消しちゃったことがある」...って、かなり正直な心境の吐露なんじゃないかな。このへんの「人の心のありよう」について、ぜひ本作を読んだかたの感想など伺ってみたいものです。



80歳だから、何? 年齢を重ねているとどんなひどい発言をしても許される法律とか、あったっけ? 80歳の人が生きてきて、見てきたものは違うから、という論理はまあわかる。でも、そこらへんを歩いている80歳のじいさんが言うのと、日本の代表である首相が言うのとでは、全然わけが違う。別に、そこらへんを歩いている80歳のじいさんが言っててもムカつくけどね? そいつらのために年金払ってて、あたしが80歳になる頃には年金もらえないんでしょ? やってられない。

ウィッチンケア第11号〈ユカちゃんの独白〉(P028〜P030)より引用

朝井麻由美さん小誌バックナンバー掲載作品:〈無駄。〉(第7号)/〈消えない儀式の向こう側〉(第8号)/〈恋人、というわけでもない〉(第9号)/〈みんなミッキーマウス〉(第10号)

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Vol.14 Coming! 20240401

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