今作を読み、寿男さん(便宜上お名前でw)のことが少しよくわかったような気がしました。いや、会うとハッと鮮やかな色合いのシャツをさり気に着こなしていたりで、まあシモキタの街を歩けば普通の人、でもたとえば平日真っ昼間にオレんち(東京都町田市/駅からバス15分)の近くの団地の公園に1人でいたら、アートか芸能関係の人? と言われかねない雰囲気を醸し出していて...そうか、祖父母の代から艶っぽい世界と無縁ではない街暮らしで、おかあさんは元祖文化系女子(!?)とも言える方であられたのか、と。私にもう少し大阪の土地勘があれば、もっと発見ができたかもしれません。
私も母親からいろいろ話を聞いてみようかな。十数年前に亡くなった祖母は三味線を弾いたり猿を飼っていたことがあったり、とけっこう謎な人でしたが、先日原節子が亡くなったとき、母親がいきなり古い写真を出してきて、そこには原節子、祖母、母親の笑顔! なんすかこれ? と尋ねたら「おばあちゃんは口減らしで私を鎌倉の原さんの家のお手伝いに出そうとしてその時の面接で...」とかなんとか(一部曖昧)。なんか、それ以上聞くのが怖くてそのまんまですが、やっぱり聞いてみようかな。
大西さんは今号でも校正/組版を御担当くださり、印刷会社が代わって初めての入稿では、ほんとうにご苦労をおかけしました。どうもありがとうございました! そしてそして、最新著書『セルフパブリッシングのための校正術』〈群雛文庫〉は鷹野凌さん主宰の日本独立作家同盟より刊行され、AmazonのKindleストアで初登場1位と好調のよう。今月29日にはイベントも開催されるようなので、みなさま要チェキで!
──おじいちゃんは何の仕事してたん?
「そのころは今里新地で働いてた。小学校の作文に『私のお父さんは新地で芸者さんの帯を結ぶ仕事をしています』って書いたら、先生から花丸もろたよ」
──飛田の新地で働いてたのは?
「それはおばあちゃん。今里に越してきたころ。呼び込みとかお姉さんたちのお世話とかしてたんやと思うけど、『どんなところに身を置いても心はきれいやから、恥ずかしいことあらへん』と毅然としてたよ。
あのころにはめずらしく、わたしはひとりっ子で核家族やったから、共稼ぎで家にだれもいなくてね。それで、ばあやに来てもらってたんやけど、赤本の継子いじめのお話の読み聞かせ、こわかったわぁ(笑)。
おばあちゃんは、『この子が学校に行くようになったら、家にいて〝おかえり〟と迎えてやらなあかんから、これはいまだけのこと。その代わり、着るものだけは小ぎれいに』って」
ウィッチンケア第7号「長柄橋の奇跡」(P176〜P179)より引用(※原文のルビは略しました!)
http://yoichijerry.tumblr.com/post/143628554368/witchenkare-vol7
大西寿男さん小誌バックナンバー掲載作
<「冬の兵士」の肉声を読む>(第2号)/「棟梁のこころ──日本で木造住宅を建てる、ということ」(第3号&ウィッチンケア文庫)/「わたしの考古学 season 1:イノセント・サークル」(第4号)/「before ──冷麺屋の夜」(第6号)
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