2019/05/20

vol.10寄稿者&作品紹介20 谷亜ヒロコさん

作詞家、ライターとして活躍する谷亜ヒロコさん。今年になってからは妖艶なコスプレイヤー・LeChatさんのニューアルバム「Nouvelle lune」の1曲目(朔)&ラスト曲(アイリス)、また拙宅からクルマで20分のところにもある日帰り温泉「万葉の湯」のCM曲にもに詞を提供していたりして、びっくり! 同施設のストーリー仕立てCMは映画館でも流れているようなので、みなさまぜひぜひ、ご注目ください! そんな谷亜さんの小誌今号への寄稿作は、前号寄稿作に引き続き私小説チックではあるものの、どこまでがほんとうかどうかわからない、ウソかマコトか的な魅力のある一篇です。

主人公の「私」は一人旅でウラジオストクへと。帰路、空港カウンターに並んでいると「25年ぐらい前の友達マキちゃん」に似た人を見かけて...このマキちゃんに対する「私」の関心の持ち方が、なんかちょっと意地悪な書きっぷりで笑ってしまいます。そういえば、谷亜さんの小説には恋愛話よりも友達話がよく出てくる、という印象があったので遡ってみたら、前作に登場したミノリとのやりとりも壮絶でした。そうだ、前作の紹介文で私は〈(そこに参加して他の「友達」に)友達だと思われたくない〉という心理に戦慄して書き残していたのであった。。このへんの、女子同士の友達関係って、なかなか摩訶不思議なものがあるなぁ。谷亜さんは巧みな表現でちょっと露悪的に茶化しているけど、単細胞男子には窺い知れない諸々があるのでしょうか? 私は縁がないが、いわゆるリア充とかパリピとかインスタ映えとかLINEグループとか、そういうところって楽しそうだけど強いメンタルも必要なのかもしれない...って、作品冒頭でのエピソードに考え込んでしまって、どうする!?

今作〈ウラジオストクと養命酒〉での「私」は、ちょっとアブナイのです。機内で出会った年下の男に「ナンパされてもいいかな〜」なんて思っている。マキちゃんには「良かったよ、特に会いたいわけでもなかった人と話さずに済んで」だったのに。あっ、でも、この作品が「浮ついた妙齢女子のバカンス話」ではないことは、「私」が旅に出ると決めた動機が明らかになることでわかります...物語の半ばで、母の死について、あるエピソードとともに簡潔に記される。なるほど、だからマキちゃんにいろいろ詮索されたくなくて...なるほど。さて、それでは年下男と「私」との恋の行方は!? ぜひ小誌を手にとってお楽しみください!



「成田から東京行きのバスが1000円という安さで楽チンですよ」と教えたのを彼はスマホで調べていた。私はそれだけでなく「ウラジオストクのこの博物館は元々日本の銀行だった建物だったんですよ」とも教えてあげた。彼は素直に「えーそうだったんだ、知らなかった」と言うので、なんだかとても嬉しかった。
 あぁ私は恋に落ちるだろう。かなり年下だが、それぐらいの子と付き合ったこともあるから大丈夫。私はきっと連絡先を聞かれる。そして色々なことが始まる。飛行機が飛んでいる空に鼻歌を撒き散らしたい気分になった。予定より早く2時間ちょうどで成田に到着。
 さぁくるぞくるぞ。飛行機が止まる。扉が空いてないが、誰より早く外へ飛び出そうとする人たちで通路は埋まる。まずロシア人美女が立った。

ウィッチンケア第10号〈ウラジオストクと養命酒〉(P126〜P130)より引用

谷亜ヒロコさん小誌バックナンバー掲載作品今どきのオトコノコ(第5号&《note版ウィッチンケア文庫》)/よくテレビに出ていた私がAV女優になった理由(第6号)/夢は、OL〜カリスマドットコムに憧れて〜(第7号)/捨てられない女(第8号)/〈冬でもフラペチーノ〉(第9号)

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Vol.11 Coming! 20210401

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