2010/04/08

アートディレクター・有北眞也さん


Witchenkare制作の際に、一番頭を悩ませたのは「どんなかたちの本にするか」でした。たとえばWebマガジンであれば、テキストとビジュアルを私1人であっても(クオリティは、さておいて...)、なんとか人に読んでもらえるようにレイアウトすることが、可能かもしれない。でも「モノとしてのリトルプレス」を完成させるには、専門家に依頼するか、自分でできる範囲内のものでよしとして、ある部分は“諦める”か...。

最初、この行程は印刷/製本と同じように「仕事」としてどなたかにお願いしようと思っていました。あるいは、家にあるプリンタとホッチキスで Do It Yourself! の精神を貫くか、とも...(でも生まれつき○○な私は、書店に並んでいるような本のかたちにはしたかった、最初から)。

有北眞也さんの会社(株式会社パザパインク)を訪ねた時点では、まだ自分の気持ちが決まっていませんでした。毎度のごとく、ぐちゃぐちゃの頭のまま会いにいって「眞さんオレ、じつは今度さぁ...」と夢語り。おカネの話は最後に、と。

ひととおり私の話を聞いた有北さんは「わかったよ。じゃ俺がレイアウトするよ」。次に私が言うべき言葉は「じゃ、いくらくらいで?」なのですが、しかし、それは言い出さないでいい、といった雰囲気の笑顔。ちょっと有北さん、オレも編集の端くれだから、入稿前とか、ふだんお付き合いのあるデザイン会社にどれだけめんどくさいお願いしてるか、わかってますぜ。そしてそれは「仕事」として成立しているから、お願いできることで...。

自分にとっても、新しいアプリケーション(インデザイン CS4)の練習になるから、と有北さん。その言葉に、その場で乗っちゃうことに方向転換し、しれっと口を噤む私。

印刷行程に移行する前の3週間は、私、ほんとうに痩せました。もともと私もせっかちなのですが、有北さんは私よりもさらに「やることはまず先にガーッと片付けて、ぱっと楽しくプライベートに切り替え」派。寄稿者のなかにはもっとゆったりもやもやした時間の流れのなかで作品を生み出している方もおり(というより、そもそも私がお願いしていることが通常業務外のこと)、私は双方の真ん中で「待つこと」と「待ってくださいと頼むこと」しかできず...。

六本木「トゥーリア」の照明が落下する前からの知り合いである有北さんとは、今回初めて一緒に本格的なものづくりをしました。じつは明日はWTK完成の打ち上げなのですが、きっとそこでは私、有北さんからたっぷり怒られるのだと思います。どんなに怒られても、心の限り多大な苦労をおかけしたことをねぎらいたいと存じます。ほんとうにお疲れさまでした!

あっ、そんなアートディレクターの有北眞也さんと私の、過去のエピソードを最後にひとつ。数年前に父親が他界し、「お別れの会」を開いたときのこと。有北さんも参列してくれました。サバービアな私の小さな実家の駐車場に置かれた、有北さんの当時の愛車ポルシェ。そのなんともいえない風景を、写真に撮っておくべきだった。

Vol.14 Coming! 20240401

自分の写真
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