ウィッチンケア第3号が完成して書店etc.に配本されたのは、2012年3月中旬。その約1年前のあのできごとについては当ブログでも何度か書いたので、もう繰り返さない。しかし、あのできごと、ものを書く人にも大きな影響を与えないわけがなく...。小誌第3号ではあのできごとに直接関わる作品を寄稿してくれたかたが複数います。
「闇を歩く」「逢魔が時」など、闇や暗さの魅力について何冊もの本を書いてきた中野純さんには、あのできごと以降の世の中がどう見えているのだろう? 私は「責任者出てこい!」みたいな社会派の言説を望んだわけではなく、闇を見据え続けてきた中野さんの目に映る3.11以降の景色が知りたかったのです。
意外、と言っておきましょうか。中野さんは「美しく暗い未来のために」と題した作品内で、独自の観点から“ハンニン捜し”をおこなっています。...いやしかし、やっかいなことで。もしそいつが真のハンニンだとしたら、いったい私たちはどうしたらいいのでしょうか、中野純さん!
ドジョウがなんと言おうとまだなにも終わってはいないけれど、人々が呑み込んだ放射性物質は喉元を過ぎ、多くの人が早くも熱さを忘れ始めている。あれほど暗かった東京の街にはもうだいぶ光がもどってきたし、大人災以降に開発・再開発された土地では、大人災以前より明るくなってしまったところもある。
闇は気持ちを下げる。暗い夜なんてもうたくさんだ。多くの人がそう思っている。美しく暗い未来の実現は一瞬近づいたように見えて、むしろ遠くなってしまった。
涼しい顔で「これは天災ですから」と言いながら、天になど存在しなかった人工放射性物質を撒き散らして天を侮辱する。そんな恐るべき敵を知るために原発について勉強していたら、『危険な話』に感化された当時には思い至らなかった原発の意志に気づいた。
Witchenkare vol.3「美しく暗い未来のために」(P006〜P013)より引用/写真:徳吉久
http://yoichijerry.tumblr.com/post/22651920579/witchenkare-vol-3-20120508
Vol.14 Coming! 20240401
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