2023/05/06

VOL.13寄稿者&作品紹介16 武田砂鉄さん

 今年4月にTBSラジオの番組改編があり、武田砂鉄さんは「アシタノカレッジ」金曜パーソナリティから、「武田砂鉄のプレ金ナイト」のパーソナリティへと。タイトルは変われども番組の構成は同じようで、4月21日の放送では「たまむすび」の後継番組「こねくと」の石山蓮華さんを招いて山田うどん(詳細な下調べ!)や街頭インタビューやサウナの話を。じつは私(発行人)、平日午後にクルマで出かけるさいにはラジオだと「たまむすび」が長かったので、終了に伴う喪失感もそれなりに大きかったのですが、武田さんとの会話で石山さんの人となりが伝わってきておもしろかったです。そんな武田さんのウィッチンケア第13号への寄稿作は、もはや不動の「クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー」...7作連続同タイトル。私は2、4作目の時点で「peter gabrielのアルバムのよう」と書きましたが、敢えてピーガブ変換(なんだそれは!?)するならば「So」「Us」ときて、つまり「Up」にあたるのが本作なのだと思います。でっ、今回の謎のキーワードは「プリミティブノミー」。


前回はリモート取材という設定で、それに不慣れなせいもあってかすっかり精彩を欠いていた漆原CEOでしたが、今回はばっちり回復して饒舌です(新型コロナに罹患したというのに...)。世情に鑑みて、最初こそパートナーの呼称を「うちの嫁……いや、妻」などと言い直したものの、2回目以降は「嫁」で通します。頻出するのは「場所」についての独自の見解、そして「回す」ことの重要性にまつわる、長い付き合いであるインタビュアーの武田さんをして「利己的」と言わしめた、殺伐とした持論。漆原さん曰く「プリミティブノミーは今年のテーマになってくると思う」のだそうで、その言葉の意味は「考えている状態、すでに考えている状態から動き出す経済」?? 「夢を見ながら原点回帰して思考する」とも説明してくださっているのですが、よくわからない。。。

漆原さんの繰り出す珍説、珍語に惑わされて読者が「木を見て森を見ず」状態にならぬよう、武田さんはこのインタビュー記事の後記で大事な指摘をしてくれています。それは、漆原さんが「コロナが終わろうとする今、弾かれていく人間が出るのも致し方ないと言い始めた」こと。インタビュー中には「アフターコロナにどのように経済を立て直して行くのか、このときに利己的であることは重要です」とも語っていて...トップが「「プリミティブノミー」なる新概念を振りかざして、そんな方向に舵を切ろうとしているクリーク・ホールディングスの行く末が心配です。小誌読者のなかにはこの経営者に待ったをかけられる、賢明なかたも多数いらっしゃるはず。ぜひ下記引用部分だけでなく、全文を読んで異議申し立てをしていただきたく存じます!



 (〜前略〜)そう、久しぶりに柿原君に会いました。もう、以前に会ったのがコロナ前の2020年の頭だったから、3年ぶりということになりますかね。柿原君も、「やっぱり場所だよね」と言っていた。寿司屋の大将がまた下世話な男でね、「おやおや、犬猿の仲がこんなところで」なんて言う。バカ言っちゃいけないよ、犬と猿が光り物の寿司を食うかい、とね。久々に声を出して笑いましたよ。そこで柿原君は「場所」について話をした。自分とまったく同じ考えだったんだよ。どこか特定の場所に行く以上、たどり着くまでには時間がかかりますね。電車やバスに乗って、あるいは自家用車でやってくる。その時間に人間は何をするか。
──本読んだり、音楽聴いたり。
 いや、そういうことではないんです。何をするかって、考えるんです。何かを考えるんです。何を考えるかは人次第だけど、考えるってことを思い出したところで会社にたどり着く。会社のことを考えろ、ではない。何だっていいんです。何かについて考える。この状態から仕事が始まるというのがいかに大事かを経営者として思い知らされたのです。これこそが、人間のプリミティブな状態なのではないか。何もない状態ではなく、何かを考えている状態が人間の原始なのです。柿原君から教わったんだけど、オーストリアに、ジョナサン・グレイマンって経済学者がいるんだと。そのジョナサンが「プリミティブノミー」という造語を使っているというんです。まだ邦訳はされていないようだけど、かなりあっちの経営者が読んでいる。


〜ウィッチンケア第13号掲載「クリーク・ホールディングス 漆原良彦CEOインタビュー」より引用〜


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