2010/03/30

モノとしてのWitchenkare、雑感

3月4日の責了から、ほぼ1ヶ月。この期間、私は通常業務の合間をぬって「モノとしてのWitchenkare」が世の中と接触する場所を探しました。いままで客として多少は馴染みのあった店舗、共同制作者の伝手で紹介してもらった店舗、まったくの「飛び込み営業」のようなかたちで、こちらからアプローチした店舗。多くの方と出会い、自分たちのつくった「モノ」に対するさまざまな視点(と言葉)を体感することができたのは、貴重な経験だったと思います。

私は「すでに仕事として発生している」書籍や雑誌に関わり、短くもなくライター/エディターとしての作業を続けてきました。前世紀末くらいまでは、作業に付随してまだ多くのモノが、周囲にあったんですよね。社(誌)名入り原稿用紙やポジ袋、ダーマトグラフなんかの出番はもうずいぶん少なくなっていましたが、それでもMDやMO、CD-R等のディスク、ファクスで受信した紙、クリップや糊や切手、考えようによっては喫茶店の領収証なんかも、まだまだ必要なモノとして普通にあったと思います。仕事のBGMも6連チャンジャーのCDプレイヤーで聞いて、ジャケットの入ったプラスティックケースがデスクまわりに普通に積んであったし。いまや打ち合わせはメールのみ、もめずらしくなく、音楽もiTunesで、がほとんど。

ここ数年で私の仕事はすっかり「データのやりとり」になりました。手にするモノは資料としての書籍や雑誌や脚本、コピーの束、DVD、取材用ICレコーダ、そしてなにはなくてもPCと、思いもよらなかった老眼鏡...。でもそれらのうちのいくつかも、すでにデータで受けとったほうが、使い回しがよかったりして。あっ、少しまとまった量の原稿の仕事をした際には初稿ゲラが届いて、あの厚さが一番「モノ感」があるかな。

そして最後に、刊行されたモノとしての書籍や雑誌。これらは仕事ベースで関わっていると「赤字戻しさえすれば校正/製本されて、数週間後には見本誌/掲載誌が届き、自動的に書店に並ぶ。メディアでのPRも」があたりまえ、と。今回、Witchenkareを構想から納入までやってみて(まだ精算や返品があるので、たいへんなのはこれからという気もしますが)、あたりまえのことをあたりまえにやるのがどんだけたいへんなのか、ほんの少しわかったような気がします。

逆に、どの行程がまだ実感できていないのかも、ぼんやりとは、わかってきた。一例を挙げれば「商売/商品」ということ、とか。さらにこの期間中、自身が自覚しないまま、私の礼を失するような言動があったかも知れず、不快な思いをさせてしまった方々には申し訳ありませんでした。

「場所探し」の過程で1度だけ、明確に断られました。私鉄のターミナル駅近くの町に、数年前できたセレクトショップ的な書店でのこと。事前に「できたもの見て検討する」と店主が言ってくれていたので、私としては見本誌と「委託販売に関する条件等」についての書類を持参し、判断してもらおうと思っていました。届ける前に電話を入れると「私はこれから不在になるので、代わりの者が対応します」とのこと。私は「営業時間内には必ず」と約束して、夕方その店を訪ねました。

店主不在とわかっていたので、その日は置いてくるだけのつもりでした。しかし対応してくれた女性店員から「もし私でよければ、いまここで判断しますが」との申し出が。えっ!? とは思ったが断れる立場でもなく、封筒を開けて見本誌と書類を渡し、媒体の概要や共同制作者について、数分は説明できたかな。内容については、なにしろ文字だらけの冊子なので、あとで店主に少しでも目を通してもらえれば嬉しい、と。でも、ぱらぱらと見本誌を捲った女性店員の判断は、早かったです。

「この本は多くの客が関心を示すような特集のない、文芸誌のようなもの。そういう本は、たとえば執筆者に興味があるような特定の客しか買わず、置いてもほとんど動かない。うちには動かない本を置くスペースはないので、今回は取り扱えません。今後もし続けてつくるのであれば、そういうことも考えてみて、それでまた持ってきてくれれば、改めて取り扱うかどうか検討することはできます」

店の雰囲気、客として見ていた品揃えでは、そんな経営方針の店舗だと見抜けず、お忙しいなか無駄な時間を費やさせてごめんなさいね。

それと、これは余談ですが、数分間の説明中、私はどうにも女性店員の「あなたは誰?」視線が気になり、ちょっと「まあ、寄稿者のなかでは私が一番無名だと思うんですけど」と言ってみたら、即座に「はい」と相槌を打たれて、なんとまあ率直な。

明後日の創刊まで、もう少し「場所探し」を続けてみます。どうぞよろしくお願い致します。

Vol.8 Coming! 20170401

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