2015/05/15

vol.6寄稿者&作品紹介20 木村重樹さん

編集者/ライターとしてだけでなく、和光大学総合文化学科で「編集論」の教鞭も執っている木村重樹さん。最近は専門分野の一環(!?)としてBABYMETALや『劇場版BiSキャノンボール2014』なども研究対象とされているようでして...mmm、このあたりは私、You Tubeで断片をチラ見したことしかない(そもそも「えっ!? BiSって『New Transistor Heroes』のbisとは別物なの?」ってレベルなので、すいません)。...それにしても、今回木村さんから〝家出娘たち〟=ランナウェイズについてのご寄稿をいただけるとは、感慨深かったです。

40年前のランナウェイズ、ほんの1、2年ですが有名だったと思います。どのくらいかというと、高校のクラスで誰かが突然「ch-ch-ch-cherry bomb! /ちちちちちちちちちぇり〜ぼんぶ(当時は「ぶ」でOK)」とふざけたら、たぶんほぼ全員、意味がわかったと思う。その浸透度はいまの「ラッスンゴレライ」と比較するとどうなのか...当時、洋楽の影響力はびっくりするほど大きくて、私はランナウェイズのレコード買わなかったけど、O君が持ってたな。家に遊びにいったら、スコーピオンズの「狂熱の蠍団〜ヴァージン・キラー」とUFOの「フォース・イット」もあった。いま「Uptown Funk」聞いてる中高生って、クラスに何人くらいいるんだか。

木村さんも<現役時代はほぼ無関心だったわたくし>と仰っていまして、でも2014年の映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の挿入歌として<遅ればせながらその良さに開眼>した、と。おそらく当時の木村先生も私も「本物のロックとはなにか?」なんて生真面目に考えるタイプであったと想像できますので、あのケバさというかキワモノ感というかでっちあげ気味というかインチキっぽさはToo Muchだったんだと思います。むしろ目覚めと安らぎを「私は昇る〜、私は降りる〜」なんて誤訳口ずさみしているような...(意味不明)。

寄稿作内で唯一とも言える音楽的な記述は、<「チチチチチチ……」という吃音(きつおん)じみたサビのフレーズはクローズ・ハイハットの刻みを模倣し、一度聞いたら忘れられない>かな。それ以外はじつに芸能界っぽいお話でして、ホロリとくる逸話も。木村さんは年齢とともにロックのこういう部分も含め、総合的に音楽を研究していらっしゃるのだと思いました。後日SNSで<「女だらけバンドの嚆矢、ランナウェィズ」なんて大雑把な記述でお茶を濁しましたが、70s以前=60sの女性バンドの系譜についてはこちらが詳しい>とさらに深掘りしているし...さすが、学者さんです。


 余談だけど、アメリカで2004年に公開されたドキュメンタリー映画『Edgeplay』(日本未公開)もまたランナウェイズの内紛をテーマにした作品で、キムと元メンバー一同が往年の鬱憤をカメラにぶちまける。ところがジョーンだけはそこに加わらず、彼女が手がけたランナウェイズの曲は一切使用が許されなかった。
 かように元メンバー間の溝は深く、当時の遺恨が晴れるまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。が、そうこうしているうちに、サンディ・ウェストが2006年に肺がんで死去。オリジナルメンバーによる再結成の夢はついぞ潰えた。さらに追い打ちをかけるように2015年1月15日にキム・フォーリーの訃報がネットニュースで伝えられた。最晩年の彼の世話をし、その最期を看取ったのがシェリー・カーリーその人だったという「ちょっといい話」もなくはないのだが……。


ウィッチンケア第6号「40年後の〝家出娘たち〟」(P120〜P125)より引用
http://yoichijerry.tumblr.com/post/115274087373/6-2015-4-1

cf.
私が通り過ぎていった〝お店〟たち」/「更新期の〝オルタナ〟」/『マジカル・プリンテッド・マター 、あるいは、70年代から覗く 「未来のミュージアム」』/『ピーター・ガブリエルの「雑誌みたいなアルバム」4枚:雑感


Vol.14 Coming! 20240401

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