2016/05/21

vol.7寄稿者&作品紹介21 美馬亜貴子さん

美馬さんの寄稿作はいつも「白衣をまとった理科の先生が試験官を振り、しばし中身を目視」のようなクールさが漂い...主人公の女性は作者から距離を置かれ、観察結果レポートのように、物語の中で辛い目に遭います。今作でのサワコさんは〝小悪魔〟っぽい自分を体現したくて社内のハンサム君(トオル)と付き合い〝どS〟振る舞いをしてみたものの...。

最初にタイトルを見たとき、私はN=普通だと思って読み始めました(無知!)。作中には<飲み会でしばしば繰り広げられる「SかMか」談義>とありまして、えっ、そんな話しながら盛り上がって酔ったら、サワコとトオルみたいに実証したくなったり〜、って、あっ、いいのか、合コンとかなら。じつは私「合コン」って一度も参加したことがないので、ちょっと検索。世代的に「コンパ」は普通にあった(「新歓コンパ」「追いコン」とか)けどポパイやHDP買ったことない学生だったし、<1970年代、「合コン」は相手を見つけるという目的は露骨ではなかったが、1980年代は、相手を見つけることがより切迫した課題になっていく。「ねるとん」はその象徴である>...なるほど、流行り初めてはいたけど、お呼びが掛からなかったんだな。

仕事でお笑いさんの解説、みたいなときに<○○というコンビの芸風はツッコミ●●のS性が...>といった分析をその筋の識者に伺い、すごく納得したことがありました。この場合は<見せる芸>として演じていても、その根幹にあるのは個々の人間性としてのSやMだと(作者も<人間関係の、特に“ねじれ”の部分にとても興味があ>るようです)。そして本作を読んで、さて自分は? まあ、オレもNだろうなと。あはは、美馬さんが試験官を振ると、読者も観察されちゃうんですね。ぜひみなさんも観察されてください(って、Mかw)。

相変わらず多忙そうな美馬さんですが、今作執筆と同時期に編集担当された『「ビートルズと日本」熱狂の記録 ~新聞、テレビ、週刊誌、ラジオが伝えた「ビートルズ現象」のすべて』(大村亨 著)がアマゾンでも☆☆☆☆☆ずらり、と話題です。こちらもぜひ、ご一読のほどを!



 サワコにとって、これまで恋愛とは「相手に尽くしてなんぼ」のものだった。真心を示せば、それに見合った愛情という名の対価がかえってくる〝ギヴ&テイク〟の関係。だが、そう信じて尽くしたところで、大抵の男はこちらが与えた分さえまともに返してくれない。なのにトオルは尽くされるよりも尽くすことが好きな性分らしく、あまつさえ、サワコがワガママを言えば言うほど「そこがカワイイ」と喜ぶのだ。〝どM〟の彼氏、最高である。 
 かくして増長、という言葉が正しいかはわからないが、「特別な存在」として扱われることに慣れたサワコの〝小悪魔プレイ〟が段々にエスカレートしていくのは当たり前のことだった。
 この間は「ホワイトデーだからお返し、ちょうだい♡」と、トオルをジュエリー・ショップに引き込んで3万2000円もするピアスを買わせた。

ウィッチンケア第7号「MとNの間」(P129〜P133)より引用
http://yoichijerry.tumblr.com/post/143628554368/witchenkare-vol7
美馬亜貴子さん小誌バックナンバー掲載作
ワカコさんの窓」(第5号)/「二十一世紀鋼鉄の女」(第6号)

http://amzn.to/1BeVT7Y

Vol.9 Coming! 20180401

自分の写真
yoichijerryは当ブログ主宰者(個人)がなにかおもしろそうなことをやってみるときの屋号みたいなものです。 http://www.facebook.com/Witchenkare