2019/05/04

vol.10寄稿者&作品紹介04 武田砂鉄さん

今年2月には 『紋切型社会』が文庫化、3月には『往復書簡 無目的な思索の応答』(又吉直樹との共著)が発売された武田砂鉄さん。最近はラジオでのお話を聞くことも多く、なんと、4月からはTBSラジオの新番組「ACTION」の金曜パーソナリティーを務めていまして...いやぁ、前任者・荒川強啓さんの「デイ・キャッチ!」は長く聞いていたので、そうか、あの宮台センセイの曜日を引き継いだのか、と感慨深くリスニングしています! ...そうだ、武田さんとは昨年末にBUNKAMURAオーチャードホールでのキング・クリムゾン公演でもお目にかかって、きっと次にメディア露出するときには、このコンサートでゲットしたTシャツを着るんだろうな、と思ったりしたんだっけ(その後、お原稿やりとりのさいに3公演観たと伺い、ご多忙そうなのに凄ぇ、と/私は1回こっきりさん)。

武田さんの今号への寄稿作は〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉。あれっ、前号でも同タイトルの...いやいや、前々号ですでにpeter gabrielのアルバムのよう、と予言(!?)していましたが、まさにそのような展開になっています。あ、でも今作での漆原CEOは(相変わらず脳血管が複雑骨折しそうなおもしろさながらも)、ちょっとわかりやすい...というか一貫して筋の通った話をしているように感じられます。「アンパンマン」のバタコさんに託して、自身が中学生だったころの合唱祭の思い出を語る箇所なんて、とても真っ当。こんな素の姿を知ったうえで、あらためて漆原CEOのこれまでの作品でのちんぷんかんぷんな発言を思い返すと、なんだか武田さんは「経済活動」とか「経営者」とかいうものが内包する滑稽さを見据えて、この連作を書いているのかもと感じました。思い出したのは、私がかつて勤めていた会社の社長の“名言”。「エスキモーに氷を売れ」、でして、そのころの私は右も左もわからず「仕事とはそういうものだ」と自分を納得させようとしてたけれど、でも心のどこかで「なんでそんなことしなきゃいけないんだ」とも思っていた(けっきょく3年も続けられず辞めた)。

作品内のインタビュー実施日は2019年2月8日。そろそろ3ヶ月が経とうとしているこの国の大型連休は、平成の振り返りと新元号&新天皇のことばかりをメディアが取り上げていまして、令和が発表される少しまえ、武田さんが津田大介さんとのJAM The Worldでの対談で喋っていた「新元号など関係なく5月6月を淡々と乗りきっていきたい」という言葉が頭を過ぎります。みなさま、他媒体ではなかなか読めない武田さんの超変化球作品を、ぜひ小誌でお楽しみください!



〜前略〜バタコさんはあのパン工場に住み込みで働いている。たまの休みにもさほど出かけるところはないから、クッキー作りをして、そのクッキーを配り歩いたりしている。これじゃ休んでいないに等しい。バタコさん自身はそれで構わないと思っているようだけど、この働き方ってのは、見直されるべきではないかと思う。そして、何より、ばいきんまんとの戦いで弱ってしまったアンパンマンの顔を取り替えるのが誰かと言えば……。
──バタコさんですね。
漆 そうなんだよ。すべて、ってわけではないけどね。つまり、バタコさんというのは、あの物語の生命線と言っていい。危機対応をバタコさんが担っている。これは別に、バタコさんについて詳しく調べなくても、通常の放送回を何本か見ればわかることだ。でも、彼女へのリスペクトを向ける人、憧れる人が少ない。一体、カバおが何をしたっていうのか。

ウィッチンケア第10号〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉(P020〜P025)より引用

武田砂鉄さん小誌バックナンバー掲載作品
キレなかったけど、キレたかもしれなかった〉(第6号)/〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉(第7号)/〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉(第8号)/〈クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー〉(第9号)

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Vol.11 Coming! 20210401

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