2018/06/01

ウィッチンケア第9号のまとめ

ウィッチンケア第9号(Witchenkare vol.9)


★寄稿者34名の書き下ろし作品を掲載した文芸創作誌

発行日:2018年4月1日
出版者(not社):yoichijerry(よいちじぇりー)
A5判:222ページ/定価 1,000円(+税)
ISBN: 978-4-86538-068-2 C0095 ¥1000E

【公式SNS】
https://twitter.com/Witchenkare

※下記URLにて小誌の内容がノベライズ形式のダイジェストで読めます。

CONTENTS

002……目次
218……参加者のプロフィール
222……奥付

※ここまでの、これまでとこれから(第9号編集後記)

編集/発行:多田洋一
アートディレクション:吉永昌生
校正/組版:大西寿男 伊与田麻理萌
写真:菅野恒平
※小誌は全国の主要書店でお取り扱い可能/お買い求めいただけます(見つからない場合は上記ISBNナンバーでお問い合わせください)。

★【書店関係の皆様へ】ウィッチンケアは(株)JRCを介して全国の書店で取り扱い可能。最新号だけでなくBNも下記URLで注文できます。
※BNも含めamazonでも発売中!
http://amzn.to/1BeVT7Y

【イベントのお知らせ】
※第9号発行を記念して、以下のイベントを開催します。ふるってご参加ください!





ウィッチンケアのM&Lな夕べ 〜第9号発行記念イベント〜

日程:2018年6月14日(木曜日)
会場:LOFT9 Shibuya
Open 18:00/Start 19:00
チケット:前売り2,500円/当日3,000円
      (税込・ドリンク別途)
          ※参加者にはウィッチンケア第9号、
            または在庫のあるBNをもれなく1冊進呈!

トークセッション……「ウィッチンケア第9号、私はこう読んだ!」
登壇者:仲俣暁生 かとうちあき 多田洋一(発行人)

DJタイム……寄稿者が選曲した音楽でenjoy!
DJとして登場するのは……

鳴り物タイム……生アトラクション/誰が登場するかは当日のお楽しみ!

★総合音楽プロデュース:木村重樹



※LOFT9 Shibuya告知ページ
※チケット購入はコチラ

※Facebookイベントページ

※お問い合わせ
本ブログのメールフォームからでも、下記公式サイトからでもお気軽に!


2018/05/31

ここまでの、これまでとこれから(第9号編集後記)

昨年の「目眩く未来はほんと?」を踏襲して、5月最後の日には今年も、編集後記的な雑感を。前号(第8号)は長谷川町蔵さんの「あたしたちの未来はきっと」、久保憲司さんの「スキゾマニア」という、小誌への掲載作をベースにした2冊の本が生まれた流れで正式発行日を迎えました。今号は、じつは昨年末、寄稿者の仲俣暁生さんと木村重樹さんからアドバイスをいただき、来月14日にイベントを開こうと決めまして、現在それに向けて準備を進めています。これまで誌面でしか知らなかった人たちがリアルな場に集って...どなたでも参加大歓迎の〝出会い系〟企画ですので、ぜひいらっしゃってください!

ウィッチンケアのM&Lな夕べ 〜第9号発行記念イベント〜

日程:2018年6月14日(木曜日)
会場:LOFT9 Shibuya
Open 18:00/Start 19:00
チケット:前売り2,500円/当日3,000円
      (税込・ドリンク別途)
          ※参加者にはウィッチンケア第9号、
            または在庫のあるBNをもれなく1冊進呈!

トークセッション……「ウィッチンケア第9号、私はこう読んだ!」
登壇者:仲俣暁生 かとうちあき 多田洋一(発行人)

DJタイム……寄稿者が選曲した音楽でenjoy!
DJとして登場するのは……
武田徹 長谷川町蔵 小川たまか 矢野利裕

鳴り物タイム……生アトラクション/誰が登場するかは当日のお楽しみ!

★総合音楽プロデュース:木村重樹

※LOFT9 Shibuya告知ページ
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft9/87121
※チケット購入はコチラ

※Facebookイベントページ
https://www.facebook.com/events/863964613811696/

※お問い合わせ
本ブログのメールフォームからでも、下記公式サイトからでもお気軽に!
twitter.com/Witchenkare
https://www.facebook.com/Witchenkare



さて、第9号でも新たな参加者が(掲載順に、菅野恒平さん《写真》/宮崎智之さん/柴那典さん/長田果純さん/西田亮介さん/久山めぐみさん)。これまでの小誌にはなかったタイプの作品、ぜひお楽しみください。そして、ロゴ、表紙、レイアウトもリニューアル。それでも、継続するべき点は変えていないので...みなさま、どんな印象を持たれているのでしょうか?

