2023/05/09

VOL.13寄稿者&作品紹介25 久保憲司さん

現在、東京・世田谷区奧沢にある「VIVA Strange Boutique」にて、ロック・フォトグラファーのクボケンさん、こと久保憲司さんの写真展が開催中です。同店の告知インスタに名前が挙がっているミュージシャンは、Jesus & Marychain、Primal Scream、My Bloody Valentain、Stone Roses、Psychic TV、Terry Hall、Suicide、SPK、Jazz Butcher。さて、いまここを読んでくださっているみなさまは、いくつご存じなのでしょうか。ジザメリとかプライマルとかマイブラとか、「鳥井賀句vs増井修」とか「テンプルの豫言」とか「元スペシャルズ」とか「バワリー315番地」とか「インダストリアル・ノイズ系」とか「コンスピラシー」とか(...あまり詳しくないかたには呪文みたいでスイマセン)。会期は5月20日までなので、まだのかたはぜひ奧沢へGo、です。そして、そんな久保さんのウィッチンケア第13号への寄稿作は「余命13年」。作品冒頭に《余命13年である。本当は10年なのだがこの雑誌が13号ということで、13とした》とありまして...お気遣いありがとうございます!


作品の前半では村上春樹と村上龍についても語られています。Witchenkare VOL.13は2023年4月1日、ひそかに正式発行しましたが、同月13日(「13」だったのか!)には春樹氏の「街とその不確かな壁」が発売になり、ちょうどその時期、私(発行人)は書店営業の真っ最中だったのですが、その売られ方がバブル末期の福袋のようでびっくり。でっ、じつは同時期に龍氏の「ユーチューバー」もそれなりに店頭のよい場所を占めていて、こちらは、なによりそのタイトルにびっくり(まだ読んでいません)。作中では、春樹氏については《「俺、村上春樹好きちゃうねん」》、龍氏については...久保さん、一時期はかなり読み込んでいたのだなぁ、という印象を受けました。とくに「愛と幻想のファシズム」での経済にまつわるあたりとか。

作品後半には平清盛や弥助(織田信長に仕えた黒人侍)も登場して、ある意味かなりシュールな展開。しかし私、この混乱具合は体感的にわかるなぁ。でっ、ここで「Confusion will be my epitaph/混乱こそ我が墓碑銘」を持ち出すのはロック的にとてもベタですが、しかしいつの間にか自分がもう還暦、みたいな事実に直面すると、「これからは○○したい」みたいな未来への願望より、本作のタイトルである「余命」...もう少し具体的に言うと「健康寿命」みたいなものが気になって、そりゃ混乱しますよ。でも、混乱するのはまだ「気が若いから」かも?


村上龍が『愛と幻想のファシズム』で予想したようなハイパー・インフレなんか起こらない。あのバカはフロートをやめて、ハイパー・インフレになって、日本が崩壊する未来を予想した。エッセイでは、「日本はプラザ合意で、近代化を果たした」と書いていた。経済のことが全然分かっていない。フロートって何やねんと思ったけど、ダーティ・フロート、為替介入のことだろう。プラザ合意で日本とドイツは、アメリカが「俺らのアメ車が売れなくなるから、ダーティ・フロート(為替介入して自国通過安)にするな」と言ってきた、ドイツは「知らんがな」と答え、日本だけ本当にダーティ・フロートをやめて、それで日本だけがデフレになった。そして、世界中にドイツの車が増えた。今は先進国ではダーティ・フロートをどこもやっていない。みんなで「インフレ率2%くらいになるまではお金を刷ってもいいですよと」と協調しているのだ。
 日本がハイパー・インフレになると騒ぐ財務省や同省のポチの経済学者やマスコミは、もう30年も予想を外している。村上龍も、酒飲み友達のアホの官僚に寝言を聞かされたのだろう。

〜ウィッチンケア第13号掲載「余命13年」より引用〜


久保憲司さん小誌バックナンバー掲載作品僕と川崎さん(第3号)/川崎さんとカムジャタン(第4号)/デモごっこ(第5号&《note版ウィッチンケア文庫》)/スキゾマニア〉(第6号)/80 Eighties(第7号)いいね。(第8号)/〈耳鳴り〉(第9号)/〈平成は戦争がなかった〉(第10号)/電報〉(第11号)/〈マスク〉(第12号)


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Vol.14 Coming! 20240401

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