前号への寄稿作では走ることのおもしろさ、走るようになったことで変わった自分についての作品を寄稿してくださった友田聡さん。個人的にも長いおつきあいですが、私の立ち位置からすると「友田さんって変わり続ける人だなぁ」という印象があります。いや、人としての根っこはずっと同じなんですが、つねに好奇心旺盛で、生活スタイルが変わることを怖れずむしろ楽しんでいるような。ときどき、パッと見も変わっていたり(笑)。走り始めてからの友田さんは、ぐっと精悍になりました。私なんか20歳から身長も体重も一緒。着るものも食べるものもほとんど一緒。ただFAX送受信回数を重ねた書類のように劣化しているだけで。
そんな友田さんの今号寄稿作は、生活が変化するきっかけのひとつとなった、中国での体験が語られています。<上海万博を翌年に控えた二〇〇九年。初春から初冬までの九カ月間、上海の街で暮らした>。日本を離れたことで、日本にいると形骸化してしまったように思えた「節句」の意味を再認識した...もちろん、節句は「旧暦」で感じてほしい、と。そうすれば<季節の移ろいがより写実的になって、江戸の頃の粋な遊び心が見えてくるに違いない>、と。
寄稿作の冒頭、友田さんにしては辛口の記述にびっくり。<ホント気をつけていないと、囃され、踊らされ、いろいろ買わされてしまう。いつの頃からだろう。日本にこんなにも行事が多くなったのか>。本質、突いてますね。とくに、<買わされてしまう>...売りたい側が口実を欲しているのですから。じつは私は数年前の誕生日あたりに通販でパンツを買ったのですが、そのパンツ屋さん、次の誕生日が近づくと必ずDMで「お客様のお誕生日を記念して、さらに1000ポイントプレゼントします(ここで買わないと、たまったポイントは失効します)」とお知らせをくれて、ついつい買い続けていまして。現行のこどもの日も、母の日も父の日も敬老の日も、まあ、俺のパンツの日と変わらない、と言ったら乱暴過ぎる!?
中国の端午の節句に食べた「ちまき」の話がひときわ印象的でした。あちらではお菓子系から御飯系までバラエティ豊かなようで...日本の団子やお稲荷さんみたいなもの、と想像すればいいのでしょうか。なかでも<角煮と塩卵の黄身が入った蛋黄肉粽>というのが、すごくおいしそう。今年の旧暦端午の節句は6月20日なので、中華街など訪ねてみると、本場モンのちまきが味わえるかも、みたいですよ! みなさま、ぜひぜひ。
あれから六年。その記憶の鮮やかさは色褪せてはいない。でもいつまでも、というわけにはいかないだろうから、覚えているうちに書き残しておくことにしよう。
当時の上海は、万博に向けて急ピッチで交通インフラなどの整備や街の美化、再開発が繰り広げられていた。下町風情のある古い町並みは、続々と建つ高層住宅や近代的なビル群の谷間へと追いやられてゆく。それでも人々の暮らしは逞しく、綿々と続いていた。
近代化を急ぐ経済大国の中国では、もちろん世界共通のグレゴリー暦が使われている。それでも、祝日の多くは伝統的な行事。それらは、太陰太陽暦の「農暦」、日本で言うところの「旧暦」で決められている。「三大伝統祝日」とされている、お正月の「春節」、五節句の「端午節」、名月の「中秋節」は、どれも農暦で決められ、その日は毎年変動する。その中で、一番インパクトが強かったのは「端午節」だった。
ウィッチンケア第6号『中国「端午節」の思い出』(P146〜P149)より引用
http://yoichijerry.tumblr.com/post/115274087373/6-2015-4-1
cf.
「暮らしのリズム」/「ときどき旧暦な暮らし」/「手前味噌にてございます」/「東京リトルマンハッタン」/「走れ、天の邪鬼」
Vol.14 Coming! 20240401
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