2017/05/15

vol.8寄稿者&作品紹介15 松井祐輔さん

きっと、昨年11月に出た話題本「まだまだ知らない 夢の本屋ガイド」(朝日出版社)を読んだかたはスンナリと楽しめたかと思いますが、松井祐輔さんの寄稿作「出版流通史(編集中)」...このタイトルからは計り知れない物語でして、あっ、でもそれは作者の意図するところでして、本作をネタバレしないで紹介するのは、至難のワザかも。もう発表からしばらく経っているので、多少は踏み込んで大丈夫かな!? との判断でいってみます。

冒頭、とくに説明もなく「大洋舎」という本屋の店主・竹井明文さんへのインタビューが始まります。途中で「!?」な箇所がいくつも出てきますが、とにかく「読んでいけばわかるかな」と先に進むと待ち受けているのが、<2056年現在、出版産業の市場規模は3兆円と言われる。ただ、そこに含まれる「紙の本」の売り上げは500億円ほど>という一節。えっ? 竹井さんがいるのはいまから30年後!? じゃ、ここで語られている出版業界(とくに書店側からの本の流通)の話って...。

松井さんは出版取次会社に勤務後、2013年に独立して翌年インタビュー誌「HAB」を創刊。現在は出版活動だけでなく台東区蔵前で「H.A.Bookstore」を運営。また「シゴトヒト文庫」「これからの本屋」「草獅子」など、出版物の卸売(取次)も担っています。そんな松井さんだからこそ書ける〝出版流通史〟なのでありまして...松井さんと私は昨年昨年5月、港区赤坂にある選書専門店「双子のライオン堂」の店主・竹田信弥さんのご縁で知り合いました(感謝!)。寄稿依頼したのはもちろんご専門の話をもっと、との気持ちもですが、入手した「HAB(本と流通)」の奥付に添えられた一文に、ぐっときてしまったからでもありました。

本作は三章構成で、後段になるとさらに時代が進みます。じつは第二章、<どうやらこれが僕の新IDになるらしい>と語る、ちょっと愚痴っぽい<僕>が誰なのか、最初私は読み取れずに恥ずかしい思いをしました(頭固ぇな、オレ)。そして「H.A.Bookstore」では小誌をお取り扱いいただいておりますが、同店で入手すると、ちょっとした特典も、とのこと! みなさま、ぜひぜひよろしくお願い致します。



 ──出版流通の場合は、アマゾンが大手書店チェーンと取次を買収しました。それから書店ごとに在庫強化ジャンルを作ったんです。どこも同じラインナップだと、倉庫としてニッチな商品が調達できませんから。A店は法律書、B店は生物学というふうに。売れ筋のメイン商品はそのままだったので、むしろ「本屋の多様性が増した」なんて好意的な記事や意見も出ました。でも私からすると、あれはつまらなかったですね。たとえ同じジャンル、商品数でも「倉庫用の棚」と「販売用の棚」は明確に違いますから。ただ、それも古い考え方だったのかもしれません。結果的には、両立モデルを採用していた大型店舗や倉庫はほとんどが撤退するか、買収されてしまいました。

ウィッチンケア第8号「出版流通史(編集中)」(P088〜P093)より引用
https://goo.gl/kzPJpT

Vol.9 Coming! 20180401

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