...そうだ。小誌ページ内では目立たない(←なにしろわざわざインクを薄くしてる)ながら重要な役割を担っている表2と表3について。じつは、ここには各寄稿作のエッセンスともいえる文章が、掲載順と逆に抜粋/羅列してあります。もし小誌に帯を巻けるなら、そこに載せたいようなフレーズ。画像を貼ろうか? いや、今回はテキストを貼り付けます。このなかでひとつでもピンときたものがあれば、ぜひ本篇を読んでみてくださいね!

【表2】words@works1/2
きみはベッドの上でその一部始終を想像している(P216)
意味を盗まれた?(P206)
俺は最新トレンドが生き甲斐(P202)
四十過ぎても非正規の負け犬バカに権利とかないから(P194)
芥川賞作家の町田康さんの文章を書きうつしてみる(P188)
とはいえ、ウィルソンと澁澤(P184)
「カフェテラス本郷」や老舗の「近江屋洋菓子店」など(P180)
近眼のままただ焦点が合わなくなった(P175)
かりあげ君(P171)
奇しくもジョン・ゾーン以前からポストモダニズムと(P163)
神代のインモラル、魔境は彼方にあるものではない(P158)
友達に本田翼に似てるって言われちゃった(P150)
自称ミュージシャンの男(P143)
西荻窪と吉祥寺の間は1駅だけで(P135)
この地上で、私は買い出しほど、好きな仕事はない(P132)
よければ最高のレバ刺し、お出ししますよ(P120)
ガイネンとかどうでもいいし(P119)

【表3】words@works2/2
烏丸御池のすぐ側に「新風館」という複合商業施設(P108)
なぜ「共同幻想」というのか(P102)
エアコンのリモコンが行方不明(P99)
「私なんかこれだけですよ、これだけ」とまくしたてる(P92)
漆原さんには「エモさ」が足りません(P86)
えびの数だけ幸せに(P73)
この「いつの時代も」という一語は、決定的に重要だ(P69)
ふつうは男友だちと遊ばないでしょう(P63)
何者でもないうちに知り合いを作るという投資的な考え方(P58)
西谷祥子の『飛んでゆく雲』(P54)
闇夜のサッカーも全然問題ない(P48)
キスによって生気が奪われ死ぬというパターン(P41)
ミサコがパリの映画好きだったわ(P37)
私は散歩に目覚めてしまった(P31)
ケンちゃん!(P25)
踊ったらどうだい? そう皮肉げに告げた(P15)
35歳のぼくは「子ども」ではなくなった(P7)

と、すっかり文字が多くなってしまいました。やっぱり、最後に1曲。いまの時期だとこれ...神風特攻隊みたいなハラスメントは、もうたくさん! 




2018/05/29

vol.9寄稿者&作品紹介34 我妻俊樹さん

コンスタントに新作を発表し続けている我妻俊樹さん。今年1月には「忌印恐怖譚 くちけむり 」(竹書房文庫)が刊行、またWeb光文社文庫のSSスタジアムでも順調に掌編を連載しています。小誌でも創刊号からずっと、書き下ろし作品を寄稿くださっていて...これらを本のかたちにまとめて世の中に出したい、と私は常々願っているのです。作者自身がメディアに登場することはあまりないが、作品は確実に積み重なっている。とくに小誌での掲載作品は実験的な要素も多くて、「ホラー作品」「怪奇小説」といったジャンルでは括りきれない、まさに我妻ワールド。これが小誌各号でばらばらにしか読めないのは、ちょっともったいない状況だと思います。

我妻さんの今号への寄稿作には、なぜか寿司が頻出します。いや、べつに寿司職人が主人公とか、あるいは江戸前寿司の歴史が語られているとか、そういうことではないのですが、作品を読んでいて引っかかってくるのは、なぜか寿司。たとえば、冒頭からして<夜は最初から頭の中で考えていたことだった。電車を降りたら寿司屋に寄ること。どんな寿司屋でもかまわない。きっと回転寿司の、それも一皿百八円だとわかっている店に入ることは、容易に想像できる。だからというわけではないが、あえてどんな寿司屋でもいいことにした>...。

