スレンダーな藤森陽子さんにもかつては凶暴な食欲...いや、常々グルメなレディだなぁとは思っていましたが、まさか量にこだわっていた時代があっただなんて、今回の作品を読むまで想像だにしませんでした。最近はFacebookやTwitterで「BRUTUS」「Hanako」etc.の食がらみの取材に飛び回っている様子も伺っておりまして、また体調など崩さなければよいのだが、と密かに心配していましたが...なんだ、地金は食いしん坊体質だったのか! そして「藤花茶居」の屋号で続けているケータリングも楽しそうで...今度、小誌名を冠した茶話会でもぜひ開催してください。ウィッチンケア茶話会。香り高い中国茶や台湾茶をいただきながら、小誌掲載作品を朗読する、とか。
「4つあったら。」はテレビっ子で食いしん坊だった藤森さんが、兄への殺意(...そんな、大袈裟な!)を抱いた思い出を綴った作品。私はいままで藤森さんの書いた数多くの文章を読んできましたが、身内ネタ/自分語りっていうのは、たぶん、SNS以外では初めてなのでは? ぜひこの方面でも健筆を振るい、制御不能な新境地を開拓してください、藤森陽子さん!
授業中、愛しいプッチンプリンが何度も脳裏にフラッシュバックする。4時間目にはとうとう、皿の上でふるふると揺れる姿をノートに落書きし始めた。〝プッチン〟して食べる至福の瞬間をまる1日、一心不乱に考え続ける小4の春。この狂おしいほどの想い、ちょっとした恋のよう。
そしていよいよ家に辿り着くと、あろうことか、先に帰っていた兄が我がプリンをモリモリと食べている。「ようこ」の文字など何の効力もない。衝撃、屈辱
……!!
「うわははは、兄ちゃんは身体が大きいから、陽子より沢山食べないとな」
Witchenkare vol.3「4つあったら。」(P080〜P083)より引用/写真:徳吉久
http://yoichijerry.tumblr.com/post/22651920579/witchenkare-vol-3-20120508