ウィッチンケア第12号の装幀は太田明日香さんにお願いしました。太田さんは1995年生まれ。エディトリアル・デザイナーとして紙媒体の企画/制作を手がけるだけでなく、写真家としても第17回写真「1_WALL」にて審査員奨励賞(飯沢耕太郎選)を受けるなど、多岐に渡って活躍しています。
私の印象としては「白のデザイナー」とでも言いましょうか、とにかく装飾(=“足し算”)でデザインを組み立てていくのではなく、必要な素材(小誌の場合はなによりもテキスト)を最大限活かすために、的確なフォントと余白(=“引き算”)を選んでいく、というスタイルのクリエイターだと感じました。公式サイトを見ても、とにかく白い! 「青の写真家」白山静さんと「白のデザイナー」太田明日香さんにビジュアルをお任せした今号は、ですので、とっても清々しい見栄えとなりました。
私はデザインの専門家ではないけれど様々な紙媒体で仕事をしてきました。ものによってはクライアントから「見出しをもっと大きく」「インパクトのあるものに」なんて注文もあり、せっかくいい感じにデザインされたものに「んじゃ、ゴチックのキンアカでいいじゃん!」ってな判断をしたことも。なんといいますか、人のセンスはそれぞれなんですけれども、なにかを一緒にやろうってときには、相性は大事ですよね〜。
でっ、小誌は「文芸創作誌」を名乗っていまして、これは「文」に「芸」のある人が「創作」したテキストを「誌」として纏めたもの、としているのですが、あっ、そうだ、今号でもある寄稿者と「ここは『日差し』にしますか? それとも『日射し』なんてどうでしょう?」なんてやりとりをしたことを思い出しまして、ここで「差」よりも「射」を選ぶということも充分に「創作」(=テキストのデザイン)の範疇だと私は思うんです。ですので、これを紙上で表現する場合は、その文字選びがきちんと反映された形をとれば、それが一番なんじゃないか...ここにさらに屋上屋を重ねるような意味が発生しちゃうエディトリアル的なアイデアは不必要なのではないか、と。ええと、なに言ってるかわからない話ですね、スイマセン。
(余談ですが、グーグルで「太田明日香」さんを検索すると、トップで出てくるのが「1982年兵庫県淡路島生まれ。作家、ライター」の太田明日香さんなんですよね...)
太田さんを私に紹介してくれたのは第5号からの寄稿者・東間嶺さん。昨年の緊急事態宣言がそろそろ終わるかという時期に、東間さんが最近活動拠点のひとつにしている東京都町田市の外れに位置する共同スタジオ『アトリエ・トリゴヤ』の内部一区画を改装したアーティスト・ラン・スペースであるオルタナティブ掘建て小屋『ナミイタ-Nami Ita』でお目にかかりまして、それが最初の打ち合わせ。もう、ほんとうにこんな手間のかかる仕事をお引き受けくださり、感謝です!
そのさい、東間さんが撮影してくれた写真がありますので、記念として掲載します。このファッションセンスの違い。ちょっと、自分が↑で書いた「なにかを一緒にやろうってときには、相性は大事ですよね〜」という一文に自信が持てなくなってきたw。...それはともかく、「良いデザイナーいないかな?」とお考えの出版関係の皆様、ぜひ太田明日香さんと連絡をとってみてください!
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