他にも、<電車を降りたら、まっすぐどこかの通りを行けばあるだろう、寿司屋。日本はもうすぐ、寿司屋のコンベアがつながって一周する国になろうとしている><寿司屋は無数の点として、線でつながれるのを待っている><夢の中でわたしたちは寿司は川を渡るのだと知った。橋の欄干がベルトコンベアで、そこにうっかり手を置くと寿司をつかんでしまう。つかんだ寿司をレーンにもどしてはいけない。マナーを子供たちにしっかりと伝えたい。心から心へ>...。

そして極めつけの寿司シーンは、終盤に差し掛かるところでの...<わたしの子供時代は、回転寿司のない時代である。今ではコンビニへ行くのにコンベアをくぐっていく。地面に這いつくばって。コンビニで、握り寿司を買って帰ってくる。コンベアのうに軍艦をとびこえる。寿司が寿司をよぎる>。なんだか寿司に惑わされて、作品の本質を私は見誤っているかもしれませぬ。みなさま、ぜひ小誌を入手して、この一篇の本質を究明してみてください!



十一月の終わりだったと思う。夜にはおにぎりが余り、冷え切っていった。凍ったわけでもないのに、硬くて歯が立たなかった。つめたさをそう感じたのかもしれない。近所のスーパーは二十二時閉店だから二十時頃に出かけ、パック寿司を漁ろうとしている。太巻きや鉄火巻き、かっぱ巻きなどは、空腹や頭痛は見過ごされて、冷蔵ケースに余っており、いなり寿司は最後の一個で、迷っているうちに女が持ち去り、それらは全部二十パーセント引きだった。握り寿司は何のシールも貼られていない。そんな! あの夜中のおにぎりの石のような拒絶、みたいな人が時々そばに立っている。友達でも家族でもない、そういう人ににらまれて手を伸ばすと、また空腹は見過ごされ、ペットボトルのコーラは大きすぎるものを買った。残して気の抜けたそれを風呂場に流すのが好きだ。

ウィッチンケア第9号「光が歩くと思ったんだもの」(P212〜P216)より引用
goo.gl/QfxPxf

我妻俊樹さん小誌バックナンバー掲載作品
雨傘は雨の生徒」(第1号)/「腐葉土の底」(第2号&《note版ウィッチンケア文庫》)/「たたずんだり」(第3号)/「裸足の愛」(第4号)/「インテリ絶体絶命」(第5号)/「イルミネ」(第6号)/「宇宙人は存在する」(第7号)/「お尻の隠れる音楽」(第8号)

http://amzn.to/1BeVT7Y

2018/05/28

vol.9寄稿者&作品紹介33 ナカムラクニオさん

ナカムラクニオさんの断片小説...小誌第7号では日本語&フランス語での掲載、第8号では日本語のみ、そして最新となる第9号では、日本語&英語による作品の掲載となりました。じつは今号を制作しながら実感したのですが、たとえば表紙を始めすべての写真をご提供くださった菅野恒平さんも、「八春秋」をご寄稿くださった写真家・長田果純さんも、公式サイトではそれぞれ<Kohey Kanno><OSADA KASUMI>とアルファベット表記でして、世界への窓が開いている。...ヴィジュアル(や音楽etc.)の「言葉を越えていく力」は羨ましいな、なんて思っていたら、ナカムラさんから届いた作品もまた、ワールドワイド仕様。いやぁ、そんな時代なのかもしれない、と。

今回の掲載作品は3篇で、タイトルには「意味」「夢」「地図」という、かなにすると2文字の言葉が含まれています。そしてそれらは、各々の主題に関わるキーワードでもある。ミニマムな表現で紡がれた物語だからこそ、選ばれた言葉が際立っているように感じられます。

「意味を奪われた男/The Man Who Stole the Meaning」での、<カメラとは、世界から意味を排除するために開発された装置>という一節は心に残りました。私は↑のほうで写真(ヴィジュアル)について「言葉を越えていく力」なんてことを書きましたが、本作の主人公はもともと<『意味』を撮影できる人気の写真家>という設定。そもそも、意味ってなんなんだ、なんて哲学的なことを言葉で考え始めると禅問答の世界に突入してしまいそうですが...写真という表現の、ある意味で狭義な(言葉による?)「意味」から自由なところに憧れてしまいます。

「夢の修理承ります/To Repair a Dream」では、近年ナカムラさんが取り組んでいる「金継ぎ」についても触れられています。<僕が仕事にしている「金継ぎ」は、人と人、時間と時間をつなげる技術だ>。...さて、<僕>に夢の修理を問い合わせてきた依頼主とは? 小さな箱を持って現れた依頼主と<僕>のやりとりは、ぜひ小誌を手にとってお確かめください!



