ウィッチンケアvol.2寄稿者・野上郁哉さんと最後に会ったのは昨年4月、代々木公園での花見。寒くて風の強い夜でしたが、その宴には愛用の寝袋に半分くるまった「野宿野郎」編集長・かとうちあきさんもいて、私は電車のあるうちに退散しましたが...きっと野宿したんだろうな。タフだなぁ。若さと生命力の強さが、羨ましい(遠い目)。
第3号をつくるにあたり、「みんな元気だよ」という報告も兼ねて、かとうさんに寄稿依頼しようと思いました。「野宿入門」「野宿もん」という著書のあるかとうさんですが、できれば小誌では別のテーマで、と。キッチンウェアな本なら、では台所まわりについてでも、という感じで打ち合わせがまとまり、原稿が届くのを待っていました。「プランターでハーブ育ててま〜す♡」とか「雑穀米のオリジナルレシピ紹介♪」とか、そうゆうのがくると想像したオレが甘かった! かとうさんはインドアでも、やはりかとうさん。
掲載作品「台所まわりのこと」は頻出する生物名の反復効果がファンキーな、魔界的エッセイ。「虫愛づる姫君」やナウシカを連想したら、筆者の術中にまんまとはまってる!? 語り口は独自のスタイリッシュさで貫かれていて、なにより、こんな生活(失礼!)の描写なのに、女の子らしさが爆発しているのは、何故、ゆゑ...。とにかく、お願いですからこの夏はカレー鍋を早めに洗ってくださいね、かとうちあきさん!
やはり食料を狙ってか、一番多く現れるのは台所まわりみたいだ。そのうちなぜだか、必ずコンロのまわりで糞をするようになってしまった。不衛生だし、って、家にネズミがいること自体もう不衛生っぽいんだけれど、台所まわりではとくに不衛生な気がするから、できればやめてほしい。糞はコンロの上ではなく、トイレか外でしてきてほしい。
ってな願いもむなしく、「ネズミによるコンロまわりのトイレ化」は粛々とつづく。
掃除も面倒になり、見なかったことにしてコンロを使っていると、火口のそばにある糞は炎にやられてしまう。やられた糞は一瞬、ぼおっと小さな炎を出現させ、すぐに炭化するのだった。儚く消えるその姿はまるで線香花火のようで、わたしをうっとりさせる。
糞よ。儚い糞よ。炭化してほろほろと崩れられると、掃除がさらに面倒だ。
Witchenkare vol.3「台所まわりのこと」(P030〜P035)より引用/写真:徳吉久
http://yoichijerry.tumblr.com/post/22651920579/witchenkare-vol-3-20120508
Vol.14 Coming! 20240401
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