その日、彼は何気なく自分の笑った顔を撮った。
スマホのカメラで。意味もなく。
その時、誰かが、(あるいは何かが)彼の『大切な意味』を盗んでいったのだという。
しかし、警官は、何度聞いても、まったく話の意味がわからなかった。

But one day, he casually took a photo of his own smiling face. A mobile camera. No meaning. That was when it happened; when someone (or something) stole his meaning.Having heard the story many times, the police could not exactly understand the meaning of it.

ウィッチンケア第9号「断片小説」(P206〜P211)より引用
goo.gl/QfxPxf

ナカムラクニオさん小誌バックナンバー掲載作品
断片小説 La litt?rature fragmentaire」(第7号/大六野礼子さんとの共作)/「断片小説」(第8号)

http://amzn.to/1BeVT7Y

vol.9寄稿者&作品紹介32 松井祐輔さん

松井祐輔さんの小誌今号への寄稿作、タイトルの<平本>は「へいぼん」と読みます。松井さんは東京都台東区蔵前でH.A.Bookstoreという書店を営んでいますが、作品内ではここ40年ほどの出版業界の変遷が、本の擬人化インタビュー形式で語られています。電子書籍...小誌が創刊した2010年頃はたしか「黒船がきた」なんて言われていた記憶が。この一篇の主人公も電子書籍という現実と対峙しているのですが...その結末は、ぜひ本誌を手にしてお確かめください!

作中の<その頃有名になっていた大手の転職エージェントから声がかかりまして。ほら、あの黄色い看板の>...これはブックオフのことかな? ググってみると、1990年5月に直営1号店(神奈川県相模原市)が開店した、と。拙宅から数十メートルのところにも一時期あったんですけれど(なんと地元書店の斜め向かいという場所に!)、いまはペットショップになってしまいまして、月日の流れ、感じます。

<ところがインターネットの登場で全国どこでも、どういう人材がいるかがわかりヘッドハンティングされやすくなり、相対的に人材価値も下がっていきました。その分、再就職もしやすくなったという意味では良かったのかもしれませんが>という一節も、実感がこもっているように思えました。とくに<相対的に人材価値も下がっていきました>というのが...ブックオフ登場よりもさらに以前って、本やレコードってお店で「見かけたことが縁」みたいなところがあって、よほど高価でない限りは「とりあえず買っとけ」だったよなぁ。いまは...なにか「おっ!?」ってのを見かけたら、とりあえずiPhoneでアマゾンチェック...ってウソついてすいません、それを最後にしたのもセンター街にHMVがあった2010年頃、月日の流れ、感じます×2。

じつは私は、あいかわらずいまだに電子書籍には馴染めず...なんか、目につくところにゴロゴロしてないと、本の存在を忘れてしまうんで(...そういえばグラビア界の黒船・リア・ディゾンはいま何処?)...といっても、いまこれを書いている机のまわりは目につく限り本とCDの背表紙でして、しかも現在稼働中(積ん読含む)の本以外は、ほぼ居座ってるだけの存在でして、ときどき「ああ。これがなかったらどんなに部屋が広々するか」なんて考えてしまうんですが...。



──そんな中で、転職はうまくいったんですか?
 はい、なんとか。実はまた別のエージェントからヘッドハンティングされたのです。「せどり」というのでしょうか? 業界用語で。彼が私に合った就職先をすぐ紹介してくれる、と。なんだか怪しい取引のような気もしましたが、藁にもすがる思いでお願いしました。詳細はよくわかりませんでしたが、紹介してもらった就職先はとても良いところでしたね。そこにも10年ほどお勤めさせていただきました。
──すばらしいですね。その後の転職はうまくいったんですか。
 ええ。今回のオーナーとの関係はずっと円満だったのですが、どうも社員が増えすぎてしまったようで、私もリストラの対象になってしまったのです。ただせめてもの気持ち、だったのでしょうか。とても良い転職エージェントを紹介してくださいました。そこは小さいながらも何十年もやっている老舗で、私の技能を活かしながら、じっくり長く就職先をさがしてくれました。

ウィッチンケア第9号「とある平本な人生の話」(P200〜P205)より引用
goo.gl/QfxPxf

松井祐輔さん小誌バックナンバー掲載作品
出版流通史(編集中)」(第8号)

http://amzn.to/1BeVT7Y

Vol.16 Coming! 20260401

自分の写真
yoichijerryは当ブログ主宰者(個人)がなにかおもしろそうなことをやってみるときの屋号みたいなものです。 http://www.facebook.com/Witchenkare